二日月うら若竹の影もなし  内藤鳴雪

二日月は、三日月よりも細く、光も弱い。なにかと三日月と比べられ、三日月の陰に隠れて見過ごされがちになる。ところが俳人ともなると、秋の月は格別となり、日々変化する月の満ち欠けを愛でながら1か月まるっと楽しむ。ものの影がまだ定まらない時刻、運よく空が澄みきっているときに限り二日月は、きりりとした姿を現わす。初々しい若竹のような姿にうっとり。月が沈むまでのわずかな時間がいつのまにか消え、我を忘れる。

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