第2章 基本原則 | うつ歴10年の"味方化コミュニケーション"

お立ち寄りいただきありがとうございます。
うつシャカです。

今回は、「第2章 基本原則」をお届けいたします。
基本原則の説明に併せて、相手の気持ちをケアする会話法やメリットも紹介できたかと思います。

よろしくお願いいたします。

■ 第2章:基本原則
・Give and Giveの精神、そして覚悟
・肯定的な姿勢で臨む
・自己開示。真摯に、正直に
・質問と一緒に仮説を返す

Give and Giveの精神。そして、覚悟

 まず、肝に銘じておくべき原則は、「Give and Giveの精神」です。第0章・第1章では、相手を味方にすることを主張してきたため、もしかしたら、味方化コミュニケーションは、自分のための操作主義的な手法だと思われているかもしれません。しかし、味方化コミュニケーションを体得するにあたって第一に心に留めておくべきなことは、相手のことを想うことであり、Give and Takeではなく、Give and Giveの精神をもっておくことなのです。

コミュニケーションで相手を楽しませたりよろこばせるには、たとえば、笑顔で接したり、ジョークを挟んだり、良いリアクションをしたりするということがあります。
さらにビジネスシーンでいえば、情報提供したり、手厚いサポートをしたり、値引き交渉に応じるなどもよろこんでもらえる行動になります。

そのようなとき、見返りを意識しないことがGive and Giveです。自分がTakeできなくても、Giveし続けるんだという意識を持ち続けることを推奨します。

すると、相手が味方とみなしてくれやすくなり、協力的な対応に近づくことができます。信用も勝ち得る期待ができます。

しかし、気をつけておかなければいけないことがありまして、Give and Give精神には覚悟も必要なのです。苦痛を伴うことがあるからです。

残念ながら、Give and Giveで楽しい時間や情報を提供できたとしても、返ってこないことがあります。平然と受け取るだけ受け取って、何もGiveし返さない(Takeさせない)搾取型の人も多く存在します。

たとえば、雑談の場面で、いわゆるイジられ役とみなされ妙にからかってくるようになったり、見下した態度をとられてしまうこともあり得ます。落語の世界でも噺家(芸人)は人前でおどける仕事だからお客さんから下にみられがちという話も聞いたことがあります。サービス業、接客業で心当たりのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
仕事で丁寧に丁重に接していると、機嫌がよくなるならともかく、自分が偉くなったように錯覚し、尊大な態度をとってくるお客さんもいるのです。
それと同様なことが起きます。

たくさんのフリーランス営業マンやビジネスマンと接したことで、自分はもらっても、人に与えない人が世の中に多いことに気づきました。私自身もそうでした。ちなみに、大企業サラリーマンの方に多いと感じています。

Giveの精神に気づいてくれない人がたくさんいる中で、それでも、基本的にGive and Give精神に基づいていくという覚悟で、行動し続けることができれば、味方化コミュニケーションはほぼ体得したようなものです。

肯定的な姿勢で臨む

 次の原則は、「肯定的な態度で臨む」です。これは、基本的に、相手の発言を否定しないスタンスを取ることを意味します。ただし、何でもかんでもイエスというイエスマンになろうということではありません。

ここで重要なのは、「大同小異」を伝えることです。
たとえば、論理的に敵でも、感情的には味方という構図を考えます。同じIT業界の競合他社で働いている人が「システム開発はやりがいがありますよね」という会話で盛り上がることもそうです。利害関係は対立し得る立場であっても、嫌いな敵という印象にはなりません。むしろ、同志や、まさに味方という感覚が近いはずです。

味方化コミュニケーションで目指すのは、完全な一致ではなく、互いを尊重し、肯定している前提で、異なる意見も理解し合っている関係性なのです。

他にもコミュニケーションの具体例を出しておきます。最近食べた美味しい物の話を想定します。

【NG例】
相手:「私は甘党で、よくスイーツ食べ歩きをしているんですが、一昨日いったパンケーキ屋さんの生クリームがとても美味しかったです」
自分:「えー!カロリー高いのに。私は甘い物が嫌いで、避けています。糖尿病も怖いですし」

いかがでしょう。相手の感情として、自分の好きなものを否定されて、ちょっとムッとしてしまいそうな返し方だとお感じかと思います。

【OK例】
相手:「私は甘党で、よくスイーツ食べ歩きをしているんですが、一昨日いったパンケーキ屋さんの生クリームがとても美味しかったです」
自分:「へえ!良いですね。私は逆に甘い物が苦手で、避けることも多いんですよね。カロリーも高いんじゃないかと気になってしまって。」

いかがでしょうか。今度は、相手の好きなものに対しての意見交換ができているニュアンスになったと思います。

NG例のよくないところは、次のような点です。
・いきなりネガティブな反応をしている
・「嫌い」という強い言葉を使っている
・決めつけが含まれている

逆にOK例のよいところは、こちらです。
・はじめにポジティブな反応をしている
・「苦手」という言葉で主張を緩和している
・あくまで自分の考えであることを伝えている

両方とも、自分は甘い物を食べないという立場であるにもかかわらず、敵対的か、友好的かでかなり印象が異なります。

次に相手がどう対応するかを想像してみると、味方化コミュニケーションの特徴が明らかになります。
NG例では、相手はきっと、自分をスイーツに誘うことはありません。スイーツ関連は嫌いと思われているからです。しかし、OK例では、カロリーが低く、甘さ控えめなスイーツ店を知っていれば誘ってくれそうです。

この時点で、自分の知らなかった情報を得られるかどうかで差がつきます。敵対的なコミュニケーションをとると、広がりはありません。友好的なコミュニケーション(味方化コミュニケーション)をとると、機会と情報が増えるのです。

テクニックの面では、まず肯定的リアクションから入るのが基本形です。
また、「嫌い」「ダメ」「非常識」など、角が立ちやすい言葉を使わない訓練も必要です。

仕事の会話であったとしても、肯定的な姿勢に気をつけておくだけで、相手を萎縮させたり、やる気を損なわせたりせずに済むことが期待できます。
具体例は後の7章ケーススタディでたくさん挙げていきますのでご参照ください。

自己開示。真摯に、正直に

こちらも少し、覚悟というか、勇気のいるコミュニケーションです。ここでは会話の中で、自分を表現するシーンを考えます。

自分の意見が相手とちがうと申し訳ないとか、恥ずかしいとか感じる方もけっこういらっしゃるのではないでしょうか。

それは、好きな人に告白をするとき、緊張するのと一緒だと思います。否定されたり断られれば傷つきます。しかし、それがゆえに、正直に自己開示すると、相手も自分の考えを表現してくれやすくなります。

たとえば、自分が人生で何を重視しているのか、相手に伝えることも勇気のいることです。人生でやりたいことを考えることに対し、非現実的で夢想家だと嘲笑う風潮が世間にあります。意外と1対1で話すとちゃんと意見として受け取ってくれるものですが、やはり怖いものです。

そのようなとき、批判を恐れるがゆえにわざと自信に溢れた態度で主張してくる人もいました。
「一生遊んで暮らすのが夢なんだ」とどこからでてきたかわからない自信に満ちた表情で語るおじさんが懐かしいです。

そうではなくて、真摯に、正直に、という意識をもって自己開示することを、味方化コミュニケーションでは重視しています。

自分の意見や感じたことを表現できるようになると、相手から情報を引き出すこともうまくなります。他にも、自分の興味の有るポイントを積極的に質問していくことに抵抗がなくなります。「知らないことがバレたら恥ずかしい」「評価が下がるかもしれない」など、特に人目を恐れがちな人には、味方化コミュニケーションはオススメです。

ときには、「失礼な質問をして相手に嫌な思いをさせてしまうかもしれない」と警戒する場面があると思います。
そのようなリスクは、コミュニケーションの非言語の部分でカバーできますし、前置きをすれば大丈夫です。

疑問があれば、正直に聞く。あくまで自分の意見であることを認識し、決めつけて相手に賛同を強要しないこと。相手の意見を聞き出すチャンスでもあります。

礼儀やマナーよりも、相手の体験や知識に興味があるというメッセージを伝える方が、よろこんでくれるのです。礼儀やマナーは、だれにでも同じようにできるけど、相手のもっている知識や体験談には、価値がありますし、価値があることを伝えると、よろこんでもらえます。

質問と一緒に仮説を返す

ここまでの3つと異なり、これは、気持ちやスタンスというよりも、テクニックやノウハウです。仕事の場面でもとても便利なので、普段から取り入れてほしいのでこちらに追加しました。

具体例があるほうがわかりやすいと思いますので、いくつか紹介します。

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はじめまして。うつシャカと申します。 「高学歴うつニート、社会を識る」というブログを運営しております。 うつにも非うつにも、読んだ人の役に立つコンテンツを提供していきます。