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一生のうち何回心震える体験ができるか|一流制度の話。

代々続く質屋の話

かなり前、TVのインタビューで、京都で100年以上続く歴史ある質屋さんの代表へ「どうやって偽物と本物を見分ける方法を、後継ぎへ継承するんですか?」と質問していました。

確かに、数百万以上する京呉服を扱う老舗だけに、偽物を買ってしまったら大変です。良からぬ人が精巧な偽物を売りつけることもあるでしょう。私の想像は、書物か何かにかなり詳細な見分け方を記載し伝承しているんだろうなと勝手に推測していました。

で、その答えとは、

「小さな頃から本物だけを子供に使わせ続ける」でした。

そうすれば、見ただけ触れただけで偽物はわかるんだそうです。本物を使うことの大事さを再認識し、とても納得感があったことを覚えています。

一流のサービスを提供すること

その後、私は29歳の時、ウォルト・ディズニー・カンパニーの映画やTV、ネットなどを扱うメディア部門にお誘いいただいて、ネット部門新規事業のプロデューサーとして勤務することになりました。

入社してすぐにビックリすることがありました。

海外出張することになり、現地で滞在するホテルを探すために「金額いくらまでのホテルに滞在すればよいか、規定はありますか?」と上司に尋ねたら、「金額は気にせず、ここしか泊まるな」と滞在許可ホテルをリストで指定されたのです。

そこにはリッツ・カールトンを筆頭に超一流ホテルしかありませんでした。

「ディズニーは一流のサービスを提供してる。一流のサービスを提供するには、一流が何かを経験しないとね。それに、人生は感動すればするほど豊かになるからね。」という上司の言葉は素敵すぎて今でも忘れられません。

当時の自分では決して滞在しないホテルで、思い切り背伸びして、身の丈に合っていない経験をさせて頂きました。その時のホテルの方の温かい心遣いや気配りに触れ、なるほど、これか。と感動したことを鮮明に覚えています。

このきっかけもあり、ディズニーに勤務してからは、積極的に様々なお誘いを断らず挑戦するようになりました。フランスでの舞踏会も、ニューヨークの摩天楼で聞いたジャズも。バンコクの路上屋台で食べた10円ラーメンも、どれも最高で心を豊かにしてくれました。

一生のうち何回心震える体験ができるか

私は現在、ディズニーを辞め、地元岐阜に戻ってデジタルマーケティングの会社を起業し、代表を務めています。

「一流のサービスを提供するには、一流が何かを経験しないとね。」この言葉は未だに自分の心に大きくあります。そしてできれば自社メンバーにも経験してほしいと思っています。

弊社は、経営理念に一流というキーワードを入れています。一流の仕事をしよう。という意味を込めて。

29歳当時の自分と同じように、若いメンバーにとって一流は体験しなければ、わからないことがあります。加えて地方では都心と比べて、情報や体験ベースで劣ってしまう面もあります。

これを埋めるためにも、弊社では「一流制度」という独特なサポート制度を設置して、従業員の一流体験への支出に関して、会社から一定の補助を出すことにしています。

遠方の美術館に行く場合でも交通費含めて補助金は出ますし、ラスベガスで開催されるマーケティングのカンファレンスに出席したい!とかでもOKです。

普通のホテルではなくリッツ・カールトンに泊まりたい!という申請でも本人がその学べる理由をキッチリ説明できて、その本人の市場価値が上がる経験になるのであれば補助金を出します。(当然事業会社ですので回数も金額に上限もあります。)

もちろん値段の高い贅沢な製品だけが一流とは限りません。歴史ある陶芸を体験するのも素晴らしいですし、私の住む岐阜ですと1000年続く長良川の鵜飼もあります!

私は人生で大切なのは「心震える体験をする」ことだと思っています。

心が震えている時、感覚はとても素直に反応します。一生のうち何回心震える体験ができるか。これを追い求めることが生きる意味なのかなと考えています。

僕らはどうしても仕事で忙しいと、自分の心を震わせる体験を疎かにしがちです。仕事ばかりが人生じゃありません。心震える体験をすると必ず仕事にも活きてきます。

会社が補助金を出すことで、本物に触れる機会が増え、少しでもメンバーの人生に彩りを添えられたら最高だなと考えています。

同様の制度を作る会社が多くなるといいなと思い、記載しました。
この記事がどなたかのお役にたてば嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

おわりに

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