【広島】斬新な着物屋さんでワクワクした ―着物文化クラッシュしてやったりなお店―

 着付けを習い始めて、少しずつ着物の知識が入ってくるなか、私の中の着物文化(と思っていたもの)をガーン!と打ち砕く着物屋さんに出会いました。広島のキモノグラース。3年前に出来たそう。

 お店は、広島パルコ近くの並木通り沿いにありました。
広島の市街地(広島市八丁堀あたり)は好きな場所なのですが、特に並木通りは雰囲気がいいのです。
 高校生の頃に通ったはらドーナッツがあり、大学生女子が好んで行きそうなスンドゥブ(チゲ鍋)のお店もあります。並木通りから小道へ一本入ると、袋町公園や古着などの隠れアジトな雰囲気のお店もあり、本通り商店街とはちょっと違う、まぁ大げさに言うと裏原宿っぽいかもしれない、そんな知る人ぞ知る人が入口とする通りだと思っています。

 お店へは事前にホームページを見てからいったのですが、写真からしてカープ着物があったり、デニム着物があったり…、着物の基本を学んでいる者からするとクラクラ。これがモダンというやつですか。HPの商品画像からすると、古典っぽい、可愛い感じのものが好きな私は買わないかも、と思いつつ、それでも未知のものに触れるワクワク感から覗いてみたのです。

 お店は2階建てで、1階は店の両サイドに着物がずらっとかけてあります。奥には階段で、一緒についてきてくれた彼はサラッと1階を見たあと、ススッと2階へ上がってしまう。私はじっくり1階の商品を見させてもらいます(2階は振袖写真撮影専用でした)。

 1階ではつぶらな瞳でショートカットの可愛いお姉さんが接客してくださいました。黄色のカラーデニムの着物を、ふつうの黒Tシャツに合わせて、黒いスニーカーを履いている。ベレー帽も程よく着物と合っていて可愛い。

「ちょっと着てみてくださいよぉ~ぜひぜひ体感してもらいたいんです!」と勧めてくれたのは、なんとジャージ素材の着物。そして、左右は緑と紺で分かれているデザイン(すげー)。

仮襟だけつけさせてもらって、着物を羽織ってみる。なるほど、ジャージ素材だと伸びがよくてらくちん!「お洗濯も楽だし、走れるんです~~」とお姉さんは語尾にハートマークを付けて言っています。なるほどなるほど。

 通常、レンタル着物店でレンタルして街歩きする着物や、着物教室でレンタルされている着物は、基本的にポリエステルです。カジュアル着物=ポリエステルというイメージがあったけど、ジャージだとそれよりさらにカジュアルなイメージになりますね。
 私は保育士をした経験あるのですが、万年ジャージでした。そう、ジャージは動き回る安価な素材のイメージ。汚れてもいい、むしろ汚れる前提のもので、シマムラとかで売ってる。
 
 それがまさか、着物になるなんて。カルチャーショックを受けながらも、兵児帯(へこおび)を合わせてくれるお姉さん。兵児帯!? 教室で名古屋帯や袋帯はならっていたけど、兵児帯は初めて聞きました。なんだろう?
 実物をいくつか見ると、ほうほう、名古屋帯よりもペラっと薄くて、幅が広くて形が作りやすそうです。
 調べてみると、兵児帯は漢字通り、もともと子ども用の浴衣の帯だけど、どうやら大人用もあるみたいです。結び方もさまざまみたいで、フリルっぽく結べるとかわいらしいですね。

 一般的に安価でカジュアルとされている素材を着物にもってきていただけると、より簡単に普段のファッションに取り入れられそうです。しかも、遠目にはジャージに見えない。

 いくつか帯を合わせてもらって、コーディネートしてもらったのち、「どれがいいですかぁ~?実はこの帯高いんですよねぇ」と気に入ったリバーシブル名古屋帯の値段を見るとウン十万…、おぉ。「でも着物だけだと5万円なんですよ~」とニコニコとお姉さんは言います。おもむろに商談開始です。お姉さん、以外と結構押しが強いのですね。

 「ジャージ素材で5万円かぁ」という、素材のイメージと実物の値段の兼ね合いで躊躇してしまいます。今回ははっきりお断りしてしまいましたが、ジャージ素材の着物、というセンセーショナルな学びをもらいました。(着物屋さんで強く売られそうになって、上手く切り抜けたエピソードなども今後お伝えしたいです。)

 素材が斬新な着物は、デザインも斬新でしたが、もっと可愛らしい&大人古典っぽい柄であればとってもほしいです。今日の経験をもとに、着物デザインをすすめていきます。


 格好良い着物を売り、着物文化を広める!という気概を感じるお店でした。ありがとうございました。

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