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すばらしい船。


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すばらしい船を目の前にトリノ博士は言った。
「すばらしい船が完成だ。これは何しろ速い。ここに光が届く前に、君はその光を見ることができる。それくらい速い。そういう設計だもの」

トリノ博士の助手はパタパタと拍手し、にじむ涙をぬぐった。
タコはボーッとしている!

「さぁ、すばらしい船で旅に出よう。すばらしい旅だ」

博士と助手は今日を祝日とすることに決め、この日のために用意しておいた数々の生活用品を船に積み込んだ。タコはボーッとしている!

「忘れ物があるかないかしっかりチェックしたまえ。忘れ物は忘れないと現れないから、よく目をこらしたまえよ」

博士がすばらしい船のエンジンをオンにすると、すばらしい船はコンコンと音を立てて震えだした。すばらしい旅の幕を開けるドラムロールのように。

助手は大急ぎで部屋中をコンコンと飛び回り、忘れ物は忘れられていないことを確認した。タコはまだボーッとしている!

「よし。全ては整った。あっという間に我々はポホヨラに着くだろう」

すばらしいエンジンはビッグバンのような音を出し始めた。助手が急いですばらしい船に乗り込むと、そのときタコを蹴飛ばして、タコはすばらしい船の蓋みたいなところにぺっちゃりくっついた。

「さあ出発だ。景色は光に、空間は音になっていくだろう」

博士が操縦桿をぐっと倒すと、すばらしい船の姿はプリズムを抜けたように赤と青と緑に別れて飛び出した。

トリノ博士と助手は、消え去る間もなく消え去った思い出の研究所のことなど微塵も懐かしむことなく、すばらしい船を包むすばらしく早い光と音、それはもはやエネルギーのヌードを見ているようで、ただただ感動していた。タコはまだボーッとしている!


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