UTFRが使う『非進学校』の定義と、『正しい努力をすれば東大は誰でも入れる』という言葉を通して伝えたいこと

こんにちは。
UTFRメンバーの、渡邉結奈です。
この度は、書籍『非進学校出身東大生が高校時代にしてたこと』について、様々な反響をいただき、ありがとうございました。
想像以上の反響で、書籍を読んだ方からも多くの勇気づけられたというコメントをいただき、私たちの思いが届いたと思うと、とても嬉しく、感謝の気持ちでいっぱいです。

しかし、本書及び本書に関するネット上の記事、特に私の体験記に関して、一部の方に誤解を招いてしまった部分があったようです。
私たちとしても、多くの受験生を勇気付けようと出版させていただいた書籍ですので、より多くの方に私たちの真意が伝わることを願って、この記事を書くことにしました。

1.非進学校について

まず、非進学校という表現についてです。
私たちUTFRは、孤独な環境の中から東大を目指した東大生が、同じような環境から東大を目指す高校生を支援しようと活動している団体です。したがって、私たちの使用する「非進学校」という言葉には、東大入試における特殊な事情が関係しています。
東京大学においては、東大合格者を数十名規模で輩出するような高校の出身者の占める割合が非常に高いのです。

本書の「はじめに」には、この書籍での非進学校の定義として、以下の目安を掲げました。

東大在学中の高校の先輩が一人もおらず、旧帝大合格者が10名未満の高校

これは、「東大合格者が出にくい学校」を意味しており、中には世間で言う「非進学校」のイメージとは少し異なる学校も存在します。しかしながら、私たちがこの定義をうまく伝えることができず、ネット上において非進学校という表現に違和感や不快感を覚えた方もいるかもしれません。そのような思いをされた方には、お詫び申し上げます。

また、私としましては、非進学校という表現に、ネガティブな感情を抱いているつもりはありません。今回の体験記では、学校にあまりクローズアップすることができなかったのですが、私は母校である伊奈学園中学校・総合高校に感謝している部分はたくさんあります。東大合格者があまり出ない学校とはいえ、様々な貴重な体験をする機会をたくさん提供してくれた学校だと思っています。先生方の中には、質問に対応してくださったり、アドバイスをくださったり、自分の学校から東大生を出したいとの熱い思いから、いつも私を含め生徒のことを気にかけ、応援してくださった先生方もいらっしゃいました。

中学校に関しても、中高一貫校であるが故に進路や自分のやりたいことについて考える機会はたくさんあったと思っています。また、卒業後もなお、高校での様子や進路などを熱心に気にかけてくださる先生方がいらっしゃいました。
アクティブラーニングなどを積極的に取り入れたり、思考力を鍛えるような授業を取り入れたりするなど、近年教育に力を入れてきている学校で、とても良い教育を受けることができたと思っています。

しかし、そんな学校であっても、やはり東大の先輩が周りにいない、という状況の中では、東大は遠い存在のように思えてなりませんでした。だからこそ今、私たちは、同じような感情を抱いている高校生に、情報と、勇気とを与えたいという気持ちで、活動をしています。

2.正しい努力をすれば東大は誰でも入れるという表現について

もう一つは、本書帯とネット上のタイトルに書かれております、

正しい努力をすれば東大は誰でも入れる

という表現についてです。
少し、わかりづらい表現をしてしまったかもしれないと、私自身反省しています。この表現に対して不快な感情をお持ちになった方、大変失礼いたしました。

ここで正しい努力というのは、東大が求めているような、「高校の学習範囲の内容について、その本質を1つ1つ理解していくこと」をきちんとやり遂げることであって、私としては、それを成し遂げることができた人には、東大を受験するチャンスがあると思っています。東大は、「東大常連校でしか取り扱わないような問題を出し、常連校でない学校の生徒にとって圧倒的に不利になるような意地の悪い入試問題を出す大学」ではありません。本当に高校の範囲を理解しているかが問われるのであって、決して「特殊な教育を受けなければ目指せない大学」ではないのです。私自身としては、どんな環境におかれている人であっても、「目指せる大学、目指していい大学」だと思うのです。

結局、東大に興味がある東大常連校でない高校の学生にとって、東大を目指す上でもっとも壁となることは、環境や才能を理由に、自分には無理だと目指す前から諦めてしまうことだと思います。周りの友達に東大を目指す人がたくさんいれば、「自分も目指して良い」と思うことができるかもしれません。しかし、そうでない環境においては、自分が目指して良い人間なのかどうか、不安に思うこともあるのではないでしょうか。

私自身、東大を目指すという決断をするのにも、それを担任の先生や親戚などに話すのにも、とても勇気が要りました。自分が東大なんて場所を目指して良いのかどうかもわからず、井の中の蛙なのではないかと自信を持つこともできませんでした。だからこそ、ほとんどの友達には打ち明けることができませんでしたし、模試の成績が悪い時には、他の東大受験生がどの程度の成績なのかもわからず、不安になったりもしました。


また、そのような、東大を目指したいと思った時や、模試の成績が悪かった時、センター試験で失敗した時、私の受験生活には、やっぱり無理だと諦めるポイントがいくつもあったように思います。でも、あの時諦めていたら、今私はここにはいません。だからこそ、東大に興味があるのなら、私にはできない、才能はないと、やってみる前から思って欲しくはないと思うのです。これこそが私が書籍や取材を通して一番伝えたかったことであり、「正しい努力をすれば誰でも入れる」という言葉に込めた思いです。

これらの内容を読んで、学校が恵まれていたからだという意見や、正しい努力というのは合格した結果言えるものだといった意見をお持ちになる方がいるかもしれません。しかし、この書籍は、個人個人の受験成功談を自慢するようなものでは決してありません。私たちUTFRがこの書籍を出版した大きな理由の一つは、志望校を決めたくても自信がない、目指して良いのかわからないという、一歩踏み出そうとするも迷いがある高校生に、自分と似たような環境を乗り越えた東大生を見つけることで、自分に負けず、逆境に負けず、踏み出す勇気を与えたいということだと思っています。

私の置かれた環境は、比較的恵まれているのかもしれません。私の体験記が東大受験を代表できるとも思いません。この体験記は、11人の体験記が揃って初めて1つのものなのだと思います。11人の置かれた環境の中から、自分に似たものを見つけ、少しでも参考になる部分を抽出し、応用することこそ、正しい努力の一つなのではないかと思います。もしかすると、11人には当てはまる部分が全くない、という高校生もいるかもしれません。そんな高校生にも参考となるものがあるよう、今後とも私たちは、note記事などを通して、様々な環境からの合格体験記を共有していきたいと思っています。

3. 終わりに


私たちUTFRのメンバーが成し遂げたこととして大切なのは、東大に合格した先輩がほとんどいないような環境の中、それぞれが東大に合格した先輩として、フロンティア・ランナーズになることができたことだと思います。


私が東大に合格してから、後輩に、「私も目指します」と言ってもらったことがあります。このように、一人の先輩が出ることで、後輩にとって、東大を目指すことのハードルを少しでも下げることができるのではないかと思っています。私達メンバーの出身校の学生にとって、東大を目指すことがさほど大きな困難ではなくなる未来。東大生を今まで輩出していない高校からの東大生が増える未来。こんな未来が実現すれば、私たちにとってもこんなに嬉しいことはありません。この書籍に掲載されております私たち11名が、母校以外の高校生にとっても先輩のような存在となれるよう、この書籍は出版されました。この書籍を読んで、東大受験生に限らず、多くの方に、自分にも何かできるかもしれない、という環境に負けない勇気を与えることができましたら幸いです。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今後ともUTFRを、どうぞよろしくお願いいたします。

頂きましたサポートは、活動に役立てさせていただきます