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零下、どら焼、バケツ一杯の菊芋に南瓜。

零下。散歩中手が悴んでいた。
土手に咲き残るツリガネニンジンの薄紫の小さな釣鐘が氷粒を纏っていたのが愛らしく、写真を撮ろうとしたがどうしてもピントが合わない。
寒さでカメラがごねているのか私の手が悴んでいるからなのかますます悪くなった私の視力のせいなのかわからないが、どうしてもうまく撮れず、冷えた草むらにしゃがんでいると体はどんどん冷えてゆくので諦めた。しばらく行くと木の枝に妙な物がぶる下がっていた。誰かが落としたバナナを誰かが枝に引っ掛けておいたのだろうか、多分凍ったり溶けたりしているうちに黒くなってしまったのだろう。バナナの事を考えたら、急にお腹が空いてしまったので、慌てて家に帰る。

午後、友人がトピナンブールをバケツ一杯持ってきてくれたので、夕飯にポタージュを作った。
トピナンブ-ル=菊芋はイヌリンが多く含まれていて腸内細菌のごちそうらしいから、折角なので大いに食べて腸内細菌活発化を図りたい。まずはポタージュを作る。
先日、近所のトルコ食品店の主人お墨付きの南瓜を買った。「日本の緑の南瓜は美味しいが高い、けれどこれは安くて旨い。日本の南瓜と同じように、いやあれより旨い」と熱弁を振るうので買った南瓜であったから楽しみにしていたが、切ってみると香りも味も薄い。期待が萎んだ。
多分ミートボールと一緒に焼いたりするには美味しいかもしれない。私は断言する、日本の南瓜料理を知らない彼らには私たちの抱く南瓜のそうあるべき味や質感への欲求が理解出来ていないのだ、日本の南瓜の方が断然おいしい!と力説しつつ、トルコ食品店の主人推薦の南瓜にバターと砂糖を少し振りかけオーブンでじっくりしっかり焼いた。
オーブンから出て来た南瓜はあまり美味しそうに見えなかった。文句を言いながらも、そのひと切れをほおばった瞬間、先ほどの断言は揺るいだ。
日本の南瓜とは違う触感が、ちょっといける。ねっとりとした舌触りが良い。かなり良い。これは美味だ。南瓜だっていろいろなのだ。この南瓜を勧めてくれたトルコ食品店のご主人に乾杯したい。
行き当たりばったりに作る夕飯は妙な組み合わせとなった。
トピナンブ-ルのポタージュに南瓜の香草焼きまでは何とか許せる気がするが、そこに加わったのは昨日作った肉まんであった。

そして
食後のデザートはどら焼きと緑茶。

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