聞いてみた#5 : 県下一周駅伝大会

2018年になりました。

日本では元日にニューイヤー駅伝、2日と3日は箱根駅伝と、年明けは駅伝とともにスタートという方も少なくないのでは、と思いますが。

鹿児島では年が明けると、あの駅伝がまもなくやってきます。

鹿児島県下一周市郡対抗駅伝競走大会。

通称、「県下一周駅伝」ですね。毎年2月に行われ、鹿児島のこの季節の風物詩にもなっています。5日間にわたって全50区間以上、距離にして500km以上のコースで12チームが襷をつなぎ、まさに名前の通り鹿児島県本土を一周する非常に大規模な大会となっています。

鹿児島県民の我々はどこかで見聞きしたことがある人がほとんどだと思いますが、このような規模で行われる市郡対抗の駅伝大会は全国でも非常に珍しいのだとか。

奄美群島の日本復帰と、ラジオ南日本(現在のMBCラジオ)の開局を記念して1954年に始まりました。

取材を通じて県下一周駅伝選手やスタッフのみなさんとお会いするたびに、この大会の魅力を感じているのですが、そうして出会った選手のお一人、愛甲洋平さんにお話をうかがってみました。

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愛甲さんが県下一周駅伝に初出場されたのはいつですか?

第60回大会、当時35歳でした。
・1日目7区(西頴娃〜松ヶ浦)
・3日目11区(牧園〜日当山)
・5日目6区(道の駅垂水〜牛根)
以上3回出走させていただきました。

いくつのチームを経験されましたか?

選手としては、大島チーム、川薩チーム。
選手としては走れませんでしたが、鹿児島チームもサポートさせていただきました。

お仕事を持ちながら走っている選手が多いと思いますが、仕事と練習の両立はどうされてきましたか?

少し逸れますが、選手として走れたシーズンは、
体調管理、アルコール控え、朝練などが充実していたと思います。

鹿児島県職員は、県の中では比較的、時間が恵まれている方だと思います。
チームには夜勤のあるかた、就職先を探しながら練習されている方もいます。睡眠時間を削ってでも県下一周駅伝を目指す、そんな周りの選手に刺激をいただく日々です。

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県下一周駅伝の選手のみなさんは、ニューイヤー駅伝の実業団のように企業に所属しつつ練習環境があるというわけではなく、普通にお仕事をしながら、あるいは学校に通いながら練習されている方が大半です。

県庁にお務めの愛甲さん。最初は選手として取材させてもらったのがご縁でしたが、その後お仕事でもご一緒させて貰う機会があり、両面を見せて頂いた気がします。

愛甲さんとは昨年12月の「あくねボンタンロードレース大会」でもお会いしました。部門別入賞、さすがです(逆光ですみません)。

もともと陸上部だったそうですが、社会人になってからはチームスポーツをやっていて再度走り始めたのは30歳から、県下一周駅伝初出場は35歳というのは、本当にすごい。足元にも及びませんが、33歳から走り始めた自分は勝手に尊敬しています。


県職員や教員のように異動が伴うお仕事の場合、赴任先のチームに移って走られるケースも少なくありません。そのような選手の方々が各地のチーム支えている面もあります。

練習会や合宿も行われていますが、基本的に日々の練習は孤独なものです。不規則なお仕事だったりすると勤務終了後の早朝や深夜を練習時間に充てられている選手の方にも何人もお会いしました。

時間を調整し、ある意味プライベートも削り、そこまでして、駅伝に向かわせるものは何でしょうか。愛甲さんに聞いてみました。

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県下一周駅伝という大会の魅力はなんだと思いますか?

・日頃の周りの方々への感謝の気持ちを感じることが出来ること

・日々の努力の成果を体現できる場

・参加型の大会であること

選手として、スタッフとしてだけでなく、沿道からの応援、中継所での地域のおもてなし、交通安全対策してくださる方、SNSでの応援などなど、様々なかたちで参加することが出来る大会だと思います。

個人的には、沿道で選手の通過が今か今かと待っていらっしゃる高齢者の方の姿がとっても好きです。

・高校生から一般選手まで世代を超えてチームメイトと仲良くなれること

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これまで取材を通じて、県下一周駅伝に関わる多くの方に出会いました。選手はもちろん、各チームには選手を支えるスタッフのみなさんがいます。当日になると、中継所の運営スタッフのみなさんや、関係者、お客さんのためにおもてなしのお茶やお菓子を毎年用意される団体もたくさんあります。そしてもちろん、沿道で応援する大勢の方々がいます。

そして県本土を一周するので、5日間の日程のどこかでチームの地元、あるいは選手の出身地など「地元入り」をする瞬間があります。ここを走る選手の心境は、計り知れないものがあるはず。

チームカラーの風船を持って応援するみなさん。

恥ずかしながら自分も市民マラソン大会に出たりしているので、「なぜ走っているのか」と聞かれることがあります。

「走ること」とは?と愛甲さんにも聞いてみました。

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あまり意識していないのが正直な気持ちです。走るのは好きなのでこれからも続けていきたいと思います。

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人が走る姿、それを応援する人の姿、それ自体が感動を生むものだと思っています。

ひとりで走っていても、進める一歩一歩はかならずゴールに近づくものであることは、走っている人なら知っていること。

そして一本の襷をつなぎ、チーム全員で500km以上を駆け抜ける大会は、選手のみならず関わる全員、地域を巻き込んで「人は一人でないこと」「地域とつながっていること」を実感させてくれます。だからこそ、この大会は多くの人を感動させ、ここまで続いているのはないでしょうか。

第65回鹿児島県下一周市郡対抗駅伝競走大会は、2018年2月17日~21日の日程で行われます。

近くを通る日程のときだけでも、応援に出かけてみてはいかがでしょうか。


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青森県にも市町村対抗の駅伝があるんですね!

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