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窓越しの世界・2017年4月の世界

4/1【財布の紐】
一番値の張る刺身の盛り合わせを買い物かごに放り込む。

ブランドのついた鶏のもも肉も躊躇ない。

忙しかった一日の夜は、財布の紐が緩む。

4/2【移り気な空】
気持ちの良い日差しに誘われて、guzuriのレイアウトを春の装いに。

空が暗くなりだすと、少しひんやりとした風が吹いて稲光、雷が轟いた。

今年はじめての、移り気な空。

4/3【頑張れジェニー号】
エアストリーム、ジェニー号の再改装のため、今あるソファー座席を解体。

骨組みの奥に隠れている光景とおよそ3年ぶりの再会した。すべてが手探りだったから始められたことだったと思う。
 
住居として、そして移動式ライブハウスとして、そして今度はダイナーになる。

頑張れジェニー号!
 
4/4【ノンアルの夜】
蛇口から漏れる水滴の音が、どうも耳障りで目が覚めた。午前四時。

少しだけと思い、歯も磨かずに布団へ潜り込んでいたので、部屋の電気もつけっぱなし。

寝巻きに着替えて再び布団へ潜り込んで思ったのは、アルコールを摂らずに眠る夜の幸せ。

4/5【7分咲き】
もう少しだけ暖かい風が吹けば、一斉に花びらが開きそうな土手の桜並木。

遠くをゆく西武鉄道もビンプ色に衣替えをしている。特別車両だろう。

さくらも、ささくらも、7分咲き。

4/6【やさしい雨】
何を始めるとき、私は少し無理なことをする。何かを終えるときも、同じかもれない。

今夜、アスファルトが濡れた匂いがしたから、すっかり季節は変わったのだと、そう思った。

赤い傘をさして歩く。

行きも、帰り道も、春のやさしい雨。

4/7【価値】
関越自動車道へ入ると、みるみる景色は変わる。ところどころに鮮やかな黄色の菜の花畑も練馬ICより先では見ることができなかった。

青山一丁目のコインパーキングは2時間で4000円。

価値というものを、否応なしに考えてしまう。

4/8【温めと冷え】
起き抜けに白湯を飲むことが日課になっている。

靴下も一枚では寒いと感じてしまう。

体を温めることをしていると、同じくらい冷えるということも感じ取れる。

4/9【フキノトウの天ぷら】
フキノトウの天ぷらを腹一杯たべた。

フキノトウの天ぷらは腹一杯食べるものではないと思った。

4/10【未来の僕】
夜中に目が覚めた時の予感はこの一日ずっとくすぶっていて、夕方になると少し喉が腫れ始めた。

夜の井の頭公園を歩くのは久しぶりで、ここでの夕焼けや朝焼け、夏の日差しや、木枯らしの吹く頃に歩いた記憶もあるけれど、今夜の景色を見ているのは、あの頃を過去として見つめられる未来の僕だった。

4/11【季節の変わり目】
激しい雨は日が落ちるまで続いた。僕の喉は相変わらず良くはなく、風邪の症状。

ドラッグストアでは保湿の高いマスクだけを買った。

こんな時、自分の体がどんな風に変わっていくのか、見ていられる程度の症状。季節の変わり目。
 
よくギターを弾いた。

4/12【ペンキ塗りと接客】
心地よい風が吹き、桜の花びらが舞う。昨日の雨の湿度がほのかに残る午前中。

体調は悪化をしているとも、回復に向かっているとも言える。だるく、意識をしていないと意識が遠くなる。

わりとひっきりなしに鳴る来客のベル。ペンキ塗りと接客をくり返す午後。

4/13【混沌】
この頃、夕食をすますとすぐに眠くなる。

食事の後にしようと思っていたことは、ことごとく繰り越されていく。

繰り越されたことは、そのうち忘れらる。

しなくてもいいことと、した方が良いこととが混沌としている。

4/14【ベクトル】
ガソリンスタンドに併設する夜のコーヒーショップで注文したのは、クレープの重なったケーキとミルクティー。 
   
とびきり美味しいわけでもないけれど、満たされる感じはする。

世の中はそのベクトルで動いている。
 
4/15【土曜日の午後】
晴天から一変して、雨が降り始めた。最近は天気アプリで雨の推移も手に取るようにわかるので、少し先の天候に肩を落としていたのだが、予報外れの晴天。

にわか雨の降りかたからも感じ取れる季節の移ろい。

強い風も穏やかになり、桜の花びらも落ち着いて舞う土曜日の午後。

 
4/16【春の中】
あまりにも暖かいから、半袖を引っ張り出した。

冬の間は寒々しくて着ていなかった白いシャツにも、違和感なく袖を通すようになった。

治りかけの風邪のことも忘れてしまうくらい体調は戻ってきている。

春の中に初夏の面影とも、残暑の面影とも言える空気を感じる。

4/17【葉桜】
スーパーマーケットで買った缶ビール。飲みながら歩く帰り道。

生ぬるい夜風がそうさせた。

あっという間に葉桜の季節。

4/18【書き取り】
ギターを持って新しいカバー曲と長い時間向き合う。

メロディーが入ってくるまで、何度も繰り返す。

子供の頃の書き取りと同じ。
 
4/19【体力と気力】
こじれるのが目に見えている時は、無意識にそこから離れてしまう。

それで良いのか悪いのか、そういう問題ではなく、気持ちがついていかない。

体力の残量と、気力の残量は比例する。
 

4/20【東小金井の夕暮れ】
あの日はとても寒かった。友人たちもたくさんいた。

しばらく皆で揃って会っていないな。元気かな?

東小金井の夕暮れの下。

4/21【本当の気持ち】
言葉を押し殺して二日間くらい経つ。

そのくらい時間をおいた方が、本当の気持ちがわかる。

4/22【音と響きの夕暮れ時】
予報外れの雨が降り始めた。しばらく止みそうもなく、次第に激しさを増す。

私は始まりを待つ時間を慌ただしく過ごす方法も、静かに過ごす方法も知っている。

音と響きの夕暮れ時が始まる。

4/23【春の背中】
ウグイズの響きが、こんなにも幸福な気持ちにさせてくれる。

朝の光が午後の光に変わる頃、風もすこし温もりを帯び始めた。

一日が始まっている。

ウグイスの囀りと共に春が背を向け始めている。

4/24【肌寒い夜の予感】
豚のバラを300g。厚くスライスしてもらう。夕方の精肉店の製造室は忙しそうに動いている。

ショーケースの上に乗った椎茸の肉詰めがとても美味しそう。軒先で肉を待つ私たちは、カクテキやナムルを眺めていた。

風が強くて、少し肌寒い夜が始まりそうだった。

4/25【メラメラ】
昨日、電動シェーバーを買った。記憶の限りだと、2000年頃以来。

17年の進化はそれなりにあった。

これ以上の進化はあるのかと疑ってしまうほどの出来栄えだ。

それでもきっと今頃、さらに良いものを作ろうとしている人たちがいるのだと思うと、なんだかこっちまでメラメラしてくる。


4/26【何に?】
伸びる。伸びる。髭は毎日伸びる。

剃る、伸びる、剃る。

必要だから生えてくるのだろうけれど、何に?

4/27【明日にしよう】
もうすっかりストーブのいらない季節になった。靴下の重ねばきは相変わらず。

風呂につかり、ビールを流し込んで、隣町の夜景を眺めながらリラックスタイム。

あれもこれも、もう明日にしよう。

4/28【若葉の青さ】
焙煎前の生豆を転がす音と、ウグイスの声。

デッキからの景色、日に日に濃くなる若葉の青さ。

4/29【シンプルに】
子供の頃は漠然と、自分は24歳で結婚するものだと思っていた。もうそれから13年も時が過ぎている。

年を重ねるにつれて、結婚というものがとても複雑で厄介なものになっている。

もっとシンプルに、愛という感情だけで結ばれればいいのに。

4/30【うっすらとまた】
久しぶりの客人を迎える時思う。

店を続けていること、そこにあり続けるということ。

それが何を意味するのかの輪郭かまた、うっすらと濃さを増す。

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