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本当は秘密にしたい「服づくりはピンチじゃない」

最近取材やら、いろんな人と話していて

「谷さんはこんな斜陽産業に入ってきてすごい」

とか

「逆張りですか!?」

とか

そんなことを言われるのに飽き飽きしてきたので、

僕がこのピンチだと言われている縫製業へ飛び込んだ根拠を書きたいと思う。

僕は間違いなく縫製業で成功すると確信しているので入ってきたのだ。

「縫製業」の現実

何度も書いているのだが、

日本の洋服の自給率は2.4%になっていて、

縫製工場の数は30年で1/4になっている。

市場規模に関しても10兆円あった市場規模が20年やそこらで9兆円に落ち込んでる。

ものの価格は下がっているし、日本の実質賃金は他国と比べても89%ほどになっている。

そのためものを買わない、安いものだけ買う、という流れができてデフレスパイラルに突入。


縫製業含めアパレルはピンチだ


僕はそう習ってきた。

業界の先輩の50代後半の方々に飲みに連れてってもらって

「アパレル業界に今から入るなんてハズレくじだよ」なんて言われてきたし、

工場を回っても実際に賃金も上がっていないし現実味はある。


だが本当にそうか?

表面的な数字や狭い範囲での視野のせいでそう感じているだけではないだろうか。

ある時そんなことを思うようになった、

実際に弊社のサービスMy Home Atelier(在宅で縫製のお仕事ができるサービス)への登録希望者は年間数百名いるし、縫ってほしい!というお客様の数もありがたいことにうなぎ登りだ。

確かにアパレル市場は小さくなっているように感じる、

ただ「その市場はどこか別の市場に移っている」と考えることはできないか、

と仮説を立てた、


その市場が「ハンドメイド市場」である。

少し前までのハンドメイドのイメージは

「少し器用な奥様が暇な時間に原価に近い価格で作品を販売し、みんなに見てもらう」程度だっただろう、

しかし現在のハンドメイド市場、minneやcreema、iichi、tetoteなどを見てみるととても素人とは思えない作品がずらりと並び、

実際に衣類、アクセサリー、バッグ、家具など様々なジャンルの「ホビー市場」でいうと市場規模は1兆9076億円(一般社団法人日本ホビー協会のホビー白書より)あると言われている。

ホビーユーザーは4696万人、

そのうちクラフト関係(洋裁や雑貨など)の何らかの活動を行なっているのは2141万人いると言われているのだ、


実際に僕の知り合いのプロのパタンナーさんと話をしている時にパタンナーさんが

「閑散期は自分で洋服を作ってCreemaで売ってる」

なんて話をしていたし

一般の方でもプロ作家になって1000万円近く売り上げる人も出てきた、

消費税の課税対象にもなるんだからこれは立派なプロの作家だろう。


つまり数年前の趣味の領域である「ハンドメイド」とは全く毛色の違うプロが蠢く市場に変わっているのだ、


そして販売チャネルもminneやCreemaだけではなく、

インスタグラムを活用して販売ができるよになったり、D2C(デザイナーが自社ECを活用しエンドユーザーに直接販売する)のECなどのチャネルもスタンダードになってきた、

それに伴いD2Cやハンドメイドに追い風をふかせるように誰でも簡単にECサイトを作れるBASEは上場を果たした。


ここまで書いているだけでも直感的に「ものづくりのどこがピンチなのか」と思うのである。


「縫製工場」という狭い範囲でみると確かにピンチなのだが、

「日本で流通する洋服をつくって売る」という括りでみるとむしろ市場全体が拡大していると考えることができるのではないか。

そしてハンドメイド市場で売り買いされる洋服は「アパレル市場規模」としてはカウントされずデータにも反映されていない可能性が高いだろう。


また、

一見関係ないような市場である「ホームセンター」の市場規模は現在国内で4兆円ある。

この規模も年々増加しているのであるが、

自分の業種だけに限ってみると「服づくり」には関係がなさそうなホームセンターだが、

実際に「ものをつくる」を好きな人の傾向として「観葉植物が好き」というものがあるし、洋服を自分たちでつくる人たちは他のものもDIYする傾向があるのだ、

つまり別の業種であってもその人たちが活性化していることが理解できれば自ずと自分たちの業界も盛り上げていくことができるのである。


アパレルという1つだけの市場に囚われて業界をみると確かに縮小傾向だ、

しかし僕の予想は全く逆である。


これから日本では

「ものづくり」に対する革命が次々と起きていく。


家庭用ミシン最大手のブラザーの売上推移を見てみても、

家庭用ミシン含めミシンの販売は700億ほどあるし、

リーマンショックで落ち込んではいるもののそれ以前よりも売上は伸びている。


つまり国内外含め「家庭でミシンが動く時間」は相対的に増えている。

と考えることができるのではないだろうか。


ものは買うもの。

から「つくるもの」へ変わる

売るのはプロ。

から「C(D)2C」へ変わる。

そんな中縫製工場はまだ「プロ限定」とか「法人限定」とか

最低ロット100枚とか言ってる。


そう考えると衰退している縫製業者はただこの変化についていけていないだけで、

その変化に追いつくことができる人にとってはむしろチャンスが広がっているブルーオーシャンなのだ。


だから僕はこの業界に飛び込んだ、

成功を確信して飛び込んだ(...ちょっと盛ってるかも)

確信とまでは言えなくても「成功する見込み」をもって飛び込んだんだ。


これは僕の縫製業界でのお話、

だけど他の業界でも応用できるだろう、

自分がいる業界が「衰退している」と感じるのであれば、

それは「ピンチ」ではなく「チャンス」である可能性はないだろうか?




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