休憩室読書中座記

海辺の町のそちこちを動画や写真、文章で綴っています。かつて横須賀市上町にあり、現在は船…

休憩室読書中座記

海辺の町のそちこちを動画や写真、文章で綴っています。かつて横須賀市上町にあり、現在は船越の音楽教室内で不定期に読書のできる『休憩室』を開室しています。どなたでも無料で本を読みながら休憩や情報収集ができます。 最新情報はTwitterの@uwaq217にて。

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  • フィルム上映会準備note

    小さなフィルム上映会を計画し実施するまでのメモを元に、上映までの道のりを日記的に綴っていくnoteです。

  • 本・読書・書架

    書籍にまつわる記事をまとめたマガジンです。読書の感想から装釘の美しさ、または古書店での思い出などです。

  • 映画の感想と映画にまつわること

    視聴した映画の感想や映画についての妄想をまとめました。

  • 考えない日記

    疫病の蔓延に心まで奪われまいと、身近な日々の生活を特に考えもせずメモ的に記し始めたのです。

  • 写真部

    写真や写真のことを主に展開した記事をまとめました。横須賀のまちを歩いたものが多いです。

最近の記事

フィルム上映会準備note4:先輩に相談

映画に関する活動を長年されてきた大先輩二人に会いにいきました。  横須賀。地味に東京から距離があり、かといって超田舎へ行くというほど首都や横浜とも離れていない街。そんな横須賀で数十年に渡り自主上映やフィルム・アーカイブをされてきた大先輩がいるのです。 自主上映とフィルム保存  今ではなかなか想像することが難しいのですが、数十年前の当時は横須賀や小田原、鎌倉、横浜などに映画の自主上映クラブがあり、自分達の見たい映画や紹介したい作品のフィルムを借りてきて定期的に上映会を開く

    • 横須賀三浦にまつわる独立系小冊子3選

      この半年、横須賀三浦半島にまつわる素晴らしい冊子を手にする機会をえました。どれも個人が制作した小冊子ながらその内容と視点に力を感じるものばかりでした。せっかくなのでここで三選を紹介します。 まずはこちら。 『ヨソモノ 横須賀ぐらし。』 (発行所 ヨソモノブックス) この本は2024年の3月末に出版された冊子で、移住者を含む外からの目線を主体としています。横須賀の日常の街や人を、インタビューや写真を通してみつめなおす書籍です。 掲載された写真から製作者の意図が十分に伝わりま

      • フィルム上映会準備note3:私設の会場案

        別案閃く  前回のnoteでは候補にしていた市の施設が、チケットを広く販売する方法での会場利用が難しいと判断されたことを書きました。安価な市の施設を借りることを前提に構想を練ってきたので一旦振り出しに戻ります。しかし、歩きながら考えていると別の案が急に浮かびました。 小規模な会場への構想変更  当初考えていたのは市営の小劇場でした。しかし、考えを柔軟にすれば一回の上映で百名規模の観客を収容する会場ではなく、こじんまりとした場所での開催も可能性があることに気が付きました。

        • 影の階調に人間の輪郭をみた カート・ヴォネガット『母なる夜』 【読書中座記】

           朝食の後先に少しずつと決めながら、一章では止めらずに数日をともに過ごしたヴォネガットが今朝終わった。読み終えてみると、付き合いは短くとも濃い友情を結んだ気分がある。  カート・ヴォネガット『母なる夜』(池澤夏樹=訳 白水Uブックス)は、ドイツでナチスの戦時広報を担う一方で実はアメリカのスパイでもあった劇作家の物語。第一章の出だしで自分が収監中であることを伝える主人公が、頻繁に過去を振り返りながら、善と悪の両方に仕えた彼自身の戦後を綴っていく構成だ。  しかしヴォネガット

        フィルム上映会準備note4:先輩に相談

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          休憩室読書中座記『ソルニット〜カルヴィーノ』2024/03

          イタロ・カルヴィーノの『見えない都市』を読み終えたのでここ最近の読書をさらりとまとめてみました。 一冊目『迷うことについて』レベッカ・ソルニット 東辻賢治郎訳 左右社  ソルニットの縦横無尽に飛び回る筆致は今回も健在。出だしは子供時代に飲んでしまったユダヤ教の過越の祭りのワインから始まり、かつて時を共にした男と砂漠ガメの生息地へ、あるいは十九世紀のアメリカ砂金堀りへ。さらにはThe Clashの『LONDON CALLING』が呼び出され、ピーター・フジャーの写真に光をあ

          休憩室読書中座記『ソルニット〜カルヴィーノ』2024/03

          フィルム上映会準備note2:会場候補

          『どこで開催するのか?候補と会場チェック』  映画を上映するに当たり、場所を選定します。理想の場所はイメージできますが、前回の経験上、金額や施設面、あるいは約束事の面で希望と合致する会場を探すには一苦労の予感。 ちなみに理想の会場は・・ 理想の会場 1:施設利用料が上映の負担を増さない価格であること(市の施設は会議室等割安なものもあるが、ホールや劇場などは総じて高額) 2:会場でチケット販売等金銭の授受ができること(市営には物販やチケット入場不可施設も多い) 3:施設に

          フィルム上映会準備note2:会場候補

          フィルム上映会準備note1

           小さな映画上映会を行うためのメモを取り始めました。というのも映画上映というのはやるべきことが多く、忘れっぽい自分は備忘のためにメモをちょくちょく書いておかなければなりません。今回は自分のためにメモし始めたことを元に、上映会開催日記として再編成しnoteに公開していこうと思います。   準備のための準備スタート  2023年11月のある日、「来年は映画を上映する」と決めました。自分の中では上映会を開催したいという思いは常々あるのですが、「したい」という気持ちの段階では実

          フィルム上映会準備note1

          休憩室直近の開室予定

          【開室情報】 *『休憩室』とはどなたでも無料で読書や地域の情報交換ができる”本の読める休憩場所”です。 その他の最新情報についてはTwitterで発信しています。 . . . 直近>>2024年3月30日の土曜日に船越にて開室いたします。 【会場】 横須賀市の船越仲通り商店街にある『音楽教室』に休憩室の本を置かせていただきます。会場は京急田浦駅から徒歩2、3分、郵便局の数件先にあるガラス張りの店舗一階にある音楽教室です。 https://goo.gl/maps/6xsnk

          休憩室直近の開室予定

          読書中座記:翻訳という想像 『幻獣の話』

          池内紀著『幻獣の話』を読んでいる マルコ・ポーロから始まり、ギリシャ神話からゴジラまで、世界のありとあらゆる幻獣たちを独自の考察を彩に交え編み上げた随想。 博識を前面に広げながらもいやらしさがなく、堅苦しくもならずに読者を無限の想像の世界へ連れ誘う筆致は池内さん独自のものだ。今回の『幻獣の話』もあっという間に慣れ親しんだ池内紀ワールドへ連れ去られる。 17世紀のドイツで書かれた本の秀逸なタイトル 読書の途中で興味深い言葉を見つけた。それは、17世紀のドイツ、マクデブルクで

          読書中座記:翻訳という想像 『幻獣の話』

          【映画感想】『マンチェスター・バイ・ザシー』静かな動作で人間の心模様を描いた海辺物語

          傷ついた、漁師と甥っ子の心の交感を描く美しき港町映画 アメリカの海沿いの町を舞台に、傷ついた者たちの心の彷徨いを、静かに、そして極上の映像美を添えて描く人間ドラマ『マンチェスター・バイ・ザ・シー』の感想と、もしかしたら気付かない方もいるかもしれない、映画の本当のラストシーンについて書きました。  と、最初に綴りながら、実はあまりちゃんと観る気なく再生を始めました。その日は寝るには目が冴え、本を読むにはもう疲れていたので布団に脚を伸ばし、途中で寝てしまったらそれはそれでよしとし

          【映画感想】『マンチェスター・バイ・ザシー』静かな動作で人間の心模様を描いた海辺物語

          【考えない日記】 インディアナ、インディアナと書店の窓辺

          Premiereと壁に掲げられた雑居ビルのとなり、二階建ての二階部分の窓の向こうで、コックが二人楽しそうに料理をしている。愉快に見えるのは、昼の盛りを過ぎた14時46分が理由かもしれないし、あるいはその店が東南アジアの料理店だからかも知れなかった。 向かいのビルの三階にある書店の、窓際の席に座り、ミルク抜きのチャイを啜りながら暫く眺めた。スパイス香る湯気の向こう、ガラス窓と鉄柵の隙間に、てきぱきと無音で調理するコック達の姿。彼らの窓辺にはガス台があり、こちらの窓には紙一枚の、

          【考えない日記】 インディアナ、インディアナと書店の窓辺

          横浜 建築と落ち葉さんぽ 【スナップウォーク】

           横浜駅からSOGOの横を抜け、桜木町みなとみらい方面へ進みます。久しぶりすぎて記憶とは異なるビル群に圧倒されながら歩き始めました。 洒落た建物も増えたなぁとスカイビルしかなかった頃を思い出しながら歩く。 やはり横浜の観覧車は大きい 少し裏へ入ったビルの裏口 水面に枯れ葉漂う ビルたちの彩り、週末で人気の少ない道だった。 ニューヨークっぽい。行ったことないの。 横浜の掲示板。横の扉から人ひとり入れる入口。くたびれた手前のポールなども良い。 しかし、昔のビルは人

          横浜 建築と落ち葉さんぽ 【スナップウォーク】

          2023年記憶に残った読書6冊

           猫ほど人間の言葉を代弁させられている動物もいないなと思いながらパソコンの画面を閉じ、読み止しの本に戻った十二月の晴れた午前。引き続きバリー・ユアグローの『一人の男が飛行機から飛び降りる』を捲りながら今年の記憶に残った読書をまとめておこうと思い立ちました。  数多くは読めていませんが、その中から心に残っている本を紹介します。気に入ったものは大抵Twitter(x)にも投稿しているので既出をまとめた感じではあります。では、一冊目。 『オーウェルの薔薇』レベッカ・ソルニット著

          2023年記憶に残った読書6冊

          『朗読会part2』の記録

          『発生』✖︎上町休憩室with三本の木 スペシャル朗読会 part2の記録 2023年11月25日に行われた朗読会。当日の雰囲気とともに、各参加者によって紹介された書籍や文章の出典をここに記録します。  音楽教室、読書のできる休憩室、そして横須賀の飲み屋街で朗読会を開く『発生』が共同で開催した第二回目の朗読会。総勢十四名により様々な言葉が紹介されました。特にテーマや縛りを設けず、各人が思い思いに持ち寄った文章。発声という声の振動からそれぞれの心境や熱、あるいは落ち着きが伝わ

          『朗読会part2』の記録

          【読書中座記】人の夢 バリー・ユアグロー

           その夜に光ると聞いていた流れ星が見えるのではないかと、消した暖房の残り香で暖まった部屋の窓を開けた午前二時。ガラス戸は冷たく、夜の風が強く吹いていた。隣家の屋根越しに空を見上げると、冬の澄んだ天空に見慣れた星々。数十秒眺め、昔だったらこのまま車に乗って何処か暗がりを探しにいっただろうな、途中で誰かにメールして、返事が来る間も移動を続けて、結局誰も捕まらなかったとしても一人で佇む場所を見つけたはずだ、と自分に聞いてみる。冷えた窓を閉め午前二時の布団に潜り込んだ。  目を覚ま

          【読書中座記】人の夢 バリー・ユアグロー

          そこにいたこと

           日曜の午後、写真を撮りながら公園を歩いていると音楽が聞こえてきた。ステージはもう少し先なのだけど、海の見える芝生へ腰掛け、流れる音楽を聴くでもなく風にまかせる。カメラの設定を色々と試しながら空や行き交う人々を眺める。コスプレをして写真を撮る小グループがいたり、芝犬を連れた散歩者がいたり、歩けるようになった息子とサッカーまがいの球遊びに興ずる親子がいた。  最後の曲ですというアナウンスの後で流れた曲の終わる頃、風が吹いて肌寒くなった。芝生を後にして上着を羽織り、水路に浮かぶ枯