生活習慣病の薬

ここ数年来、日本でなにかというと持ち出される病名といえば生活習慣病ではないでしょうか。
まず当たり前ですが生活習慣病という病気は存在しません。
食事や運動、仕事あるいは喫煙や飲酒などの日常習慣が病気の発症原因と関係があると考えられている病気の総称です。
生活習慣病という言葉が使われるようになるまでは、成人病などと呼ばれていたことをご記憶の人も少なくないかと思います。
もちろん代表的な生活習慣病である糖尿病や高血圧症、高脂血症は発症してしまうとやっかいな病気であることは間違いありません。
しかし、健康診断で基準の数値からはずれたからといって、即再検査や精密検査を求め、無理やり生活習慣病患者予備軍を作っていくような今のやり方には問題があるとしかいいようがありません。
 
そもそも私は、生活習慣病の予備軍と認定される健康診断の基準数値自体に意味がないと思っています。
考えてもみてください。人間はロボットではないので、人それぞれ健康に関係する数値は異なっています。
血圧でいえば、生まれながらに高い人もいれば、低い人もいます。
その人固有の数値で健康に暮らしてきているはずです。
それがある日、この数値をオーバーしているから高血圧予備軍だ、高脂血症予備軍だと決められてしまうのは非常におかしな話です。
そもそも毎日・毎週定期的に行っているのであればともかく、1年に1回行うだけの健康診断に信頼性などあるはずがありません。
 
人により血圧に違いがあるのは当然のことで、年齢が高くなるにしたがって血圧は高くならねばなりません。
またちょっとした状態でも血圧は変動するのが当たり前で、100メートル走の直前の選手はかなり高いということがわかっています。
これらはすべて体が意味を持ってやっているのであって、必然だという考え方が重要なのです。
 
残念ながら日本の健康診断にはまったく意味がないと言わざるを得ません。
というのも海外では健康診断には費用対効果がないということで、まったくといっていいほどやられていないのです。
また希望者がやることはあっても侵襲的な検査(たとえばマンモグラフィーやCTなど)はしませんし、そもそも基準値が日本と海外では全く違うのです。
 
生活習慣病という名が示すように、薬を飲んでも意味はないばかりか有害なのです。
まずご自身の生活習慣を振り返り、本当の意味で有益な食事や運動をこころがけ、それでも後述する基準以上の異常な数値が続くようであれば、そこで初めてなんらかの治療法を考えてみるのがよいと思います。
 
<薬毒論より抜粋>
 
 
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https://www.reservestock.jp/page/index/38516

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