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弱みの克服

財務省が2020年度の法人企業統計を発表しました。飲食・宿泊業で借入金が膨らみ、感染症不安での苦境が鮮明になっています。20年度の飲食業の売り上げは22%減で、経常利益は赤字に転落し、借入金は38%増になりました。宿泊業の売り上げは39%減、経常利益赤字、借入金は25%増です。売り上げが落ちても、固定費は簡単に減らず、苦しい経営です。飲食業の自己資本比率は大きく減って、事業存続が危ぶまれる水準になっています。飲食業も宿泊業も、廃業や従業員削減など非常に厳しい状況が続いています。

私は中小企業診断士の更新のために、中小企業さんの経営診断をやっていました。感染症が拡大する前です。そのころアドバイスしていたのは、あたりまえですが、「強みを伸ばす、弱みを克服する」です。強みは、その企業の存在価値そのもの。弱みは事業継続のために放置できないこと。強みは、顧客分析が中心でプラス競合対策です。弱みは財務分析が基本です。よく、「弱みにこだわるな、強みを伸ばせ!」などと言いますが、それは大企業の論理です。中小企業が弱みを放置したら、事業は続きません。それこそ倒産です。

財務分析と言っても、難しいことはしません。見るのは、①損益分岐点売上高比率と②現預金月商数です。①売上金額がいくらを下回ったら赤字になるのか。固定費をどうやってコントロールするのか。②年商を12か月で割った月商をベースにして、現金と在庫をコントロールする。特に現預金は月商の3か月分ほど確保したい。固定費は、人件費、家賃、設備投資などです。この中でやはり重いのは人件費。しかし大切な従業員ですから、機械的に増減させるわけにはいかない。大変難しいです。結局、人とキャッシュの管理に弱みが内在する場合が多いです。

現在中小企業さんの経営は大変厳しいです。休業や縮小で、月商3か月分くらいのキャッシュは吹っ飛んでいるでしょう。根本からの経営変革が必要です。頑張ってほしいです。

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