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TikTokから民謡まで音楽を語り尽くしました (瀬戸弘司×みの 対談 後編)

こんにちは!UUUM noteです。先週の前編に続き、瀬戸弘司さん × みのさん 対談の後編をお届けします!ふたりの目で音楽を捉えると、なるほどそうなるのか…!とお話はよりディープな方向へ。さっそくどうぞ!

前編がまだの方はこちらから▽

設計している人の音楽の捉え方が表れてるんだよね

(みの)
瀬戸さんってやっぱりガジェットに強いから、シンセサイザーとか、スタイロフォンとか、いまアツい音楽系ガジェットを紹介してくれるのも楽しくて。

(瀬戸)
もともとガジェット系YouTuberとして、色んなものを紹介してきたからね。俺の音楽の入り口は、さっきの(前編)ラップというのもあるけど、もうひとつは、ガジェットから入った部分もあるね。紹介していく中で、これめっちゃ面白いじゃんって。音楽系ガジェットへの興味はすごく強い。

最近、自作キーボードとか作ったりするけど、音楽のコントローラーもどこにも売ってないやつを手に入れたいっていうモチベーションでハンダ付けまでする。
音楽系ガジェット見るために動画見てくれている人もいるんじゃないかな。プロの人でもわからないじゃない、新しいものがどういう音がなるのかとか。

(みの)
まさに、俺もめっちゃ見てます。瀬戸さんの動画見て買ったガジェットありますし。

(瀬戸)
面白いのは、音楽系ガジェットを設計している人が色んなこと考えてて、その人の音楽の捉え方がデザインに表れてるんだよね。
楽器でいうと、アコーディオン最近やるんだけど、左側のコードのボタンと右のメロディのボタンがあって、配列がピアノとかと全然違う。そこから出てくるフレーズとかも違うし。音楽の考え方の違いがわかって面白いっていうか。そういうの見るのが大好きなの。


音楽を聴く喜び 作る喜び 参加する喜び

(瀬戸)
どういうふうに作っているのかっていうことにもすごい興味がある。どこから作るんだろうとか、何を考えて作るんだろうとか。
10分で曲を作るAgainst The Clockっていう動画があがるYouTubeチャンネルがあって。あれもすごい好きなんだよね。

(みの)
「ズルしてるんじゃない?」とか思っちゃう(笑)

(瀬戸)
失敗するのもあるのよ結構。そこも面白くて。「え、そこまでしかできないんだ」みたいな。5分くらいで終わっちゃう人とかもいて。「俺はこれで終わりだ、かかってこい」みたいな。急にラップし始めて、残りの5分はラップで終わるとか。こいつなんなんだ!って(笑)

(みの)
パフォーマンスまでパッケージしちゃうっていう。

(瀬戸)
できない人もいるし、すぐできちゃう人もいるし、俺もやってみたりしたんだけど。ああいうのすごい好きだよね。

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(みの)
面白いなあ。この間、ROLANDのTR-808<ヤオヤ>の開発者について書かれた本 を読んだんですよ。今、瀬戸さんが言った視点に近くて、音楽にも興味あるんだけど、入口は技術のところからで、操作面の人間工学的なデザインの話もありましたね。
僕はどっちかというと「とりあえず楽器を持ちたい」みたいなところが入り口でしたけど。

(瀬戸)
フィジカルな感じね!それわかる。

(みの)
さっきの(前編)ラップの話でも、音楽の知識ない人も入りやすいっていう話ありましたけどそういうソフトウェアやシンセサイザーが結果、ニューヨークで音楽教育受けてない人にすごく使われてるみたいな話がめちゃめちゃ面白いなと思って。その入り口から入っている人がめちゃめちゃ音楽の歴史変えてきてるっていう。

(瀬戸)
例えば音楽を作るとき、どういう思想で、どういう風に作らせようと設計されているものを使うか。っていうか、作り方なんだよね。
だから、新しいソフトとか新しい楽器に興味があるのは、それを使えばまったく新しいものが出てくるんじゃないかっていう期待があるから。

(みの)
本当にそう思います。

(瀬戸)
AIがどう曲を作るかみたいな時代に入ってきてるから、音楽の知識がない人でも、全自動BGM制作ソフトとかのサイトあるからね。「ジャンルを決めてください」とかでできちゃう。訓練してなくても音楽が自分でできてすごい楽しめるみたいな。俺はそこを楽しみにしてるし、それを追い求めてるかな。

(みの)
そんなのあるんですか!あとで教えてください、動画のネタに(笑)
音楽って聴く喜びもあるし作る喜びもあるけど、参加する喜びもあるじゃないですか。瀬戸さんは、そのすべてを味わってる気がします。そういう人口が増えていったら、面白い発想がどんどん出てきそうでいいですよね。

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知らない音楽を探す方法

─おふたりとも、音楽に限らずですがいろんな分野の勉強をされていると思うんですが、そのモチベーションはどういうところにあるんでしょうか

(瀬戸)
そもそも、みの、勉強ってしてるの?!

(みの)
勉強、めっちゃしてます・・・あー言いたくない!(笑)「毎日お酒飲んでます」・・・すみません、嘘です(笑)

(瀬戸)
記事では「勉強してます」に取り消し線つけて「お酒飲んでます」にしてくださいね!(笑)(編集より:すみません!いまのnoteの仕様では取り消し線ができなくて、両方生きにしました)

結構なスピードで解説動画とか出してるじゃない?元々知ってる部分もあると思うけど、ネタ作りが大変になったりしないのかな?って思って。

(みの)
動画を作るときに、普通に生活していて「あー、あれいけるぞ!」というパターンもありますけど、本を2-3冊読んでようやく1本の動画になるみたいなパターンと両方あるんです。

(瀬戸)
わかる。インプットとアウトプットのバランスね。

(みの)
だから本を読んだり、知らない音楽をひたすら聴くという行為もしてます。

(瀬戸)
その、知らない音楽の探し方、俺聞きたいな。まったく知らないジャンルの曲を探しに行くの?自分で?

(みの)
基本、アーティストを軸に数珠つなぎでいこうとすると、わりと近いジャンルのものが出てくるんですね。
知らない音楽を探す場合、僕がおすすめしてるのは年号を入れて検索することなんですけど。

例えば「78年」とかで検索すると、78年のロック、ポップ、R&Bとか全部出るんですよ。やっぱり年代ごとに売れてるジャンルって違うから、その時期だとディスコが多いな、みたいなたどり方でディスコにいく、という派生は結構あると思うんですよね。

(瀬戸)
ほおー、普段からそれやってるの?移動中とか。家で聴くことが多いの?

(みの)
聞きたいアルバムリストみたいのが常にあって。多分、一日に数枚のアルバムを聴いていると思います。それって映画2本分くらいの時間ですよね。

(瀬戸)
聴きながら他のことやろうとすると難しいよね。

(みの)
そうそうそう、音楽を聴くときは、YouTubeの作業はできないですね。アニメも見られないし、結局読書とか。


日々の動画を上げながら曲作りも上手くなっていきたい


(みの)
瀬戸さんは、勉強とかインプットってどうなんですか?
この間も瀬戸さんの動画見てマイク買ったんですけど、なんでこんな詳しいんだろう?って思って。

(瀬戸)
ガジェットに関しては、やっぱり、周りにガジェット系の人が集まってくるから、その中で「これいいよ」みたいなのを通じて、だんだん知ってく感じ。

音楽については勉強っていうか、俺の場合、まだ音楽を自分の動画の中にちゃんと入れられてないって思ってるのよ。曲作りを上手くなりたいって常に思ってるよね。
日々、動画を上げながら曲作りも上手くなっていくみたいな、生活の中に音楽が溶け込んでいる、その様子を動画として出していくっていうようなのが俺の理想なんだけど、なかなかどう合わせていくのかわからない。

(みの)
そのスピード感とかリアルタイム感みたいなことですよね。

(瀬戸)
そうそう。例えば普通にレビュー動画撮って、その素材を使って音楽を作るっていうのを毎回やるとかね。
なんでそんなこと考えてるかっていうと、TikTokとかInstagramとかYouTube Shortとか、短い動画にすごく興味あるの。やっぱり音楽が前提みたいなやつじゃない? 自分で作った変な音楽をみんなが引用できて、みんなが踊るやつとか、それの発信源になれたらいいなあとか思う。

(みの)
瀬戸さんすぐにできそうじゃないですか。一次素材として動画のトークとかがあって、それにビートが乗っかったり、シンセが乗っかったりみたいな。

(瀬戸)
それが意外とね、どう組み合わせていったらいいか分からないというかね。例えば「iMacレビューします」っていう動画と音楽をどう繋げればいいのかっていう。

(みの)
それ、すでに瀬戸さんの商品紹介ラップで答え出てる説ありません?(笑)


いい音楽ってなんだろう


(瀬戸)
音楽に合わせて紹介すれば良いって話なんだよね。
でもさ、街を走る宣伝トラックでさ「らーららららら高収入〜」って連呼するやつあるじゃん。耳にこびりつくじゃん。こびりつかせるためのものだから、目的は達成できてるけど、それいい曲なのかっていうと、それは別だと思うし。いい音楽ってなんだろうって思ったりもするの

(みの)
ちょうど、友だちとその宣伝トラックの話をしてたんですけど(笑)

(瀬戸)
すごい(笑)やっぱりそれ話してるんだ。聞きたいそれ。

(みの)
あれには、メロディがないんですよね。鍵盤で言うと全部同じ音。タータタ、タタタ、タータタ、みたいな感じで。
だからリズムがあるけどメロディーとハーモニーがないから、音大とかで習うような古典的な区分けでいったら、音楽じゃないってことになるんですね、あれは。

(瀬戸)
そっか、音楽の最低の要素が揃ってないっていう。なるほど音楽じゃない。

(みの)
どっちかっていうと、会話に近いっていう。古い考えでいうとですけど。

(瀬戸)
そうかそうか。面白いね。
でも、今みたいな一瞬で掴まなきゃいけないって世の中では、そのテクニックってすごい大事だよね。俺はその悪用すらできてしまう音のリピートの要素っていうか、それをすごい大事にしているし、その恐ろしい力を意識して作るようにしているって感じかな。行き過ぎはやばいと思うんだけどねもちろん。

(みの)
最近の音楽にも、同じ単音でずっといくのって結構多くて、ビリーアイリッシュの「bad guy」とか「ターンターンタタターン」って全部同じ音じゃないですかメロディが。
そういった流行に先駆けて、瀬戸さんの音楽ってメロディーラインが単音の作風で確立されてたなって思うんです。

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─視聴者さんで、小学生のお子さんが瀬戸さんに憧れて自分で作った曲を動画編集して、お父さんがTwitterにあげてバズってたこともありましたよね?

(瀬戸)
あーそれ見たかも。すげー曲なんだよ。「美味しかった美味しかった美味しかった」みたいのをビートに乗せてみたいな感じだった気がするけど。そういうやばい映像が送られてきたんだよ。すげーって思って。

─そのお子さんが「瀬戸さんの音楽」って認識してるんだなって思いました

(瀬戸)
そういうことなんだろうなあ。音楽勉強してるとかっこいい曲とか作りたくなっちゃうんだけど、俺はそっちにはいかない方が良いのかな?とかそういう迷いも出てくるんですよ。

世の中にはかっこいい曲いっぱいあるから「あ、この人の曲いいな」って思っても、その人はプロのキーボードプレイヤーだったりする。そうするともう弾けないしってなっちゃうから。俺が今まで作ってきたやつかーてなる。俺が作るのってやっぱそういうやつだよなーって。

(みの)
いや、瀬戸さんの音楽、かっこいいと思いますけど。
バシッとスーツのかっこいいなのか、普段着でのかっこいいなのかみたいな違いで、そういう普段着のかっこよさですよね。

感覚の変化が起きているからそれをキャッチしていかないとなって

─さてさて、お話変わりますが…今、おふたりが気になっているコンテンツを教えてください

(瀬戸)
俺はもうTikTokですね。自分が作りたいって言うのもあるけど、見てますね。YouTubeとはまったく違うものが見られるから。自分がこれから作るもののヒントになるかもしれないし、どんなコンテンツが人気なのかとか見てる。

(みの)
TikTokに興味が向くという、そこのフレッシュさは見習わなければ。

(瀬戸)
やっぱり、若い人が「面白かったです!」って言ってくれるのがすごい嬉しいんだよね。「うちの子どもが見てます!」みたいのも嬉しい。
ちっちゃい子や10代の人たちがどういうものを面白いと思ってるのかなっていうのを見に行くようにしてて。
最初はがんばって見てたところもあったんだけど、最近は普通に楽しんで見てる。

(みの)
なるほどなあ。TIkTokをよく研究している様子が伝わってきますもんね。

(瀬戸)
自分がこれからどういう動画を作っていけばいいかっていう研究だね。TikTokで有名な方なんだけど「トランジション」(場面転換。画像と画像を切替える手法)だけの動画の人がいて。一番衝撃を受けた。
動画がどんどん短くなってて、トランジションだけあればいいんだってことなんだよね。この人は自然にやっちゃってるんだと思うけど、結構その発想の転換ってやばいなと思って。

TikTok動画をみのさんに見せながら話す瀬戸さん

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(みの)
その着眼点はまったくなかったですね。普通に動画作ってたら出てこないかも。

(瀬戸)
なんでそうなっちゃうかっていうと、飽きさせないためにどんどん変えていくっていう事なんだと思う。それをトランジションって言っていいかわからないけど、とにかく変えることに意味があるんじゃないかな。「待ってらんない」っていう若い人の感覚が、トランジションだけでいいよねってところにつながってるなって僕は思ってる。

(みの)
アンテナの感度がやっぱりすごいですよね。僕なんか、TikTokほとんど見てなかったです。

(瀬戸)
あと最近興味を持って聴いてるのは、ローファイヒップホップ、ブームになってるけど。あれも一曲が2小節くらいのループなんだよねずーっと。展開しないの。短いやつだと1分もないみたいなやつで。

アーティストもすごくたくさんいるから、そのプレイリストが無限に続くんだけど、なんで展開しないかっていうと、次の曲に行くことで展開するっていう。
「あーだからか」っていうか。
みんな1曲として聴いてなくて、プレイリストの中で適当に流しておいて勉強しながらBGMとして聴くんだけど、1分くらいで次の曲に変わるからそれで展開させていくっていう。それトランジションの感覚と似てるなって。

そういう感覚の変化が起きているからそれをキャッチしていかないとなっていう。若い人の感覚を追っていくの面白いでしょ。おじさんなりの分析なんだけどね(笑)

(みの)
うーん、めちゃめちゃ気づきがありました。いろいろ。


民謡って 邦楽がどこからきたのかっていう問いへの失われた答えみたいな感じ


(瀬戸)
みのは気になってるコンテンツとかあるの?動画見た感じ、ゲームもけっこうやってるように思ったんだけど。

(みの)
ゲームは好きですね。20代前半くらいまではけっこうやるタイプだったんですけど。最近、チップチューン(ゲーム機に搭載された音源チップで作られる音楽)とかそういうあまり日が当たってこなかった音楽に興味あります。ゲーム音楽については、村上隆さんが「そこは早めに気づいて手柄とっちゃう人がでてくる」みたいな話をしてたんですけど、そこも「あそっか残ってるんだ」みたいな感じで。そこは紹介していこうかなと思ってます。

あと、ずっと気になっているのが民謡かなぁ。LP取り寄せたりとか、CDとかも買ってるんですけど。めちゃくちゃ面白い。本当に多分、最大のフロンティアだと思ってます。

(瀬戸)
本にも書いてあったよね。本当に日本の音楽を徹底的に掘り起こしてつなげてやろうっていう意志を感じた。もちろん自分で民謡をやっている方は民謡の紹介とかしてるかもしれないけど、全然関係ないところの人が民謡いいよねって言ってるのはあんまり見たことがなかったね。

(みの)
エロ民謡のコンピ盤とかもあって、本来はそういうのって、内々で楽しむもので外には出ていかないものなんですけど、そういうのを集めたCDとかもあるんです。本当にお座敷で酔っ払ってエロいこと歌ってるっていうぐらいの。

(瀬戸)
そもそも民謡って地域の人たちが歌って楽しむもので、なかなかCDにしようみたいな、音源でとっておこうみたいなのってないよね。フィールドワークで集めて回っている人とかいないの?

(みの)
民謡ってもともと地域のものだったのが、レコードが出てきた時点で一回全国のものになった。ソーラン節(北海道発祥の民謡)が東京の盆踊りで流れるとか、もう地域性があんまり無くなってきたというのはあるかもしれない。

民謡にはいろんな意味で興味ある感じです。邦楽がそもそもどこからきたのかっていう問いへの失われた答えみたいな感じがしていて。
半分くらいは舶来の文化で入ってきたものを日本人流に咀嚼したものかもしれないけど、独特の邦楽っぽさって、もしかしたら民謡とかから来てるんじゃないかっていう。

(瀬戸)
そこだよね。俺、みのの本を読んだときにあとがきが一番ぐっときたっていうか。やりたいことそのものが書かれてて。
みのの曲作りもそうだけど、邦楽を貫く共通のルーツがなんだろうってずっと探していこうっていうのが、モチベーションになってるってことだよね。
あと、そういうことやっている人ってそんなにいなかったんだね、っていうのも知らなかった。

(みの)
僕もそう思ってたんですよ。誰か大学のえらい人とかが本書いてるんじゃないかと思ってたら誰もやってなくて。洋楽とかの歴史はすごく論じてきた人がいるのに。邦楽はないんですよね。

(瀬戸)
だからすごい面白いことしてるなーと思って。いいとこ見つけたよね。これから期待しています。

(みの)
すごい(笑)なんか政治家みたいに締めましたね!


─瀬戸さん、みのさん、前編後編になるほどたくさん、かつ、深いお話しをありがとうございます!

とても面白い化学反応が起きた対談でした!新しいことや興味のあることを日々追求するおふたり、これからもどんなコンテンツでどんな世界を見せてくれるのか、さらに楽しみになりました!

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