見出し画像

序章 ─ 第1 節─ 調査概要と本書で使われるデータについて

─ 第1 節─
調査概要と本書で使われるデータについて

調査概要

● 調査期間:2019年10月17日~同年11月15日
※ 公益財団法人日本財団2019年度助成事業として実施
● 調査対象:ひきこもり・生きづらさの当事者/経験者
(年齢・性別問わず)
● 調査方法:オンライン調査および調査票調査

【調査の周知および調査票の配布について】
ひきこもりUX会議(以下本書では「UX会議」)のメンバーが培ったネットワークを活用して、地方自治体、社会福祉協議会、民間支援団体、当事者団体/当事者会(または主宰者)に、調査実施の周知と当事者への調査票配布の
協力をお願いした(調査依頼書、UX会議宛の回収用返信封筒込)。
また、UX会議が主催またはメンバーが登壇したイベント会場(2019年9月1日から同年11月14日に開催した14のイベント・当事者会会場にて。のべ参加者数386名)、UX会議のブログやSNSで、調査への協力を募った。直接問い
合わせがあった場合は、調査票を郵送するか、メールでアンケートフォームのURLを送った。
また北海道新聞、産経新聞、ダイヤモンド・オンラインなどで調査実施についての報道があった。

〈周知・調査票配布に協力くださった団体、個人〉
※ UX会議が把握している分
・地方自治体:3
・社会福祉協議会:2
・民間支援団体:5
・当事者団体/当事者会の主宰者:4
・ひきこもり当事者・経験者(個人):15名

【調査票回収方法】
 オンライン調査は、Googleフォームで作成したアンケートフォームへの回答の送信にておこなった。紙の調査票の回収は、UX会議宛の返信用封筒にておこなった。
● 有効回答数:1,686件・無効回答数:7件
(オンライン回収票94.2%、書面回収票5.8%)
(自由記述は合計約46万字)
● 監修:新雅史(流通科学大学商学部専任講師)
● 調査依頼書および調査票について:
本書巻末に調査告知チラシと調査依頼書および調査票を掲載した。

本書で使われるデータについて

┃本調査対象者としての「ひきこもり」の捉え方
調査では、回答対象者を「ひきこもり・生きづらさの当事者/経験者本人」とした。UX会議では、「ひきこもり」であるか否かを、既存の定義や他者による判定ではなく、本人が「自分をひきこもりだと思うかどうか」という主観
的判断(ひきこもりの自認)にゆだねている(→第1章第1節)。

これは、これまでUX会議が出会ってきた当事者/経験者が、厚生労働省が「ひきこもり」と定義する「仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流をほとんどせずに、6か月以上続けて自宅にひきこもっている状態」に必ずしも当てはまるわけではない、という経験に基づいている。
次節にて今回の調査と内閣府の調査の違いを説明しているが、そこから分かるように、これまで行政は主に客観的な外出頻度に基づいて「ひきこもり」について論じており、それに依拠した支援施策を講じてきた。しかしなら、そこから抜け落ちていたのは、当事者本人たちによる「ひきこもり」への認識であり、そこから生じる課題やニーズである。
また「ひきこもり」という自認に大きく関係する「生きづらさ」についての実態把握にも課題がある。
そこで、本調査では客観的な定義ではなく、当事者のひきこもりの自認に基づいた形で、ひきこもりと生きづらさの実態調査として行うことにした。この調査は「ひきこもりを中心とした生きづらさに関する調査」とも言えるだろう。


┃本書の分析対象
本書の分析に際しては、調査に回答した1,686名を分析対象としている。全体を通じて1,686名を基準に分析を進めたが、項目によってはそのうち「ひきこもり経験がある」
と回答した1,448名、「現在ひきこもり」と回答した940名を分析対象として記載している場合もある。なお各グループの「n(回答数)」が設問ごとに異なるのは、無回答を分母から除いているためである。
・ひきこもり当事者・経験者、生きづらさ当事者・経験者 1,686名※
・ひきこもり当事者・経験者 1,448名
・上記のうち「現在ひきこもり」当事者 940名


※ ひきこもり当事者でも経験者でもなく、生きづらさ当事者・経験者でもないと回答している人が2名いるが、それ以外の設問で生きづらさ、ひきこもりの経験について回答しているため分析対象に含めた。


┃どのように分析したか
分析は基本的に、統計ソフトのSTATA16.1を用いておこなった。解析方法は単純集計およびクロス集計が中心で安」(→第4章第3節)に関する自由記述は原則すべての回答についてコード化(タグ付け)をおこなって分析し、それ以外の自由記述については一部の回答を引用および抜粋している。がすべての回答を読み、分析をおこなった。問18「支援・本書内ですべての自由記述を紹介することはできなかったが、どの意見も、本調査でしか得ることのできなかった貴重な声であることを強調したい。な誤りと認められる箇所の修正および文意が通りにくい箇回答についてコード化(タグ付け)をおこなって分析し、そ所の補足などをおこなった。また、プライバシー保護のため粋している。一部を伏せ字としたり紙幅の都合上省略して記載しているなお、自由記述を引用する際は、表記や語法等の明らか場合もある。
本書内ですべての自由記述を紹介することはできなかったが、どの意見も、本調査でしか得ることのできなかった貴重な声であることを強調したい。


┃分析結果について
基本的な調査結果は、「ひきこもり・生きづらさについての実態調査2019報告書(総合・性別ごと・現在「ひきこもり」)」にて発表している。ただし、白書制作にあたって複数の回答についてコーディングをやり直したたため、報告書と本書では一部数値が異なっている。なお、上記の実態調査2019報告書はすべてUX会議のブログからPDFを閲覧およびダウンロードできる。冊子版についてはオンラインショップで購入できる。
┃ 図表で用いるデータの数値

本書で用いる図表の数値は、小数点第二位以下を四捨五入して表記した。
単一回答の設問において合計が100%とならず誤差が生じる場合がある。

┃本書内で用いるアイコンと引用タグについて
本書で記載する図表では、回答者グループをアイコンで表示している。(表 序-1-1)

画像1

同一項目内で複数の設問から自由記述を引用した際には、どの設問に対する記述か分かるよう、末尾に引用タグをつけている。単一/複数回答式の設問では、「その他」を選択し、記述をしている回答から引用している。(表 序-1-2)

画像2

本書の構成について

本書は、この序章に加え、第1~7章の本編と特別収録で構成されている。(表 序-1-3)
それぞれの章は、UX会議のメンバーが分担し、執筆した。

画像3


いかがでしたでしょうか。続きはひきこもりUX会議オンラインショップまたはAmazonからご購入できます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?