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検察庁法案、法案の是非とインターネットを使った大衆煽動の手法の是非は分けて論じるべき。Googleトレンドで検察庁法案を調べてみたら…。

ゴールデンウィークが終わって、コロナ禍も収束に向かいつつあった5月10日に突然、降って湧いた「検察庁法改正案」(国家公務員法等の一部を改正する法律案)騒動。タイトルにも書いたのですが、私は法案の是非と、インターネットによる大衆煽動・政治プロパガンダの是非は、分けて論じるべきだと思ってます。

正直、検察庁法改正案、そもそも一般人には縁遠い話ですし、しかも法改正の趣旨も非常に難解です。つまり、一般人の関心を集めづらい法案だということは、おわかりいただけると思います。

念のため、googleトレンドで調べてみたところ、なんと「ここに表示するデータはありません」と表示されてしまいました。

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これは、あまりに検索回数が少ない場合に、このように表示されます。5月10日以降に検索数が急上昇したことは予想されますが、そのデータは現在集計中ですので、少なくとも5月8日まで、この法案について調べようとしていた人はほとんどいなかったことになります。

それが、5月9日夜の「ツイデモ」を契機に、爆発的に検索数を伸ばし、5月10日のgoogleトレンド急上昇ランキング1位(なお、8位にも「検察庁法改正案に抗議します」、そして10位に「きゃりーぱみゅぱみゅ」が入ってます)という凄まじい結果を残してます。

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ここまでの経緯を見て、不自然さを感じない人は、おそらくいないのではないでしょうか?

5月8日まで誰も話題にしてなかった法案が、一夜にしてトレンド一位。気持ち悪くないですか?

いやね、その法案が、5月8日に突然出てきたのなら、まだ話は分かりますよ。でも、法案そのものは4月16日から審議されているわけですよ。

絶対なにか裏がある。

そう考えないほうがどうかしてますよ。

しかも、昨日の記事でもお伝えしたように、大量のSPAMツイートによってツイート数を水増しするという工作が行われていた証拠も挙がっているわけですから。

もちろん、それを誰がやったのかはわかりませんよ。純粋に義憤に駆られた名もなき一般ユーザーの正義の暴走に過ぎなかった可能性だってあります。

ただ、上念司さんが指摘しておられましたが、ツイデモを深夜に行うのは理由があって、深夜のほうが全体のツイート数が少ないためトレンド入りがしやすいのです。

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ソウル・フラワー・ユニオンっておまえさあ、普段から音楽より政治のツイートのほうが多いやんけ(笑)

こちらの記事で、あの「#KuToo」との比較が書かれています。「#kuToo」が約35万ツイートだったのに対して、「#検察庁法改正案に抗議します」が500万件(笑)。

普通に考えて、一般市民の共感を集めそうなのはむしろ「#KuToo」のほうだと思います。私ですら、石川優実さんの言動に幻滅する前は普通に賛同していました。

ちなみに、ねとらぼさんの記事はむしろ私とは反対の論調の記事なのですが、少し脱線しますがついでなので少し反論しておきます。

まず、そもそもフィルタで弾くことができるスパムが5%もあるって、それだけでも十分異常です。もちろんフィルタは万能ではないので、フィルタをスルーしてしまうスパムだって沢山あるわけです。みなさんも、迷惑メールフィルタを使っているのに迷惑メールが届いてしまう経験はしてるはずです。

それから、最後に追記されている点についても反論しておきます。

同ツールのスパムフィルタでは、アフィリエイトやアプリによる自動投稿や、ツイート内容のほとんどがURLや同じ様な内容の繰り返しであるツイートをスパムと判定して排除します。また、記事に対して指摘されたような多重投稿は、「フィルタオフ」時でもツイート数の集計結果には入っていませんでした。

前半と後半にわけて反論する必要がありますが、まず前半。今回のスパムにURLやアフィリエイトが含まれているものはそもそもありません。次に後半。「フィルタオフ時」もスパムの一部を集計できていないなら、本来はもっとスパムは多いということになります。よって5%は過少であると言わざるを得ません。

なぜ今なのか?

どんな法案や議題でも、反対派が必ず言う反論の1つに「なぜ今なのか?他にやるべきことがあるでしょう」というものがあります。実は、反対派がこれを言い出した時点で、まともな反対理由がないんだな、と白状しているようなものなのですが、この疑問に対しては「なぜ今ではダメなのか」と言い返せば良いです。

そもそも、国会議員は700人以上いるのです。700人が雁首揃えて1つの議題に取り組む必要はどこにもありません。国会では常に数十本の法案が審議され、いくつもの委員会に分けて、分担作業で審議しているのです。だから、他にやるべきことがあっても同時進行でできるのです。それに、「今やるべきことじゃない」とか言い出したら、国会で審議している数十本の法案どれもが今やるべきことじゃなくなってしまうのではないでしょうか。だいたい、「今やるべきことじゃない」と批判している人たちは、今やらないと手遅れになる状況になってから慌てて審議を始めたら「後手後手」と批判するのでしょう。

むしろ、「なぜ今検察庁法改正案に反対なのか」とこちらが聞きたいですよ。だって、あまりにも後手後手すぎますやん。法案審議は4月16日から始まっていたのですよ。にも拘わらず、冒頭で説明したように、誰も話題にしてなかった。それで、採決直前になって急にこんな風に騒ぎ出す。これ、法案を潰すことが目的なのではなく、安倍政権の支持率を下げて憲法改正を阻止することが真の目的なんじゃないでしょうか?

あ、結論言っちゃった(笑)

今回のネット工作、初動から一気にハッシュタグを拡散させ、マスメディアのニュースに乗せるまでのスピードは非常に手際が良かったのですが(「保育園落ちた日本死ね」の時と似てる気もしますが)、あまりにも手際が鮮やかすぎるが故に、反対の声を挙げるタイミングの遅さが余計に不可解に思えてしまいます。法案を潰す目的だとしたらタイミングは最悪なのですが、安倍政権のイメージダウンが目的なら最高すぎるタイミングじゃないですか。

15年前か16年前くらいの小泉政権時代に人権擁護法案というのが審議されようとしたことがありました。ですが、この法案、審議入り前に2ちゃんねらー等が激しく反対運動して取り下げさせたことがあるんですよ。政権を倒すことが目的ではなく、法案を潰すことが目的なら、こういう行動を取るのが当然じゃないでしょうか?

今回の検察庁法騒動、沢山のデマが流れました。政府を批判する目的ならデマも許されるみたいな考え方をしてるから、野党の支持率が伸びないんじゃないでしょうかね。

たしかに、黒川弘務氏の定年延長には不透明ないきさつがあったようですし、それについては安倍政権は批判されてしかるべきとは思いましたが、それが決まったのは1月31日で、今回の法改正と直接の関係はないのです。黒川氏の定年延長を事後的に正当化するのが真の目的ではないか、という見方もあるようですが、法律そのものに問題がなければ「真の目的」なんかどうだって良いんですよ。ましてや、この法改正をもって三権分立が壊れる、なんてのは、ただの政治煽動ですよ。

こうした政治煽動の手法を、国民の怒りの声だ、などといって無批判に礼賛している人たち、あなたたちが礼賛している手法は、ナチスの手法と同じだってことわかってますか?

昨日、「#検察庁法改正案に興味ありません」というハッシュタグがトレンド入りしましたが、これに対して「興味ないならツイートするなよ」と反論されておられる方々が多数見受けられました。しかし、これは法案の是非と手法の是非を混同した批判であって、「興味ありません」という言葉は法案の是非を切り離して、煽動の手法、ネット工作を批判しているのです。

追記:1人でツイデモを開始した「笛美」さんの情報

笛美さんのプロフィール

広告業界の片隅にいます。20代で女性蔑視に染まり、30代でフェミニズムを知りフェミニズム関連の意見を発信していましたが、新型コロナきっかけで政治にも関心を持つようになりました。

#検察庁法改正案に抗議します のツイデモを開始した最初の1人である笛美さん、新型コロナウイルス関係でハフポストに2020年4月20日と5月4日の二回にわたり記事を公開していたそうです。

完全に仕込みじゃん。

5/13追記。Twitterで検索してみた。

Twitterの検索窓に「検察庁法改正案 until:2020-5-7」と入力して検索してみました。

これを見ても、法案について何か言ってた人がとても少なかったことが確認できると思います。


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