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どーぷちゃん「BLINDNESS」レビュー

どーぷちゃんの新譜「BLINDNESS」の感想をメモってみました。
ちょうど1年前ぐらいに500枚限定で発売した「GRARE」以来ということになりますね。
「GRARE」からは「glare」「stargaze」「Another day」の3曲が収録。
すでにシングルで発表された「NIGHT SURFER」「花の便り」、先行発表された「Fizzy Fizzy」を含む全12曲です。

Verbal bullet

1曲目からめっちゃ格好いい高速ラップの攻撃的な曲です。
イントロから超絶ギターリフが重なりまくってます。
銃をぶっ放す効果音も面白いし、リリックもアグレッシブ!
いこさんのラップは攻撃的な曲に合っていますね。
ちなみに、ギターは打ち込みか、人が演奏しているのか、私にはわかりません。
コンピューターの性能が向上しているだけでなく、逆にギタリストもテクニックが凄すぎるとコンピューター並に正確に演奏できちゃったりしそうで区別がつかん。
別に区別をつけなくても、こんな格好いい曲が聴けるなら困らないですけど。

BLAME

1曲目と2曲目が隙間なく繋がっていて、BPMが同じなのか、DJプレイを聴いているようでテンション上がります。
かなりバンドサウンドなロック曲で、これまた高速ラップの攻撃的な曲ですね。
最近はポエトリーリーディングがメインになってきてるのかと思った沫さんも高速ラップをかましている!
ドラムパターンはびっくりするほど色んなアイデアが詰め込まれていて、ラテンっぽいパターンから始まって、曲がどんどん展開していてかなり面白いです。
ドラマーが演奏したくなるような曲かも知れません。
そしてやはりギターが超絶!
これは…たぶん、人力で演奏しているはず。
あと、ベースの音がいいし、このベースパターンは個人的に大好物!
この曲、アルバムの中で一番好きかも知れません。

ディピクト

わ、なんか80年代洋楽っぽいテイスト!
軽快なドラムパターンがツボにはまってしまいます。
バスドラムの入れ方がいいんですよねぇ。
シンセの音もなんとなく80年代っぽく感じてしまったりして。
ドラマチックではないポップなどーぷちゃんも良いものだなぁと新しい発見です。
80年代洋楽を2021年によみがえらせると、こんな感じになるんですね。
というのは、80年代洋楽が大好きな私の個人的なイメージです。

Fizzy Fizzy

こちらも軽快な曲調で、ジャズっぽい感じ。
途中から4ビートになってしまったりして、スイングしちゃっています。
ギターも軽快な感じでいいですねー。
tsukiさんの歌うメロディーが可愛いです。

dope is (inst)

既発表曲のパートの前にインスト曲が入っているのですが、ここでちょっとシーンが変わりますよ、という感じ。
映画的にストーリーに展開があるような。
ここでインスト曲が入ることによって、通してアルバムを聴いている時に良い演出になっているんですよね。

glare

ここで、ずどーんと重めのHIP HOP曲です。
メランコリックな世界。

NIGHT SURFER

高速ラップが緊迫感を増幅させまくります。
「等身大じゃもう限界だ」の歌詞がヤバいです。


stargaze

ここでちょっと希望が持てる曲。
個人的にはアルバム「GLARE」で一番好きな曲です。
とても叙情的で、かつ情景描写も素晴らしいんですよねー。


Another day

ドラマチックに盛り上がってきました!
かなり気持ちが前向きになってきました。
やっぱり、この曲の沫さんのリリックは好きだなぁ。

letter (inst)

ここで既発表曲のパートが終わって、最後の2曲につながるインスト曲。
と、思いきや、次の曲「花の便り」のイントロ的な位置づけですね。
美しいピアノの旋律と、逆再生したような音が重なって、なんだか映画のサントラを聴いているような気分になってしまったりして。

花の便り

この世を去った友人に贈るためにという中で制作された曲だそうです。
映画ならクライマックスですね。
シングルで配信された時も、壮大なメロディーにぐっときたのですが、アルバムを聴いてきて、ここでこの曲を聴くと、盛り上がり方が全然違います。


失明

上げて落とすのが、どーぷちゃんのやり方。
すごく盛り上がったのに、オリエンタルな美しい旋律とシンプルなビートの中で、「なにひとつとして見えない 見えてるのに見えない」という状況になってしまっています。
喪失感が半端ない曲です。
やっぱり、どーぷちゃんはドラマチックでメランコリック。

…と、ここで配信されている曲は終わりなのですが、実はCDにはもう1曲「ミラクルスコープ」という曲が収録されています。
まだCDを入手していないので聴いていないのですが、ここでどんでん返しが待っているとかいないとか…。
これは、ぜひCDを買って聴いてみないと、ですね!

とにかく、アルバムとしての完成度がやたらと高いです。
1曲1曲のアイデアの詰め込み方がすごいのですが、曲順というか、構成の仕方が素晴らしいですね。
ただのシングルの寄せ集めではありません。
既発表曲もアルバムの中でしっかりと意味のある位置づけになっていますし。
昔「コンセプトアルバム」というのがあって、1枚のアルバムを何かしらのテーマで制作する、なんてことがあったのですが、そんなような充実感がありますね。
プログレのアルバムのような…。
BGMにするにはもったいない、ちゃんと向き合って聴きたい作品です。

そういえば、配信が普及してきた頃は「好きな曲を1曲だけ買ってダウンロード」っていう音楽の聴き方が主流になってきた、なんて話題もありました。
ところがどっこい、サブスクリションが主流になってくると、今度は逆にアルバムを通して聴くという聴き方が逆に主流になってきたのかな、なんて思います。
そうなってくると、ここにきてやっぱりアルバムを作るということの意味が大きくなってきたのかも。
今後、こういった良質なアルバムがどんどん出てくると嬉しいですね。

というわけで、どーぷちゃんの新譜「BLINDNESS」は名盤です。
「アルバム」というフォーマットの素晴らしさを再確認させられました。
願わくは、長く活動して良作を沢山発表して欲しいです。

長くなりましたが、読んでいただきありがとうございました。

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