WWDC18はAppleの勝利宣言である

Yutaka KAWAI

WWDC18でAppleはiOS 12をはじめとしたAppleが提供するOS類の発表をした。
この発表において個人的に衝撃を受けた点を簡潔に述べると

・古いデバイスの切り捨てをしなかったこと
・iPhoneをユーザーから遠ざける選択をしたこと
である。

上の画像は、Craig FederighiによるiOS 12の発表における一場面。
2013年発表モデルから最新モデルまでのiOS 11に対応したデバイスを並べたものであるが、iOS 12でも継続してサポートが続くというのだ。

発表から時間が経ったデバイスのサポートを終了して新しいデバイスへの乗り換えを促すことはマーケティングの定石であるが、あえてAppleはしなかった。する必要がなかったと言ったほうがいいかもしれない。去年はiPhoneの売り上げが伸び悩んでいると報じられることが数回あったのも、すでに市場規模の拡大が頭打ちになっていて、新規顧客の奪い合いをするフェーズから、既存顧客を流出させないフェーズへと移行したことの現われであろう。また、メルカリを始めとしたリサイクル市場が拡大を続けていることからも古い機種のサポート継続は大きな働きをもたらすであろう。

Do Not Disturb, Grouped notifications, Screen Timeの発表。

スマホ依存はいまや社会問題にまで発展している。マクルーハンも「メディア論」で言及していたように、人間の思考や行動に影響をもたらすのはメディアの伝える内容ではなく、メディア自体である。だからiPhoneというメディアを改善する、それがiPhoneをユーザから遠ざけることであっても。というのがAppleの答えだ。この判断ができるのも、ユーザビリティを優先するAppleらしさが現れているように思えるし、ユーザに使ってもらってなんぼのFacebookやGoogleなど顧客データを売り物にしている企業には中々踏み切れない判断である。ここは、ハードウェアで稼ぐAppleにひと旗挙がった感がある。

今回のWWDC18は新製品の発表もなかったし、新しく発表されたOSも開発者プレビューが配信されただけで、盛り上がりに欠けたかもしれない。しかし、Appleによるこれらの発表はiPhoneを売るフェーズから使い続けてもらうフェーズへの移行を示すものであり、スマートフォン市場における勝利宣言であった。Appleはいま違う土俵に立っている。



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