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「参加」を問い直す ー男性の育児休業について


9月14日に第二子が生まれ、10月19日より3ヶ月間の育児休業を取得しています。

菅内閣は発足後、現在7%台にとどまっている男性の育休取得率を5年後に30%に引き上げようとしています。

ぼく自身の育休ははじまって1週間も経っていませんが、「男性が家事・育児に参加する」ということについて考えた事があるので、そのことについて書こうと思います。

ぼく個人の育休生活

我が家では、朝昼晩のご飯を作るのと、午前中の散歩や公園遊びと、子どもたちをお風呂に入れるのはぼくが担当しています。

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特にインスタ映えとかを考えずに撮った我が家の正直な実態写真↑

空いた時間に昼寝をしたり休んだりして、あっという間に夜です。21時には就寝しますが、その後3時間ごとに起きて授乳やオムツ替えをする、という作業があります。

テキストで書くとこんなものかと思いますが、本を読んだり映画を見たりするスキマはなく、部屋の片付けやちょっとした仕事も、なんとか時間をつくらなければなりません。

というと、あたかも大変な苦労話のようですが、うちみたいに2歳児と0歳児で2人とも保育園に入れなかったらそうなるわけで、そんなご家庭はたくさんあるのです。

「男性が育児に参加する」?

そんななかで、「男性が育児に参加する」というこの言い回し、そもそも変なんじゃないかな?と思うようになってきました。

逆に「女性が育児に参加する」という言葉を見るとどうでしょう。もっと言い換えるなら「母親が育児に参加する」というとさらに違和感があります。

「母親が育児をするものだ。だが父親はそこに参加することができるようになってきた」という傾向自体は悪いものではありません。しかし、それでいいのかと言うとそうではありません。

「参加」という言葉を問い直す

「参加」という言葉は、「中心」があって、「周辺」があるドーナツ状の輪の中に入っていくようなイメージをもっています。

実践共同体.001

これを理論化しているのが「正統的周辺参加論」です。もしご興味をお持ちの方はこちらの本を読んでみてください。

これを家事・育児に当てはめると以下のようなイメージになります。

実践共同体.002

「母親が中心的に家事・育児をこなすなかに、男性が周辺的に関わって参加していく」と言うようなイメージをつくりだしてしまいます。

父親と母親のどちらが中心でもなく、お互いに分かち合いながら「中心的に参加し合う」ような形での育児というものは、いかにして可能でしょうか。

実践共同体.003

(今日は書きませんが、家族という一つの実践の共同体のなかに、子どもも周辺的に参加していることを想定した家事育児の可能性についても考えたいと思っています)

社会構造が規定する「父親」・「母親」の役割

この問題について考えるとき、以下の3つの視点があります。

①個人や家族で取り組めること
②組織やコミュニティで取り組めること
③社会全体で取り組むべきこと

3つ目の社会全体の視点において、フローレンスの前田さんのこちらの記事が参考になりました。

こちらの記事では、女性に対して「バリバリ働くか子育てをするか」の二択を迫るような現状が浮かび上がっています。

同時に、給与所得が増えないなか、男性も育児どころじゃなくバリバリ働かないと金銭的に子どもが育てられなくなってしまうことも描かれています。

前田さんのこちらの提案に、ぼくも強く共感しました。

“政府・社会が本来出すべきメッセージは「すべての男性が安心して家事育児できる社会づくり」ではないでしょうか。”

個人・家族・組織・社会、それぞれのレイヤーで取り組んでいく

「男は働き、女は子育て」というジェンダーギャップを社会構造が規定していると言えます。

男性も女性も、子育てに参加し、経済活動に参加する機会を平等にしていくために政府に期待することももちろん必要だと思いますが、組織やコミュニティ単位で様々な取り組みをすることもできるはずです。

メルカリでは、育児休業に対して給与の100%になるようにサポートするなど、経済的不安を軽減する工夫をしています。

また、育児休業を取得したり、ジェンダー平等での子育てを心がけている男性が身近にいることも重要でしょう。ぼく自身、子どもが生まれるまえに先輩夫婦が「完全な平等を目指すには、男性が6〜7割ぐらいの家事育児を担うぐらいのつもりでいるのがベストだ」と話していたのを聞いて、今も心に残っています。

こうした語りが身近に聞けるようなコミュニティが作られていることも大切です。企業や友人間で男性の育休や子育ての経験がシェアされるようになることを望みます。

そんなわけで、育休中もしくは取得経験ありのみなさんと、子どもをだっこしながらお茶でもしたいという気持ちです。

参考図書はこちら。

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