見出し画像

ジェノスと温泉

サイタマ先生と1泊で温泉旅館に来た。
ヒーロー協会からの休暇だ。

生身の頃家族とたまに行ったことがあるくらいで先生と2人きりなんて夢のようだ。

「ジェノスー、料理楽しみだなー」
「はい!先生!」
味覚を作ってくれたクセーノ博士に心から感謝した。
先生は座椅子に背を預け足を投げ出して茶菓子をつまんでいる。

「俺、温泉旅館なんてはじめてなんだよ、土産何にしようかな?」
「誰に買っていくんです?」
「キングとか無免とか。ジェノスはクセーノ博士に買うだろ?」
そうだ、クセーノ博士は何が好きだろうか。
食べ物か郷土品か考えもしなかった。

「あー、飯食いてー。でも先に風呂行こうぜ」
「はい!」

露天風呂付き大浴場は幸いなことにちょうど誰もいなかった。
先生は前も隠さず風呂場にかかっている太鼓橋を嬉しそうに渡る。
「広いなー!こう言うのおもしれーな。ジェノスはジャグジーにあたれば気持ちいいのか?」
「ジャグジーを使ったことがありません」
「じゃあ、初体験だな」

先生と2人で強めのジャグジーにあたる。
それだけで心がほぐれていく。
サウナや電気風呂も体験してひと通り堪能した。サイタマ先生は終始笑顔だ。

「俺ばっかり楽しんでるな。ジェノスは温泉でやってみたいことないのか?」
俺は楽しそうな先生を見ていることがなにより嬉しい。自分のこととなると…。

「先生、今夜一緒に寝たいです」
「あー!エッチなことする気だろー」
「していいんですか!?」
「どうしようかなー」

翌朝。
料理も食べて満足した俺たちは温泉という雰囲気に飲まれてやってしまった…。
俺にとっては至福の時間だった。だが先生は…。
「ケツ痛え」
「先生すみません。ローションも何も用意してませんでした」
「帰ったら買おーぜ」

乱雑な布団で気付かれただろうが旅の恥はかき捨てだ。

土産を抱えた俺たちは思い出の場所となった温泉旅館をあとにした。

終わり

作者後記
温泉行きたい…

お金が欲しいです。