大好きな地元ラーメン店が閉店…

かれこれ20年くらい食べ続けているラーメン店が閉店…ショック過ぎて夜も眠れないので、備忘録がてらツラツラとふと思った事などを書いてみようと思う。

⒈閉店理由

Titterで張り紙に書かれている通り、コロナ渦中における時短営業では採算が取れず、月々の家賃が支払えない状況になってしまった事が主な原因の様です。

閉店理由

ニュースなどでも度々、コロナの影響で収入が大幅に減ってしまった為閉店するという話は取り上げられていました。今回、地元で青春時代〜大人になっても食べ続けていたラーメン店がその対象になった事で、非常に身近な社会的課題になっているのだと感じました。私の仕事はStay Homeで逆に追い風になっている部分もあるんですが、確かに外食産業は完全に向かい風ですよね。

テイクアウトするにしても、ラーメン屋の場合には他の飲食店などとは違い、工夫が必要です。餃子や炒飯ていどであれば恐らく比較的テイクアウトも取り入れる事はできそうです。基本的な考え方としては、適法な『営業許可』を受けた飲食店が、店で提供しているメニューを店頭で売る場合、テイクアウトそのものの許可は不要らしい。しかしながら、ラーメンは店で提供しているメニューをそっくりそのままの形で提供する事が難しいですよね。プラスチック容器での提供はできるかもしれませんが、時間が経てば麺が伸びて美味しくなります。近くに公園もないし。かといって麺とスープを分けて提供する場合、厳密には『めん類製造業』などの許可が必要になってしまう。その準備ができるのは、ある程度体力のあるお店くらいじゃないでしょうか。

⒉そもそもの飲食業について

飲食業が一般的にやりくりできる終始はどの様なものなのか?いつかラーメン屋さんを開くのが夢でもあったので、一時期少し勉強してみていた時があります。その時の資料から改めていくつか考えてみたいと思います。

まず、超ざっくりとした売上総利益については、おおよそこんな塩梅。

売上高①
売上原価②
粗利(①ー②)=③
経費(人件費、家賃、光熱費など)④
営業利益(③ー④)=⑤
営業外損益(支払利息など)⑥
経常利益(⑤ー⑥)=⑦

そして必要な経費についてですが、飲食業界には『FLコスト』なる用語が存在します。F=food、L=laborの事で、つまりは人件費と原材料費は最も高いコストだから気をつけようねという話らしい。継続していける指標として、売上に対するFLコストが55%〜60%程度が一般的な比率。もちろん、低いにこした事は無いです。

経費についてはFLの次に家賃が占める割合が高くなりがち。この数字も、売上に大して10%以下が健全である指標とされています。

最後に儲けの境目を測る指標として、損益分岐点というものがあります。計算式は以下の通り。

固定費÷(1ー変動比率)=損益分岐点の売上

一般的にはこの分岐点の売上以上であれば、ギリギリ黒字にはなるよという事です。

⒊改めて閉店理由から考えてみる

では、醍醐(旧店名だが敬意を込めてそう呼ばせて頂く)はどうだったのか?簡単に計算して見たいと思います。

先ず売上原価についてですが、飲食店の場合一般的に原価率は30%〜35%程度と言われています。今回は30%で考えてみよう。

経費のうち、家賃は55万円と記載されていますね。先の話だと家賃は売上の10%以下が望ましいので、月々550万円!?あるといいみたいです。

人件費は、以前正社員のポスターを見た限り確か月収25万円程度は担保されていたので、正社員2名とアルバイトをピークタイムのみ1日10時間、時給1,000円で雇用していたと考えて合計80万円としよう。光熱費はラーメン店の場合ガス代が嵩む為、約10万円としたいと思います。この際、営業外損益は0にします。

先ほどの損益分岐点を計算してみると、

固定費÷(1ー変動比率)=損益分岐点の売上
なので、
145÷70%=207万円

となり、月々約207万円の売上が見込めないと継続していく事は困難であったと考えられる。醍醐麺が一杯約700円、客単価を高めに見積もって1,000円だとした場合には月々2,070人、1日70名くらいの来客があればギリギリ黒になる計算だ。

因みに同じ通りにかつてあった頑張り屋の貸店舗については、調べてみると月約13万円である。立地も広さもほぼ変わらないのにこれは、、、まぁ張り紙を出す気持ちは凄く分かる。仮に家賃が13万円だった場合の損益分岐点は、147万円で、1日50名くらいの来客でなんとかなる。

⒋コロナウイルス助成金

今回の国の新型コロナウイルス助成金においては、残念ながら家賃補助については何も確定していない(2020.05.13現在)。一時的に持続化給付金が得られたとしても、結局家賃2ヶ月分にも満たないですしね。

仮に国が家賃補助をいくらか出すか、或いは一定期間の滞納分を担保するなどの措置がとれていたのであれば、こうはならなかったかもしれません。しかしながらお店としては、現時点で支払いの目処が立たず、長期化する事なども考えて閉店という手段を選んだのではないでしょうか(黒い噂もあるけど)。

⒌思い出をありがとう…R.I.P.

今回、あえて張り紙に家賃まで記載されたのは、様々な事情・私情があった事も推察される。それでもこれまで提供し続けて頂いた一杯のラーメンには、私は救われ続けてきた(お腹周りが救われる事はなかったけどね)。

いつかまた出店、あるいは社員の方が開業する事があれば、必ず行きます!

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