★朱、紅、赤、赫、アカ (1年8組 大曽根)

ガタンガタンとなる電車の中でただひたすらに見ていた。
窓からの景色か、誰もいない電車の中か、これから未来か、それとも。

己が起こした過去の過ちか。

ふと何かを思ったのか暗い顔をしてスマホを取り出した後、外からの音を遮るようにイヤホンで蓋をした。

しばらく経ってようやく目的の駅に着いたのか乗ってきた電車はまた無人に戻り、次へ次へと向かっていった。

有人の電車は無人へ。
無人の駅は有人へ。

自分が起こした少しだけの変化を心に弾ませながら駅の外に出、そのまま少し歩く。

見えてきたのは砂糖をたっぷり入れた紅茶みたいに朱い、紅い、赤い、赫い、アカイ、、太陽。

あぁ欲しい。
それに向かって手を伸ばす。
いくら伸ばしても到底届きはしない。
分かっている、分かっているけど。

太陽と自分を遮っているのは金属製の脆いガードレールだけだった。もちろんその下は荒波の立つ険しい崖だ。

繋がっていた鎖を取り払うようにそれを乗り越えそのまま、、落ちる。

綺麗な、赤色。

ぐちゃり


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