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こそだてろん

図るとも図らずとも、僕の生活の中心は子育てだ。ブルシットジョブに蝕まれながらもどうにかこうにかやっていけるのも、大いに子供たちのおかげである。君たちはきっとなんにも知らないだろうけど、僕は君たちにめちゃくちゃ生かされているのだ。君たちが与えてくれるものに比べれば、僕が与えられるのなんてほんとうに微々たるものだ。だいいち、何を与えられるのかさっぱりわからない。子育てなんて初めてだし、何度やったところでできるようになる気がまったくしない。僕は僕の人生しか知らない。知らず知らず知っている唯一の型を押し付けてしまうのが怖い。それはある意味、他の生き方を奪うことに等しい。パラレルワールドごとに命があるのだとしたらいわば殺人である。でも、でも、さはさりながら、伝えたいこともいっぱいあるのだ。絶対に正しいことなんて(絶対に)ないとか、真逆の正義を尊重するひとになってほしいなとか、悪い面を見つけることの恐ろしいまでの簡単さとか、まわり道の愉しさとか、結局幸せなんて開き直りなんだとか、接続詞ひとつで変わる景色とか、幸せの手触りとか。そのあたりのバランスが本当に難しいというか、考えても結論なんてでないし、まぁ実際のところ普段そんなこと考える余裕なんてまったくないのだけれど、何を言いたいかというと、君たちが単なる遊具だと思ってるパパだって、意外にいろいろ考えているし、それ以上に得難い幸せをかみしめているんだよ。

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