マンチェスター11R ロドリの代役レース

 ロドリ、だめっぽいですね。
 先日の激闘のアーセナル戦での負傷が前十字靭帯である可能性が報道されており、このままだと手術してシーズンアウトとなるのが濃厚な状況。確定診断がまだとはいえ、現在のトーンだと「実は軽症でした」となる未来は考えにくく、今季は残りの試合をロドリ抜きで考える必要が出てきた。一時期は不敗神話を誇っていた大黒柱の離脱は大打撃であることは言うまでもなく、現場もフロントも我々サポーター側もなかなか落ち着いてはいられない。
 とはいえ明らかな戦術のコアであるロドリの代役がいない、というのはもうここ数シーズンずっと明白な課題であったので、解決できずに後回しにしてしまったツケを払うのは仕方のないところ。指揮官ペップ特有のキテレツなコンバートも最近見ていなかったので、そういう点では久しぶりに条件が出揃った状態。言ってしまえば今季はもうここから全てがアドリブになるので、ロドリの離脱自体は悲劇的なニュースである一方で、ハーランド加入依頼の大きな変化が編成上でやって来るというのはある意味楽しみでもある。
 そんなわけで、今回はロドリの代役を立てるなら誰か、というのを競馬よろしく勝手に予想していきます。

◎本命
コバチッチ
大筋では当然この男が大本命。これまでも一時的なロドリの離脱時や交代時にDMFをこなしており、順当に考えれば迷うことなく起用されるはず。しかしここまでのパフォーマンスからすると、ロドリのタスクを完全に任せるには厳しさもあるというのが事実。フィルター性能が今ひとつで押し込まれている時にしのぎきれないというのと、プレーの堅実な一貫性に欠けるところが大きく、器用で才能豊かではあるが絶対的なスタメンになれないという彼の経歴をそのまま表したような課題がある。ドリブル突破やボールキープなど彼らしい長所はあるものの、昨季は何度も膠着した状況を救ってくれたロドリのミドルの一発が全く備わっていないのも苦しい。一皮むけるにはうってつけのチャンスだが、はたして。

ギュンドアン
今すぐやらせても形になりそうなのはギュンドアン。過去にもこの役を務めた経験が(いくらかのトラウマを周囲に与えつつ)あるが、一人でDMFをやらせるにあたり今のコバチッチとどっちがいいかと言われるとどっちつかず。とにかく上手いしクオリティも高いし、運動能力や守備貢献のポテンシャル的には間違いなくできると思うのだけど、絶対にピンチを凌がなくてはいけない局面でいまいち防波堤としての責任感がないというか、根本的に魂が攻撃向きの人という印象。バルセロナで人類の罪深さを知った今では粛々と役割をこなしてくれそうではあるが、せっかく戻ってきてくれた彼にそれを背負わせるのもやや気の毒。

◯対抗
ストーンズ
体が追いつくのであれば最善の選択肢。デュエル性能、ビルドアップ性能は申し分ないし、体もでかいのでなんとなくロドリっぽい感じもアピールできる。アジリティの低さも読み性能でカバーできるだろうが、問題はとにかくコンディションの維持ができないこと。トップフォームならば最優の選択肢だが、とにかく当たりっぱなしの時は世界最高の選手だが一度歯車が狂うと泥沼になるのがストーンズガチャ、あるいはCRストーンズなので、そのあたりのマネジメントが必須となるのが辛いところだろう。任せきりにするとそれはそれで離脱した時の反動がつきまとうので、ストーンズに依存するということは諸刃の剣なのである

ヌネス
未だに方向性不明のヌネス。明らかに適正は前目のポジションだろうが、彼自信がどうしてもスタメンが欲しければ大チャンスであるのは間違いない。そこそこポリバレントな部分があるのでやらせてみる価値はありそうだが、ではコバチッチよりも優先して使うべきかと言われるとまあ誰も頷かないだろう。しかし期待されてそうなのに不気味なほどに動きが少ない現状なので、気がつくとかつてのデルフのように魔改造されているかもしれない。序列の低いところから誰かが抜擢されるのであれば、彼を無視することはできないだろう。

▲次点
アカンジ
ちょこちょことペップが色気を出しているアカンジのボランチ化だが、結局は偽CBの延長線上なのでそのまま一人でDMF張らせることにはならないと思う。アケがいればまた違ったのかもしれないが、アケも離脱している以上今は最終ラインからアカンジが抜けるほうがよほどきつい。しかしスクランブルでやらせることは十分可能なので、攻撃面は捨てて守備的に徹するならばワンチャンはある印象。

リコ・ルイス
サイドで絶賛確変中の彼を使ってしまうというかなりもったいない選択だが、最近見せている異常なほどの責任感と大車輪状態を見るとDMFをやる可能性は否定できない。いかんせん体も小さく年齢も若いが、それでもなんとかこなせそうに思えてしまうほどの説得力が今の彼にはある。しかし守備時に体をうまく使って対処はしているがそれもサイドという恩恵があるおかげであり、才能だけでごまかすのにも限度があるので、中盤で過酷なぶつかり稽古を繰り返すと責任感が悪い方向に働いてしまいそうだ。

△単穴
デブライネ
数シーズン前までなら一番推したかったコンバート。トランジションの鬼であることは言うまでもなく、より深めの位置から関与させることで画期的なゲームチェンジャーになれそうだが、さすがにもうこれをやらせるには歳を取りすぎた。細かいプレーの精度や運動力が落ちてきているのは明らかなので、今では無理してやらせるリスクのほうが大きいだろう。ボール回収やビルドアップとミドルを撃っている光景は一番想像しやすいのだが、いかんせん本人が代表などで乗り気でなかったので恐らくやらないだろう。ペップと毎試合喧嘩してそうだ。

グヴァルディオル
トッププロスペクトのCBであるはずなのにもうすっかりSBで定着しているが、このまま上手いこと誤魔化しつつさらにもう一列上げてしまえという作戦。デュエル性能は折り紙付きだしフィジカルもあるし攻撃参加も可能ということで、できるかできないかでいうと微妙にできそうな気がしてくるが、あえてサイドで使うからこそグヴァルディオルの攻撃参加に味が出ているのであって、中央に押し込めると相手にとってもケアしやすい選択肢になって意味をなさない感じもある。頑丈かどうかという視点だけでいえば、多分いちばん頑丈そう。いっそピルロっぽい髭にしてみるというのはどうだろうか。

☆大穴
エデルソン
本当に正気を失った時の選択肢。頼れるセカンドキーパーのオルテガがいる今が最後のチャンス。おそらくサッカーの歴史に残るコンバートになるので、なんとか試合前にペップの食べ物や飲み物に一服盛って、さらにリージョを巻き込んで錯乱させるしかない。かつてのフェルナンジーニョみたいにとんでもない削り方をやってカードをもらっていそうだが。

蛇足
そもそも現在の戦術があまりに「DMFがロドリである」ということを前提にしすぎているので、このまま「ロドリの代役を誰かにして既存の戦術を継続する」よりは、もう根本的に組み立て方を変えてしまう方が長期的な勝利には近いのではないかという感じもある。
こういう時こそ、どうなるか見てみよう。

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