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もし縫製工場が日本からなくなったら。

この写真はうちの母の縫製工場で縫製をしてくれている親戚のおばちゃん。

レディなので年齢は公にしないがあと十数年で100歳だ。


こうした職人さんは日本全国にいて今も縫製業界を支えている。

彼女が縫う看護服はとても丈夫だし、可愛く、よく売れている。


ただやはり、

日本の縫製業界全体の高齢化は凄まじく、このまま10年後になると目も当てられないことになる。


日本の洋服の自給率は2.4%になり、

縫製工場の数も40年くらいで1/5くらいになっている。

若者が最近になってアトリエを立ち上げたり、

ITを活用して縫製業を盛り上げようとしたり、

弊社も在宅で縫製をしていただける仕組みを作ってなんとか職人の数を確保してみたり、

いろんな人が、

いろんな取り組みをして日本の縫製をなんとか復活させようとしている。


日本に縫製工場は必要か?

ここで1つ疑問を持ってみた。


「さみしい」とか、「勿体無い!」とか、

そんなことを抜きにして縫製工場がなくなったらどうなるのだろうか?

洋服の自給率は2.4%だし、日本で服が作れなくなったって別に問題ないじゃないか。

実際になくなってもいい職業(失礼かもしれないが)はあると思う。


例えば現在日本で冷蔵庫を製造する工場はなくなっていってるし、クーラーだってそうだ。

海外の方がコストが安く、品質もあまり変わらないのであれば消費者のためを考えれば間違いなく海外での生産の方がメリットがあるだろう。

感情論でいえばなくなってほしくはないが、

ビジネスのフィールドで戦っているのだから経済合理性で必要でなければ淘汰されても仕方ないのだ。

ましてや僕たちは縫製工場をやってるわけだから「勝てない試合」はしてはいけない、「勝てない試合」にたくさんの人を巻き込んではいけないのだ。


日本はこれからどう頑張っても人口は減少するし、

日本はGDPこそ高いがそれは人口の数に頼ってきた部分があり、

個人の生産率でいうと世界でもかなり低い水準だ。

現在26位でアメリカの6割、ノルウェーの半分以下しかない。

これからの時代、少ない若者たちが効率よく生産性よく働く必要があるのだ。

それなのに「縫製工場でミシンに乗る」が、そんな日本が目指す形に合っているのだろうか?

本気で日本の縫製業を変える。と決めているからこそ感情論ではなく、

経済的に合理性がなければただの「頑張る」という無責任な言葉になってしまうのだ。


いらない。



僕はそう思う。

先に述べたように日本に縫製工場は必要ない可能性がかなり高い。

「工場がなくなったら小ロットで作れないじゃんか!」という人も出るだろう、

「オリジナルの試作品は海外で作るより国内の方がメリットがある!」などという人もいるだろう。

「短納期で作るには国内工場が有益だ!」などもある。

だが、考えてみてほしい。

「自社で作る」

これが成立すれば必要ないのだ。

元々メーカー(MAKER)というのは自分で作って売る。というものであって、

自社でできないことを下請けにしてもらう。という理由から徐々にメーカーMAKER(作る人)が作らなくなったのだ、

だからわざわざ工場に発注せず自分で作る環境を持てばいい、

工場までできなくても1人の職人を雇い入れ、月給30万で12ヶ月、360万円のコストをかけて洋服を作り販売すればいい。

シンプルなブラウスだと職人1人で月に80着くらい作れるだろうから、

2万円で販売すれば160万円になる。


D2Cで販売すれば十分ビジネスになる。

その抱えた職人はその会社の社員であるから、

個人のGDPもただ作るだけの加工賃では達成できない水準になるだろう。


他に「いる理由」を挙げていけばたくさんあるだろうが、

0%にまではならないにしても、

洋服の自給率は1%くらいにはなってしまうだろうと思う。


ここまで書いたら「なんだよ、縫製工場いらねぇんじゃねぇか」と言われてしまう。


そう、

縫製工場は日本にはもういらないのだ。

諦めた方がいい。


ただ、

1つ必要なものがある。


それは「職人」すわなち「技術」だ。


縫製の工場は必要ない、

だがこれからの社会は「個」の時代だ、

先ほどの例にしても「工場」は必要なくても「技術者」は必ず必要だし、

そもそも小ロットで服を作るのに「工場」なんかにお願いするより断然いいだろう。


他の業界でも例えばタクシー(集団)がUberに変わりわざわざ移動を会社に任せなくても個人で請け負えるようになったし、

ものの売り買いはメルカリ、minne、CreemaでCtoCになっていくし、

テレビはYoutubeになり、タレントはYoutuberになっていく、


集団で集まって縫製する。には無駄が多く必要ない、

縫製工場は何度もいうが日本に必要ない。

だが、技術さえ持っていればその技術が必要な人は世界中にいて、

世界のどこにいてもミシンがあれば生きていける時代になったのだ、


世界は今本質的な価値が必要なのだ!



車の所有ではなく、タクシーでもなく「移動」という価値だし、

テレビではなく「必要な情報」という価値だし、

現金ではなく「支払い」という価値だ、



今洋服を作る業界が必要なのは「工場」という既存の形ではなく、

「服を形にする」というところに価値があるのだ、

だから縫製工場は必要ないが職人は必要だ。

それが僕の答えだ。


そして必要なことは何か、

それは縫製というものが「工場」という形をなくしてなお、

次世代に繋がれることなのだ。


弊社のビジョンは「日本の縫製工場を次世代につなぐ」ではなく

「日本の縫製業を次世代につなぐ」なのだ、


僕がここ数年ずっとモヤモヤしていた答えがやっと見つかった。

それは「工場を守れ!跡を継げ!」みたいなことが正しいとされる状態が、

現在世界が求めている本質的な価値にマッチングしていないと感じていたからなのだ。


これからは「技術」をどうつなぐか、それを考えること。

そしていかにミクロに、より個人に対してアプローチできるか。

それが勝負になってくる。


これからの縫製業は面白い。

工場という形をなくしたミクロの職人が日本中にいるのだから、


世界ではまだ大きな工場でガシガシとミシンを動かしている。

これからは「個」の時代だというのに。

確かにこのまま放っておくと日本の縫製業は技術すらも繋げないまま終わってしまう。

しかし、今「個」と「本質的な価値」にフォーカスしていくとまだ間に合う。

世界に比べむしろ、

日本の縫製業は進んでいる。と取れるだろう。

(ピンチと取るのは別に構わないが)


これから何をやるか。

ワクワクしませんか?

少なくとも僕のビジネスは成長しているし、

僕にはこの縫製業がブルーオーシャンに見える。


そして、

またひとつ、

次の一手を始めることにしました。


内容は。。。



もう少しの間内緒です。


春頃に発表できればと思います。




日本の縫製をめちゃくちゃ面白くしますよ!



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