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窓越しの世界・総集編 2016年7月の世界

7/1【巧く行く気が】
久しぶりに録音用のマイクに向かう。私はこんな環境を持ちながらも、自分ではなかなかマイクを立てようとしない。

重い腰が上がったのは、なんとなく巧く行く気がしているからだ。

7/2【気持ちの良い夜】
ぱっと目に入った北京料理屋に、何とも言えない居心地の良さを予感し暖簾をくぐる。

案の定、見事な空間。異国情緒まで感じる。

TVではジャイアンツとヤクルトの一戦が繰り広げられ、カウンター越しではゴウゴウと火が燃えている。タンメンに餃子、肉野菜炒めなんかがじゃんじゃん出来上がる。

ビールは大瓶を頼んだが、なぜか小瓶が出てきた。まあいい。
 
阿部慎之助が三振。後続も倒れゲームセット。バス通りから生暖かい風が吹き込む。気持ちの良い夜。

7/3【見えていないだけで】
何年も悩んでいた歌の事が少しずつ解消されて行く。糸口が見えて、たぐり寄せる。

必死で目をこらしても見失ってしまう蚊を追うような、そんな心境。見つけては見失ってを繰り返しながら、それでも追っていると、いつの間にか壁に停まっているそれを見つける事がある。

見えていないだけで必ずそこにある。

7/4【生まれたての感動】
もう少しだけ歌ってみる。

声に関しては、これまでに何度も発見を繰り返して来たが、そのすべてが腑に落ちるような響きと出会う。ずっと温めていた雛が孵ったような生まれたての感動を、これから育ててゆきたい。
 
TIME STREAM season3 録音初日。

7/5【悪い気もする】
昨日の夕立の後からは涼しさが持続している。ここ数日の蒸し暑さも一段落。夏か来たら少し旅にでようかなどと、エンジニアをしながらぼんやり考える。

窓の向こうでは軒の隙間を出入りする蜂たちが忙しそう。大家に蜂の存在を伝えてしまったので、駆除は時間の問題かもしれない。

雨にも負けずせっせと働く姿を見ているとなんだか悪い気もする。

7/6【ヤケに近い】
スイッチの入りが早い日は、スイッチが切れるのも早い。

素晴らしい朝の反動により、夕方からビールを煽る。

反動というよりも、ヤケに近い。

7/7【メロディーの乗り物】
メロディーの裏に隠れているコードを追いかけて、探し当てた。地味にすごく嬉しい。もう7年も前の曲のコードを未だに探していたのだから。

コードとは、メロディーという音の連続を導く乗り物のようなものだと思う。乗り物が違えば、辿り着く場所も違うのだ。

7/8【与えられると】
一冊の本に記された哲学に出会う。忘れていた事のような、誰かに肯定して貰えるまで息をひそめていたような。そんな哲学。

先々の不安と隣り合わせの毎日に風穴が開く。自分自身と、静かに向き合える時間を与えてくれる一冊だった。

与えられると、何かを生み出したくなる。

7/9【カレーの日】
フライパンで作るカレーの日。玉ねぎ、ピーマン、椎茸、油揚げをみじん切りにしてしまえば、出来たようなもの。

我が家には電子レンジも炊飯器も無いので、冷えたご飯であったが、それもまた良い。卵焼きを乗せて、完成。イカを裁き、刺身にする。ゲソはハラワタと炒める。

ビールを傾けながら夕ご飯の準備の時間が行く。季節の変わり目。もうすぐ梅雨が明ける気配。

7/10【たまったもんじゃない】
投票日の夕方、店を閉めて自転車にまたがる。公園を抜ける時、真っ赤に燃える夕焼けが見えた。

公民館を後にしても、無力感ばかり感じる。いつもそう。

投票を終えるまでの数分間で、すっかり太陽は沈み、僅かに残るオレンジが一番星の向こうの夜空の隅で滲んでいた。

投票へ行くよりも、今日の夕焼けのグラデーションを見届ける事の方がよっぽど大切だったような気もする。

程なくして開票速報が始まる。みんなが「それぞれの、より良く」を掲げているのだから、たまったもんじゃない。

7/11【音符では表せないもの】
朝。その素晴らしい音楽の秘密を知りたくて、耳をすます。今まで聞こえていなかった音が聴こえる。

音符では記せないものが何なのか。探れば探るほど、それは科学じみてくるから不思議だ。

7/12【結局、コツコツ】
ブログ記事の移管がうまくかいず、一日中PCに張りつけ。4年分の記事を一日ずつ移す作業は果てしないので、簡単に済ます為の方法を試してみるが、かなり手こずる。

お手軽を求めて彷徨うのは、近代化の中で繰り返して来た事だろう。

地道にコツコツ作業をしていれば、もう終わっていたかもしれない。

結局、コツコツ始めることになる。

7/13【タイグ】
人を魅きつける天性をすでに備えている彼は、これからどんな子供になり、少年になり、青年を経て、大人になっていくのだろうか。

ただただ私は彼のファンであり、見守っていきたいという心理状況。ジョンちゃんの息子、タイグのことが可愛くてしかたがない。

7/14【待つという選択】
目当ての定食屋は30分後の17時に開店する。待つか、別の店へ移動するか。レコーディングの途中なので、すぐさま別の店へ。その店も準備中。結局和食のファミレスへ落ち着いたのが、17時の10分前。

30分待つという選択ができる人生を送りたい。

7/15【夏がテーマ】
JohnJohnFestivalのアルバムは、この日で録りは終わり。

私自身の録音はこれから本番を迎える。season3は夏がテーマなので多少の蝉の音は収録されても問題はない。

夏中に終われば良いのだが。

7/16【久しぶりの顔】
録音明けのguzuriを珈琲店仕様に整える朝。夕方からはguzuriでのコンサート。毎回、遠方からはるばる来てくれる方が多い。
 
ライブのお客さんというのは、足しげく通ってくれる時期というのがある。久しぶりの顔をみるとその当時の事を思い出したりする。

今日なんかもそんな感じ。

7/17【自家焙煎】
アルミの筒の中で弾ける音がすると、香ばしい仄かな煙が立ち、薄皮が舞い上がる。

いつかいつかと思いつつ、もう何年も手を付けられなかった珈琲の焙煎。非電化工房の焙煎器に出会い、始めようと決意。
 
自分好みで仕上げた豆で頂く珈琲は愛着の一杯。

7/18【豊かな気持ち】
珈琲店の朝は、豆の転がる音と芳ばしい香り。その日お出しする珈琲の為に焙煎する行為が、妙に腑に落ちている。

この豆たちが、誰かのひと時を豊かにするのだと思うと、私もまた、たまらなく豊かな気持ちに包まれる。

7/19【チャンポンな一日】
珈琲店は一時間だけの営業。焙煎が楽しいので、隙あらばオープンの珈琲店。

ジョンジョンのミックスと、私の録音事情が交差する日々。歌えば歌う程うまく行かないので、歌い続ける。力尽きた後のビールは格別。今夜のラーメン屋のBGMはいまひとつ。


7/20【理想的な響きについて】
三宿から入間までのドライブ。入間から杉並までのドライブ。ガソリンがみるみる減るが、私はその間、歌の事ばかり考えている。

理想的な響きについて考えている。

7/21【アスリート】
膨大なメモの中から、自分の歌について深く潜る。声はつくづくリード楽器のようで、アコーディオンやバグパイプ、ハーモニカなどの原理と同じだ。空気の送りが悪いと良い音にならない。呼吸器官の仕組みと、共鳴部の連動。

まったくアスリートの気分。

7/22【梅雨が明けない】
夜のコンビニでアイスクリームを買う。ビールも二本。夕食をしながら街の灯りを眺め、遠くのビルの灯りが消えると一日の終わりを感じる。

すくすくと育つゴーヤ。爽やかな夜風。

一向に梅雨が明けない。

7/23【公園の祭り】
富士見公園では自治体の祭りが行われている。毎年のこの日は、なんとなくguzuriに居る気がする。

とくにレコーディングをしている日が多いのだが、今年はライブ。

今年も同じ司会のおばちゃんの声が、やかましくも風物詩。

まったく相性がいい。

7/24【今日は元旦らしい】
トレーラームーバーを取り付けて、車庫スペースから出す作業にも慣れて来た。最初は1時間以上かかった作業だが、今では30分もあれば出発出来る。もっと広い場所に置きたいが仕方ない。

高速道路でエアストリームを引っ張っていると、この一ヶ月半が幻のような気分。今もツアーが地続きで、次の街ではコンサートが待っていそうな。

談合坂SAで夜を過ごす。一年を月の満ち欠けで計算すると、13ヶ月になるらしく、今日は元旦らしい。

7/25【似た感性】
エンジンブレーキをいっぱいに効かせて坂道を下ると、穏やかな波の湖畔に出る。

今、

そう思った瞬間にシャッターを押してくれる。

写真家も音楽家も、時間を切り取るという意味で、似た感性なのかもしれない。

7/26【夏になりきれない梅雨末期】
目覚めると13時。重たい体。蝉の声と涼しい曇り空。ゴーヤがまるまる太り出している。小雨が降り始めているが、傘はいらない。
夏になりきれない梅雨末期が長引いている。

今日はハワイ島のヒロで感じた空気を感じる。

7/27【テンポの悪い花火】
自衛隊の花火が見れる夏はラッキーだ。特に気に留めていないものだから、たまたま入間にいる時は運が良い。彩の森公園まで足を伸ばし、テンポの悪い花火に興じる夏の始まり。

まだ梅雨が明けないらしいが、ここ数日の空模様が私には心地よい。

7/28【どうやら、梅雨明け】
夜になって外を眺めると、街の灯りを照り返す低い雲。ポツポツと、サバンナの雲のようなのが遠くの空まで続いている。

コンビニで買った缶ビールを呑みながら、キャベツの炒め物と納豆。たまごご飯。パソコンで朝ドラ。

どうやら、梅雨空け。

7/29【侵入者】
スズメバチが軒から飛び立つのが面白いので、随分前から楽しんでいたが、そろそろそんな状況では無いらしい。来週頭には、専門業者が駆除にあたると言う。

スズメバチの大家族には申し訳ないが、guzuriの風呂場へ度々侵入されては困るのだ。

7/30【辿り着いた響き】
長らく、いろいろな声の響きを模索しているが、今夜ほどに確信に触れるような夜は無かった気がする。。というような下りを、数年、ここ数日、ここ数ヶ月繰り返している。しかし今夜こそ。という物だから、記しておく。

いつものスーパーマーケットの立体駐車場を下りながら、自分の辿り着いた響きに感謝していた。

7/31【8月が来る】
浴びるといった表現がぴったりな蝉の音。公園へ一歩踏み入れると、そんな感じだ。青々と茂った木々の傘と、木陰のアスファルトの間で音が反響し合っているので、ますますうるさい。

暫くすると、そんな騒音にも慣れ、グラウンドの向こうで一休みするスポーツ少年たちの景色が、私の中の夏を刺激し始めてくる。

今年も8月が来る。

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