窓越しの世界・総集編 2016年 4月の世界
2016年6月21日より始まった「窓越しの世界」は、毎週金曜日に一週間の毎日を綴った随筆を有料のメルマガとして配信をしていました。
この度、総集編を公開しようと思ったきっかけは、コロナウイルスによって外出自粛を余儀なくされている世界の暇つぶしにでもなればという想いからです。
およそ4年間、総文字数およそ17万文字。文庫本にしたら上下巻くらいの文字数となりました。
こんな世の中がいつまで続くのか分かりません。元の世界が戻ってくるのかも定かではありませんが、これから毎日、1ヶ月分を公開していきます。
2019年の12月までのおよそ45ヶ月を45日でお届けします。 当時の写真とともに、どうぞお楽しみください。
この先は2016年の記事です。
みなさんこんにちは、笹倉慎介です。本日より「窓越しの世界」と題したメルマガを始めます。これは2013年1月よりオフィシャルブログで始まった「sketch」の続編となります。
「sketch」は小説の一節のようであったり、一瞬の描写であったり、時にはつぶやき、ふいに心がこぼれたり、2年以上に渡り様々な表現の形を残してきました。
「窓越しの世界は」これまで通り「sketch」の形態で進めて行きますが、これからは定期的に皆様にお届け出来る媒体として執筆していきます。
吹き荒れる日々を、どうか窓越しに眺めていられる時間を持てますように。
笹倉慎介 2016年6月21日
4/18【手探りの毎日】
ボンネットに頭を突っ込み、暫く考え込む。今度は違う角度から手を伸ばす。見えない隙間にラチェットを潜り込ませ、かすかな手応えを頼りに少しずつ作業は進む。
1983年製の車と1981年生まれの私が過ごす2016年の春。午後に向かって気温は上昇。手袋は真っ黒。
昼過ぎにはミュージシャンがやって来て録音が始まり、私は録音技師として立ち会う。演奏者たちは目指す音を模索して、時に黙り込む。
皆、手探りの毎日。
4/19【同じ】
音に対してのマイクのチョイス。食べ物に対しての酒のチョイス。
同じといえば同じ。
4/20【瀬戸際】
ごくたまに、神がかりのような巡り合わせがある。
それはおよそ、瀬戸際に。
4/21【丁度良く】
16時間寝つづける。不眠続きの皺寄せなのだが、見事なまでに寝つづける。
時計が一周して、丁度良く朝に目覚める。
4/22【私の手仕事】
始めは扉。次は壁。そして棚。
cafe STANDにまたひとつ、私の手仕事。
4/23【そんな風に見えないだろうが】
これまでで一番気持ちよく歌えている。
そんな風には見えないだろうが。
4/24【乱立】
寒くもなく、熱くもなく、程よい日中。夜になると、すこし肌寒く湿度が高くなる。
夜道を歩くと新築のコンビニエンスストアの建設が始まっている。その近くにはチェーンの珈琲店のオープンも間近である。
このところ、コンビニとチェーンの珈琲店の乱立が目立つ。どちらにも良くお世話になっているので、なんとも言えない。
4/25【罪悪感】
ゴミ処理場へはたまに行った方が良い。何もできはしないが、罪悪感だけは持つことが出来る。
4/26【キレイさっぱり】
私たちは後悔する。食べ過ぎ、飲み過ぎ、使い過ぎ。
快楽の後に後悔することは、なんてむなしいのだろうか。
過ぎてしまったことは仕方がないので、風呂に入ってキレイさっぱり流して眠ることにしている。
4/27【ロマン】
大きな、パラソルを購入。パラソルはロマンである。
目当てのギャラリーへ行くも、休館日。
夜の住宅街を歩くと、ハクビシンと遭遇。
平成狸合戦ぽんぽこの一場面のようだ。バスのディーゼルエンジンの音に揺られ、家路へ付く。
4/28【騒がしい静けさ】
曇り空を遮るモノレール。大きなガラス張りの食堂は騒がしすぎて静けさを感じる。
私がファミレスやこういう場所を選ぶのは、そういう理由なのかもしれない。
4/29【とりあえずの段階で】
竹の子の調理など始めてなのだから、下調べをすれば良かったのだが、とりあえず剥いてしまえばなんとかなると思い、剥き始める。
マトリョーシカのように延々と剥け続ける竹の子。そして、獣のような皮の山。
とりあえずの段階で、間違っていたのだ。
こういうことが良くある。
4/30【そろそろ】
気まぐれでオープンしていたguzuriを閉め車を走らせる。町田までは道路事情が良いが、夕方である。残り5kmの渋滞の間にすっかり日が暮れてしまった。
ファブリックの地下室には仕立てられたばかりの服がずらり。今年の秋冬ものに袖を通す初夏の夕暮れ。
私もそろそろ、今年の暮れに、その先にも手をかけなければ。
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