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TIMELINE for ”HOMELAND 11 blues” 梅田Shangri-La 感想

はじめに


 台風で危ぶまれる中での開催。新幹線も一部運休など交通手段も難しいなかでの初日となった。
30日に予定通りに開催というアナウンスがなされ、行きたいけど行けなかったという人も多くいらっしゃっただろう。私は前日に飛行機を予約して、何とか辿り着けた。。。


感想① 登場〜Co.starまで

 開場前にスタッフの方が前に前に詰めるよう促される。台風等で遅れている方もいらっしゃるので出来るだけ前に詰めてくださいというアナウンスをされていた。しかし今度は前に詰め過ぎたのか、もう少し後ろに下がっていただいても大丈夫ですとさらにアナウンス。協力ありがとうございますと気持ちよく誘導されていて良かった。 

 定刻の1分ほど遅れてからのメンバー登場。
始まりはアコースティックで猪狩さんのソロ演奏のbarefoot。あぁ、とうとうツアーが始まったんだなと感激。たった一人での演奏のはずなのに、色んな音色が聞こえるようだった。
 演奏が終わったと同時に小西さんのベースが走り出す。まるでsingularityのDignityから冒険衝動に繋がるかのように。その間に猪狩さんはギターを持ち替えていた。ベースとドラムが響く中にギターが入って始まるvase。やっぱりこの曲は小西さんが輝く。ベースはもちろんのこと、コーラスもいい味を出していた。サビに入る前の一瞬のタメ、ラストの畳み掛けるような演奏には釘付けにされた。
 続くnewsongは中畑さんのカウントから始まっていた。恐らくベストアルバムツアー以来となる意外と久しぶりの演奏。ラストサビの、がなるような歌声が心に沁みていく。

夜が恐いなら泣いたらいい
朝を迎えて笑えたらいい
どれだけ今日に疲れても
まだ観ぬ今日は美しいんだ

 この歌詞にどれだけ救われたことか。

   Co.starはバチバチに格好良い。真っ赤な照明に照らされたメンバーが観客を音でぶっ飛ばしてくる。猪狩さんのキレキレなギターに、中畑さんは不敵に笑いながらドラムを叩き、小西さんはベースを振り上げるなど、とにかく格好良い。
MVを最近見返していたせいからか、Aメロの馳せるの後にCo.starというタイトル文字が脳内では表示されていた。

感想②大陸〜bearfoot

 弾き語りではよく演奏される大陸だが、今回はエレキのバンドセット。一番までは猪狩さんのソロ、二番からはリズム隊が入る。だから大きな音が増えるけれど、ただ歌声を邪魔しないように心地よい音たちがむしろその歌声を際立たせる。
 そして反対にドラムの音が強く大きく目立つのがEmpty Dumpty。こちらは恐らくリリースツアー以来となるので10年以上振りの披露。卵を表す言葉が歌詞に随所に出てくる。だからこのドラムの音は卵を割っている表現なのかもしれない。
 ここまでの曲とは一転して、ステージ全体的がパッと照らされた。小気味良いギターサウンドが展開されるbearfoot。ロードムービー系の映画で流れていてもおかしくないような爽やかな曲。

人間は今 
暴風 豪雨 最悪の事態 
白旗を振りたいけど
左手で右手押さえてでも
生き抜いて行く

 台風の最中というこのタイミングに刺さる。

感想③HOMELAND 11 blues終了まで

 後半戦はFrom the Gekkoから。猪狩さんの息継ぎがハッキリとマイクに入る。一つひとつの歌詞が、言葉がしっかりと聞こえる。夜と月明かりというイメージはtacicaによく似合う。
 シームレスに次曲のFool's Goldに繋がる。このイントロが聴こえただけで大満足。こちらも10年以上振りとなる演奏。以前あったリクエスト企画の際に個人的に切望していた曲がとうとう演奏されて歓喜。途中で中畑さんがスティックを指揮棒のように振って、さながら指揮者のようにしていた。
Cメロの輪唱のような部分では小西さんが声を張り上げて歌っており、猪狩さんと声が重なる。そして、その後の"戯言"の歌い方に鳥肌が立つ。
また最後に猪狩さんと中畑さんが笑みを浮かべながらアイコンタクトをとっていたのが印象的だった。
 妖艶な雰囲気を纏っていたMr.
演奏ももちろんだが、この曲は歌がとても変幻自在だった。2番の"ここまでの反省をしようぜ〜血は紅い"までのフレーズ、CD音源では猪狩さんの歌声をミックスして様々な声を堪能できる。ライブでは声を時々に変えており、どうやっているんだと目を丸くしながら見てしまった。そして猪狩さんの流し目がとても印象的だった。アウトロはCD音源よりも大分長めに演奏。
 最後にDAN。 
演奏前にようやく初めて猪狩さんがありがとうと言葉を発する。でもそれ以上は何も語らず、演奏へと移る。優しくも力強い歌声とそれを引き立てる演奏。強烈なフレーズが散りばめられているが、それに負けないように汗を滲ませて演奏する。その姿はまさに"残り全部の命"を使っているかのようだった。
 あっという間に11曲が終わった。毎曲のようにギターの持ち替えがあり、目まぐるしくギターが変わっていた。

感想④グッズ紹介

  jibunに入る前に猪狩さんのMC。
猪「ありがとう。……ありがとう。何とは言わないけど大変だったね。本当に来てくれてありがとう。あの、皆までは言わないです」
言葉少なに語るが、それだけでも十分に想いは伝わる。こちらこそ開催をしていただきありがとうございますといったところ。
猪「個人的に思い入れの強いアルバムで。だからこそ予定通りの開催をしたかったというのがあって。でも最悪の場合も……ね。ありがとう」
と再び感謝の想いを伝えたところでグッズ紹介へと移る。
小西さんがいつものようにグッズのパネルを用意。それだけで笑いと拍手が。
小「本当に今日は来てくれてありがとうございます。それもこれもサンサンのせいなんですけどね。そんな中来てもらって、その上物販の紹介するなんてね……。でも、見るのはタダなので、聞くのもタダなんで是非」
中「(グッズ紹介)好評だよ!」
小「ありがとうございます」

そしてようやくグッズ紹介へ。
Tシャツと缶バッジは現物を持ってきていた。缶バッジはボードに引っ付いていたのかペリペリト剥がしていた。
小「今回Tシャツの前面にはアルバムジャケットが印刷されています。カッコいいですよね?」
観客は拍手で応える。
小「ありがとうございます。あと後ろにはあそこの大きいロゴの小さいバージョンが入ってます
中畑さんの後ろに飾られているツアーロゴを指差しながら説明する。その言い回しはさすが小西さんクオリティ。そしてTシャツの実物を紹介している時に腕をマイクにぶつけてしまい、観客からは笑い声が。
小「今回缶バッジ作りまして、シークレットも一種類あるんですけど……。倍率はどれくらいか分からないですけれど、もしかしたら一発で当たるかもしれないです
ニュースペーパーバッグを今回は作りました。
2色作ってみてどっちもいいよねってなって。
鹿の仔っていうFCサイトがあるんですけど、その生放送の時に皆さんにもどちらの色がいいかを聞いたんですけど、やっぱり半々くらいで。だったらもう2色作っちゃうか! ってなりました。ただ実際見てみると結構違いあったりするので是非見てみて下さい」
生配信の際はあっという間にコメントが流れてしまったのでどちらを作るのだろうかと思っていたら2色展開にしてくれたのは嬉しい。ちなみに私は黒を購入。

結構なサイズ感。手触りも良き。

小「タオルも今回作ってます。あと、コースターも作っています。これもお便りの方で意見があって、Co.starコースターを作りました。作りたいよねって話していたらちょうど良い素材が見つかったので。えっと……ドロマイトコースターで合ってる?」
猪「うん? 多分合ってると思うよ。小西が合ってると思うなら合ってるよ」
小「ドロマイトコースターです!」
ニッコリ自信満々に言う小西さんに笑う。
ちなみにこのCo.starコースター。私がお便りで提案したもの。もちろん他の鹿の仔の皆様も同じことを考えているようでたくさん意見が届いていたらしい。まさか採用していただけるとはありがたい。
小「このコースター、個人的には玄関に置いてあるとオシャレだと思うんですよね
中畑さんがこの発言に大ウケ。
中「いいね。良かったよ」
小「ありがとうございます。それ以外にも過去のキーホルダーとか持ってきてるんで時間あったら是非見てって下さい」
終えると観客からは暖かい拍手が起こる。

以下反省会

猪「ありがとう」
小「ちょっと尺取りすぎたね」
猪「コースターを玄関に置くとオシャレって言った?」
小「うん」
猪「天井と床だけで出来た家に住みたいって書いてあるけど……」
小「あっ」
猪「家族とか一緒に住んでる人にはちゃんと説明しておいた方がいいかもね。これはコースターなんだよって。じゃないとちょっと心配されるかも」
玄関に天井と床だけで出来た家に住みたいっていうフレーズがあるのは中々パンチが効いてる。

見たらギリギリ"住みたい"までは書いてなかった。
なので玄関に飾っても多分大丈夫!笑

猪「あと当たり前のことを言ってるよね。缶バッジのシークレットがもしかしたら一発で当たるかもしれないとか。そりゃそうでしょ。くじなんだから」
小「そうだね」
猪「俺も他人の事言えないけど」
じゃあ、曲やろうかと再び演奏へ。

感想⑤jibun

 アルバム曲が終わって、今度はミニアルバムのjibunの5曲を演奏。改めてすごいライブだ。
CAFFEINE 珈琲涅はバンドセットで聴くのは初だった。すでに11曲をやった後とは思えない歌声。優しい歌声と音色で進行していくが、最後は一転次曲を盛り上げるように後奏が力強く演奏されてテンションが上がる。
 そんな上げられたテンションで始まる2曲目はRAINMAN 雨人。この曲も割と久しぶりの演奏。
(ちなみに私のアカウント名はこの歌から取っている)
雨というとじめっとした雰囲気の曲が多いような気がするが、この曲は心地の良いリズムで進んでいく。ただ歌詞は明るいかと言われるとそうでもないというのもまた魅力。
 少し間をおいて、猪狩さんと中畑さんがアイコンタクトをした後に始まる。芯に響いてくるドラムとベース、歌声がどんどんと迫ってくるHUMMINGBIRD 蜂鳥
この曲も強烈なフレーズが随所にあるが、それと同等の演奏。小西さんのベースカッコ良い。サビの"キミらしい命"の歌い方はまさしくこちらの命を掴まれるかのようだった。
 ANIMAL 動物は2022年に開催された動物たちの遊戯のときにはこの曲から始まり、さながらテーマ曲のような雰囲気があった。今回は本編終わり際に演奏ということもあり、また違う雰囲気を醸し出していた。演奏自体が終わった後に観客から拍手が起こったが、最後の歯車ようなジジっと鳴るSEがして、そこでもう一度拍手が起こっていた。
 猪「最後にSUN 太陽という曲を。今日はどうもありがとうございました」
そう言うと猪狩さんはピックを咥えながら、イントロを指弾きで演奏し、再びパックを手にしていた。このときの猪狩さんの姿はとても艶やかに見えた。
優しげな音色と黄色い照明が照らすステージはまさに太陽のようだった。終わりは後奏を追加するでもなく、静かに本編は幕を閉じた。
メンバー全員それぞれこちらにお辞儀をして、ステージを去っていった。

感想⑥アンコール

 いつもより時間を置いてからの登場。猪狩さんはツアーTシャツに着替えていた。
猪「ありがとう。何度も言うけど大変だったね。
今はもう晴れてるんだもんね。まぁ、それはそれで良かったけど」
始まる前は雨が振り出しそうな厚い雲が広がっていたが、雨は降らずにむしろ晴れていた。
猪「昨日、静岡の高速道路がダメになっちゃって、下道におりた。もう2度と行くことがないであろうセブンイレブンに寄りました」
中「あー、そうだったね」
猪「道中でさわやかがあって、行ったことないから行きたいなと思ってたんだけど、見送りました。それで、現地に着かなかったらね……。会場にメンバー来てませんってなったら……。もし行っていたとしたら、おじいちゃんになってから喋る鹿で話してたかもしれない。"実はあの時さわやかに行っていてね"って言ってるかもしれない。遺言みたいに」
さらっと冗談混じりに言ってたけど、おじいちゃんになってまでも活動を続けて、喋る鹿も続けてくれるんだなと思うと、あぁ、やっぱりこのバンドについてきて良かったなと感じる。
 
 猪「去年くらいから再三出すって話してるアルバムからミカラデタサビという曲をやります」
観客からも歓声が起こる中で演奏が始められた。
こちらの新曲は中畑大樹50祭の時に初披露されていたが、私は参加していなかったのが初聴。
小西さんのベースがメインのイントロ。中畑さんは初めは立ちながらドラムを演奏して、サビ前くらいから座っていた。聴いた印象はCo.starにも引けを取らないくらいのゴリゴリのロックサウンド。MVとかも作られそうな気がする。初めて聴いたのに身体が勝手に動いた。
歌詞はしっかりとは聞き取れなかったが、虎視眈々というフレーズや笑いながら泣いてるんだろうみたいなフレーズ、細胞といういつも使われる言葉もあった気がする。
 続いた曲は最近すっかり定番になったアロン
イントロで前にいた方は思わず息を呑んでいた。
また間奏の中畑さんのドラムソロでは歓声も大きく上がっていた。終わりも大喝采で、最高の盛り上がりを見せていた。

 猪「関西は近いうちにまた来れると思うので、良かったら是非。最後に一曲やります。今日はどうもありがとうございました」
つぎを用意してくれるのがtacicaの良いところだ。その言葉で締め括られて演奏されたのはHELLO FAMEだった。
アンコールの最後はDANやアースコード、あるいはHERO、人鳥哀歌のようなロックチューンが多かったが久しぶりのこの曲。5枚目のアルバム「LOCUS」の最後に収録されている楽曲。DANやアースコードのようにしっとり締められるのではなく、曲調は明るく、また明日という未知の一日が始まっていくような光を感じさせる。でもそれは日中の太陽のような強烈な光ではない。そういう確かにある希望を彼らは歌ってくれる。

光を目指し息絶えた日々が
何度も僕を助けてくれるでしょう
誰の手にも届かない場所を
鮮やかに照らす様

 どうもありがとうございましたとステージを再び後にした。感謝しているのがしっかりと伝わった。また、捌けるときに小西さんが中畑さんが出るのを待ってから、その背中に小さく拍手を送っていたのもとても良かった。
 終わった後に周りの方々が口々に来て良かったと話しているのを見て、みんな考えることは同じだなと嬉しくなった。

セットリスト

  1. barefoot

  2. vase

  3. newsong

  4. Co.star

  5. 大陸

  6. Empty Dumpty

  7. bearfoot

  8. From the Gekko

  9. Fool's Gold

  10. Mr.

  11. DAN

  12. CAFFEINE 珈琲涅

  13. RAINMAN 雨人

  14. HUMMINGBIRD 蜂鳥

  15. ANIMAL 動物

  16. SUN 太陽

  17. en.ミカラデタサビ(新曲)

  18. en.アロン

  19. en.HELLO FAME

おわりに

 台風の中での開催。色々思うことがある人は多かったと思う。私も開催は恐らく見送りだろうなと思っていたがまさかの開催で驚いた。新幹線が運転見合わせの為、急いで飛行機を予約して何とか辿り着けた。
先行物販に多くの人たちが並んでいて、鹿の仔たちは強いなと思った。ただ帰りの都合もあり、名古屋公演は諦めてしまった。どうにか行けないかと模索していたが、流石に厳しかった。
ただtacicaは信じて良いと思う。きっと彼らなら何かしらの救済はしてくれるはずだ。何度も何度も感謝の言葉を告げてくれるtacicaにこちらこそ感謝を伝えたい。
生きていればまた会うことを約束してくれる。
そんなバンドがtacicaだから。

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