見出し画像

Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

2022 Winter Selection(1月17日~2月27日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」

詳しい放送内容はこちら
D-03 usen for Cafe Apres-midi
http://music.usen.com/channel/d03/



橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

(日本では)コロナ禍がようやく落ちつきを見せ始めたかな、と感じていたのも束の間、一転して先行きの見えない時代であることを痛感させられるニュースがとびかう中で迎えた2022年。「usen for Cafe Apres-midi」のファースト・セレクションは、そんな世の中でも希望の光をもって、冬の街並みやそこに生きる人々の心象風景をハートウォームに彩ることができたらという希いや思いをこめて、メロウ&グルーヴィーで心地よい楽曲を中心に、計30時間分を新たに選曲しています。
Twilight-timeの特集は月〜日を通して、2021年のベスト・トラック735曲(曲目リストはこちらをご覧ください)をシャッフル・プレイ放送で。そのうちの大半は、Spotifyプレイリスト「2021 Best Tracks 735 selected by Toru Hashimoto (SUBURBIA)」でも聴くことができます。
その他の時間帯は9割以上を年末年始に発表された新譜で構成していますが、例年通りこの季節は南半球(特に中南米)からのニュー・アライヴァルが充実していました。Harry James『Buy The Numbers』を始め冬休みにレコードを手に入れることができて愛聴していた2021年の名作や、haruka nakamura〜222(森俊二)〜Calmといった日本のアーティストの最新盤がフィーチャーされていることも、特筆に値するでしょう。もちろんクリスマス・イヴにリリースされた僕たち「usen for Cafe Apres-midi」セレクターズの音楽愛の結晶、チャンネル20周年記念コンピCD『音楽のある風景~ソー・リマインディング・ミー』も大活躍してくれています。今回のセレクトでとりわけ重宝した32作品のジャケットを掲載しておきますので、その中身の素晴らしさにもぜひ触れていただけたら嬉しいです。
それでは、新しい一年も、素敵な音楽との出会いをお届けしていきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします!

画像1

V.A.『音楽のある風景~ソー・リマインディング・ミー』
haruka nakamura『Nujabes PRAY Reflections』
222『Song For Joni』
Calm『Before』
Colin Blunstone『That Same Year』
Harry James『Buy The Numbers』
Jeff Parker『Forfolks』
Myele Manzanza『Crisis & Opportunity, Vol.2 - Peaks』
Benny Sings『Beat Tape II』
Moonchild『Starfruit』
The O'My's『No Swimming』
Kota The Friend『Lyrics To Go, Vol.3』
DJ Harrison『Tales From The Old Dominion』
Nomok『Calm On』
Beverly Glenn-Copeland『Keyboard Fantasies Reimagined』
The Breathing Effect『I've Never Seen The Northern Lights』
Bonobo『Fragments』
Alicia Keys『KEYS』
Alice Phoebe Lou『Child's Play』
Myriam Gendron『Ma délire - Songs of love, lost & found』
Maria Hein『Continent I Contingut』
Big Thief『Dragon New Warm Mountain I Believe In You』
Dope Lemon『Rose Pink Cadillac』
Moreno Veloso『Every Single Night』
Arnaldo Antunes & Vitor Araújo『Lágrimas No Mar』
Thiago Amud『São』
Rodrigo Moreira『Eternamente Como Água Que Corre』
Maíra Manga『Lá』
Augusto Teixeira『Um Mundo Em Nós』
Anna Setton『Onde Mora Meu Coração』
Juan Arabel『Trigo』
Ana Larrubia『Pedacito De Río』

Dinner-time 土曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~6:00
Brunch-time 月曜日10:00~12:00
Brunch-time 火曜日10:00~12:00
Brunch-time 水曜日10:00~12:00
Brunch-time 木曜日10:00~12:00
特集 月曜日16:00~18:00
特集 火曜日16:00~18:00
特集 水曜日16:00~18:00
特集 木曜日16:00~18:00
特集 金曜日16:00~18:00
特集 土曜日16:00~18:00
特集 日曜日16:00~18:00



本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

エフタークラングの最新アルバム『Windflowers』は、タイトルからイメージするとおり、早春~春に合いそうなチェンバー・ポップなエレクトロニカ。Winter Selectionでは早いかなと思いつつ、冬が苦手で春を待ち遠しく思う気持ちを抑えきれずに何曲か選びました。
解説には、このアルバムは希望と変化の象徴である花、ウィンドフラワー(アネモネ)をタイトルにした再生の物語なんだと書いてあり、そういう意味でもこの冬から春に選びたい一枚でした。

2022w_本多

Efterklang『Windflowers』

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00



中村智昭 Tomoaki Nakamura

2022年最初のセレクションは、2021年全体をあらためて丁寧に振り返りながら選曲を。あまりに嬉しすぎたキングス・オブ・コンヴィニエンスとホセ・ゴンザレスの久しぶりとなるニュー・アルバムの発表、haruka nakamuraによるNujabesトリビュート7インチEP&CD、そして本チャンネルの20周年を記念するコンピレイションがついにリリースと、特段に感慨深い出来事が連なったことを噛み締めながら作業を進めていると、締め切り間際の最後の最後に、Calmの新作が到着しました。全10曲の中でも特に気に入った中盤の曲のタイトルにふと目を落とすと、そこには「I Love You - 月がきれいですね」というクレジットが。それはCalmさんから奥様と、生まれたばかりだという息子さんへ宛てたメッセージだと思うのですが、さらにこれを僕から「usen for Cafe Apres-midi」リスナーの皆さんへの新年の挨拶にさせていただきます。担当する毎週月曜日の18時から26時は、毎回を美しい月が静かに輝く夜をイメージしながらお送りしてまいります。本年も、そしてこれからも末長く、僕たち「usen for Cafe Apres-midi」をよろしくお願いいたします。

2022w_中村

Calm『Before』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00



添田和幸 Kazuyuki Soeta

今回のウィンター・セレクションを製作中、最も針を落としたのはNatural Calamity、Gaby & Lopez、DAMOの森俊二によるソロ・プロジェクト、222の『Song For Joni』。揺らめくエレクトリック・ギターの残響が冬の澄んだ空気に溶け込む、どこまでも美しい透明感に包まれた極上のアンビエント・アルバムです。

2022w_添田

222『Song For Joni』
Snowy『Bell City』
Will Samson & Message To Bears『Flow State Mosaic』
Tasha『Tell Me What You Miss The Most』
Jennifer Souza『Pacífica Pedra Branca』
Céu『Um Gosto de Sol』
Próxima Parada『Second Brother』
Johnny Stimson『Butterflies』
Helado Negro『Far In』
Liyah Knight『Traveller's Guide』
Paul Grant『Reflections』
Rehan Dalal『Fruit Of A Poison Tree』
Maston with L'éclair『Souvenir』
Leisure『Sunsetter』
Ilya Serov『Just Friends』
Jessica Domingo『Butterfly Paradise』
Filah Lah Lah『We're Gonna Be Just Fine』
Thapelo Lekoane『Tapestry』
Falle Nioke & Ghost Culture『Badiare EP』
Malik Alston『Malik Alston presents Painted Pictures: Air』
G'emma『Types Of Water EP』
Jamire Williams『But Only After You Have Suffered』
Gabriels『Bloodline』
V.A.『Remixes Jazz Is Dead Vol.10』
El Búho『Natura Sonora』
Johannes Albert『Spessart』
Ayane Shino『Sakura』
Shingo Mimura『Two Dreams Flew Over A Pine Tree』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00



中上修作 Shusaku Nakagami

ワタシが冬生まれのせいなのか、キンキンに冷えた街を歩くのは嫌いではありません。いや、本当は寒いのは苦手なんだけれども、ずしりと重いツイードでビスポークしたバルカラー・コートを羽織る瞬間や、緑のホームスパンで作ったジャケットがいよいよ身体のラインに沿ってきたのを確認するたび、「冬も悪くない」と思うのです。

ヒトは勝手なもので苦手なコト、モノに対して前向きにさえなっていれば、相手が軟化してくるもの。嫌いな相手に対して、こちらも慇懃な態度をみせると冷戦は一生終わりません。ここは自分の心をグッと我慢して相手の喜ぶことをしたり、笑顔で話しかけたりしていると、いつしか相手さんの「目色」が変わってくるのですね。これは洋の東西とわず問題解決の秘訣といわれていますが、それでも戦争や紛争が絶えないのは征服欲や経済がグルングルンに絡んでしまったからなのでしょう。困ったものです。

冬の音楽、という響きはいいですね。ミュート・トランペットの柔らかな語り口、軽快に跳ね上がるフル・ボディなギター、ワルツを踊るライド・シンバル。この文章を書きながら、意識はもう冬の彼方へと飛んでいるのです。

温かい自然素材の服と丁寧につくられた飲み物、それに適度な音量で流れてくる美しい旋律があればシアワセ、なんて素面で語れる歳ではなくなったけど、そのような気持ちは一生続くのでしょうか。いや「一生続く気持ち、という名の小さな炎を宿す、柔らかい老人にワタシはなりたい」。冬はそんなことを考えさせる季節でもあります。

画像5

Michael Deacon『Runnin' In The Meadow』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00



高木慶太 Keita Takagi

新たな年の幕開けにして冬の最深部。そのまた夜のスタートにふさわしい一曲を選ぶ作業は、開幕投手を指名することにも似たある種の決意表明の瞬間。

2022w_高木

The Marías「Care For You」

Dinner-time 木曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00



FAT MASA

あけましておめでとうございます。
今シーズンの冬は例年以上に極寒……そんなときに暖炉のような温もりを与えてくれるソウル・ミュージックを欲してしまいます。
昨年リリースのDurand Jones & The Indicationsのサード・アルバムが秀逸で、アップテンポ/スロウ・ミディアム共に素晴らしく、中でも「More Than Ever」がお気に入りです。一服の清涼剤ならぬ、一服しながらコーヒー、ホット・ウイスキーを飲りたくなります。イヴェントでかけたら趣味のいいご婦人の問い合わせ間違いございません(笑)。
チャンネル屈指の問題児ではございますが、本年も変わらぬご愛顧のほど、よろしくお願いお頼み申し上げます!

2022w_マサ

Durand Jones & The Indications『Private Space』

Brunch-time 金曜日10:00~12:00


三谷昌平 Shohei Mitani

新年、あけましておめでとうございます。

2022年最初となるWinter Selectionでは、Y-OTISとしての活動やスクエアプッシャーのバンドへの参加で知られるロンドン拠点のキーボード奏者/プロデューサー、ダン・ニコールズの「Papa」をピックアップさせていただきます。本曲はダン・ニコールズがヴォイス・レコーダーで録ったピアノとフィールド・レコーディングの音源をもとにエフェクト処理などを施した作品で、彼のアルバム『Mattering And Meaning』のオープニングを飾る曲です。美しさだけではなく、様々な要素をひとつに溶けこませた興味深い作品に仕上がっていますので、ぜひチェックしていただければと思います。

昨年20周年を迎え、21年目となる本チャンネルですが、今年も皆様の生活が少しでも彩り豊かなものになるよう心を込めて選曲してまいりますので、引き続きご愛顧賜りますようお願い申し上げます。

画像8

Dan Nicholls『Mattering And Meaning』

Dinner-time 金曜日18:00~22:00



渡辺裕介 Yusuke Watanabe

元通りになればと願っていましたが、いつの間にかまた新たな時代がやってきたと認識してから、現在・過去の音楽を新たな時代にはめ込む感覚で選曲するようになりました。
80年代リヴァイヴァルも時が経ち、もはや90年代リヴァイヴァルを肌で感じるようになりました。
そんな象徴のような1990年の隠れた名曲 Joanna Lawの「First Time Ever (Mellow Groove / 12inch Version)」。メロウ・ビートに美しいピアノにSadeに並ぶ美しすぎるヴォーカル。サポートにJames Taylor Quartetのハモンド。久々リヴァイヴァル・ヒット。今年の新曲といってもわからないほど雑味のない、時代を越えた名曲です。同じくリヴァイヴァル、1986年ジャズ・ピアニストRobert Welshによるソロ・プロジェクトSinging Dust唯一のアルバム。現在進行形のミュージシャンの皆さんに聴いてほしいといいますか、こんなアルバム作りたいはず。ぜひ聴いてほしいアルバムです。
私の青春は、フリー・ソウルと同じくオリジナル・ラヴでありまして。ピチカート・ファイヴ『ベリッシマ』世代というべきか。そんな愛するオリジナル・ラヴのカヴァー・アルバムが昨年リリースされました。カヴァー・アルバムには期待しないほうですが、これが素晴らしくて、何度も聴いております。そんな中で、心に突き刺さるカヴァー(?)というべきか、ピチカート・ファイヴ『女王陛下のピチカート・ファイヴ』にも収録された「夜をぶっとばせ」(小西さんと田島さんの共作で、オリジナル・ラヴでも再演ヴァージョンがあり、ライヴでも必ず演奏される楽曲)をピチカート小西さんがカヴァー。これが60年代後半のA&M的なアレンジで、コーラス・スキャットに田島さんという、ファンにはたまらない楽曲であります。
ネオ・サイケからブリット・ポップ・バンドに変化した90年代を代表するPulpのジャーヴィス・コッカー、ソロの新作も、素晴らしいシャンソンでゲンスブールでジェントルマンな英国ヴォーカル・アルバムであります。セルジュ・ゲンスブールのカヴァーも見事に再現しております。
南アフリカのシンガー・ソングライターAmanda Blackは、どこまでも透明感のある心地よいメロウ・グルーヴ。そして「usen for Cafe Apres-midi」20周年記念コンピ『音楽のある風景~ソー・リマインディング・ミー』に収録させていただいた、「Woman Of The World」のオリジナルとカヴァーもセレクトしました。
この新しい時代のスタートに相応しい選曲ができましたので、ぜひお楽しみください。

2022w_渡辺

V.A.『What a Wonderful World with Original Love?』
Joanna Law「Fist Time Ever」
Jarvis Cocker『Tip Top』
Singing Dust『Singing Dust』
Amanda Black『Mnyama』
Emma Noble「Woman Of The World / No Turning Back」

Dinner-time 金曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00



富永珠梨 Juri Tominaga

新しい年が始まりました。今年一年も、「usen for Cafe Apres-midi」を聴いてくださる皆さまが、心晴れやかになれる選曲を心がけていきたいと思います。2022年もどうぞよろしくお願いいたします。

2022 Winter Selectionのベストワンには、スウェーデン・ストックホルム出身の女性シンガー・ソングライター、スティーナ・ノルデンスタムが1994年にリリースしたセカンド・アルバム『And She Closed Her Eyes』から「When Debbies Back From Texas」をセレクトしました。北国出身のスティーナの美しく可憐な歌声は、どこか凛とした冬の空気をまとっているよう。樹氷きらめく真冬の朝の情景が心に浮かぶ、透明感に満ちた美しい一曲です。

2022 Winter_ジュリ

Stina Nordenstam『And She Closed Her Eyes』

Brunch-time 土曜日10:00~12:00



小林恭 Takashi Kobayashi

2021年9月の中旬。北海道・美瑛に移住した共通の友人のたかはしよしこさんがオープンしたレストラン「SSAW BIEI」にて(インテリア・デザインを担当させていただきました)、久々にharukaさんと会うことができました。

Nujabesトリビュート作から先行リリースの「Reflection Eternal」の7インチ・シングル盤を手に入れて聴いてるという話をしたら、最近までそのアルバムを作っていてやっと完成したと話してくれました。あまりにもそのシングルがよかったのですごく楽しみですと伝えたら、プレッシャーです、とのリアクション。そのときはいまひとつその意味がよく理解できませんでした。Nujabesがサンプリングした心に響いたフレーズをharukaさんがピアノで奏で、さらにそのフレーズの続きを加えて新たな曲をつくる。Nujabesはharukaさんとそんな作品を作りたいと語っていたと教えてくれました。

そして12月。待ちに待って耳にしたアルバムの音は予想できないような素晴らしい内容で、正直驚きました。思考(趣向)を凝らした編曲や構成は多様で、harukaさんの音に加えて田辺玄さんのフルートやギター、maikaさんのコーラスやフィドルが入ることでより一層、新鮮な息吹が吹き込まれています。Nujabesのビートは入っていないけど、新たなグルーヴ感がここにはあります。

聴いてみて、そしてharukaさんのこのアルバムを作った経緯や思い出を綴った文章を読んでみて、あらためてこの作品を作るということの意味合い、思いを形にする意志や難しさなどを感じることができました。Nujabesに感想を聞いてみたい。きっと心のこもった音に心動かされているでしょう。昨年のベスト・アルバムといえる素晴らしい一枚です。みなさまもぜひ聴いてみてください。

2022w_小林

haruka nakamura『Nujabes PRAY Reflections』

Dinner-time 土曜日18:00~22:00



ヒロチカーノ hirochikano

今年も世界中で生まれる現在進行形の最新の音楽の中から心の琴線にふれた音楽をピュアに選んでお届けします。そんな2022の幕開けを象徴する一枚に選んだのは、LA発ネオ・ソウル・バンドMoonchildの最新作から「Too Good」。クロスオーヴァー時代の往年のスウィート・ソウルが好きな人にはたまらない本物の音創りと、そこに寄り添うアンバー・ナヴランの抑制されたウィスパー・ヴォイスが心地よい一曲です。
2022年の年頭、僕の座右の銘でもある「Music Is My Life」を、改めて心の中に刻んで、少しでもいい音楽が皆様に届きますよう邁進していきますので、今年もよろしくお願いします。

2022w_野村

Moonchild『Starfruit』

Brunch-time 日曜日10:00~12:00



吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

澄んだ空気の中に音の粒子がちりばめられるように、パーカッションやエレクトロニクス、サックスなどひとつひとつの音のエレメントがまろやかなビートにのって空間に気持ちよく浮遊する、「Suave」で2022年の冬のあいさつを。ロサンゼルスのTristan de Liège (ex. Stratus) とデトロイトに移ったBenjamin Hill (Askanse) によるダウンテンポ系のサウンド・ユニットのThomaによる、おそらく黒沢明の映画のタイトルをモティーフにしたアルバム『Ikiru』は、彼らにとって初めてリモートで制作されたにも関わらず、思いがけず豊かなアレンジメントが生まれたという。共鳴する感覚があればどんな環境でも美しい音楽が生まれてくる証。

2022w_吉本

Thoma『Ikiru』

Dinner-time 日曜日18:00~22:00



高橋孝治 Koji Takahashi

皆様あけましておめでとうございます。2021年もコロナコロナの一年でしたが、ここ日本ではなんだか雲行きが変わってきました。コメントを書いている2021年12月中旬のコロナの感染者数を見ていると、かなり状況が良い方向に向いているようなので、これがこのまま続き、世界も同じ状況になれば良いですね。そして2022年が世界の人々にとって特別な年になるよう期待しています。
そんなコロナの感染者数が激減している2021年の12月に作成した2022年一発目の選曲は、心が軽くなっているのでとてもリラックスした気分で作業ができました。
そんな気分にピッタリなオープニング・ナンバーはネオアコ界の人気者、ドリー・ミクスチャーのギタリストだったレイチェル・ラヴ。10月にリリースされた『Picture In Mind』収録のインストゥルメンタル・ナンバー「Wandlebury」をピックアップしてスタートしましたが、この最新アルバムが本当に最高で、ソフト・ロック・ファンのハートをガッチリ鷲掴みにする素敵な内容に仕上がっているので、ぜひ多くの方に聴いてほしい作品です。続くキャロライン・ラヴグロウの「Happy Happy」は2021年のベスト・セレクションに入れた作品ですが、コクトー・トゥインズの影響が色濃く出ている素敵な作品ですね。そしてミシシッピ州出身のジョン・モロウの「1999」もニュー・ウェイヴ色が漂うハッピーな作風で、今回の選曲に込めた自分の気持ちにピッタリの作品です。またこちらも2021年のベスト・セレクションにインしたカナダはモントリオール出身の女性アーティスト、MUNYAの「Life Is A Dream」も大好きな作品で、前回のコメントでも書きましたが、11月にリリースされたニュー・アルバム『Voyage To Mars』は全曲通して素晴らしい作品で、ヘヴィー・ローテイションで聴いているアルバムです。ディナータイム前半は他に、セレクター仲間の武田さんもお気に入りのホーリー・ハイヴの新作「Brooklyn Ferry」や、イギリスのブライトンで活動するネイチャー・TVの「Summer Nights」など、メロウなソウル・テイストの作品もピックアップし、ミネアポリス出身のテイプ・テンションの「I Called Your Name」や、カナダのアーティスト、ナイトシフツの「No Clue」などのスウィートなテイストを持つ作品もちりばめて選曲をカラフルに仕上げ、避けては通れない(笑)、スフィアン・スティーヴンスとアンジェロ・デ・オーガスティンのコラボ作「Cimmerian Shade」も忘れずにピックアップしています。
ディナータイム後半は、スウェーデンのシンガー・ソングライター、Augustineのライト・メロウな楽曲に重なるファルセット・ヴォイスが心地よい「Backseat」をピックアップしてスタート。それに続くのは、イギリスのガレージ・サイケ・バンドThe Oriellesのキーボード奏者として知られる、アレックス・ステファンズのソロ・プロジェクト、ストロベリー・ガイの「Back On My Feet」や、こちらも2021年のベスト・セレクションにインしたハニー・ホイップの「Pineapple Cloud」。他にトップスやビーチ・ハウス、テニスといった人気バンドの最新作もピックアップしているので、前半同様華やかなセレクションになっていると思います。
ミッドナイトからの選曲は、2021年に聴いた作品の中で1等賞となったJordana & TV Girl の「Jump The Turnstile」からスタート。ベスト・セレクションのコメントでも同じことを書きましたが、この作品は80年代後半から90年代にかけて流行したグラウンド・ビートのテイストが色濃く出ており、自分の中ではエヴァーグリーンに輝き続けるベティ・ブーの1992年作「Let Me Take You There」を彷彿させて、聴いていると自然に笑顔がこぼれる作品だと思います。今回のセレクションで大活躍のMUNYAはここではスマッシング・パンプキンズのカヴァー・ソング「Tonight Tonight」をセレクト。続くロサンゼルス出身のアーティストVeronicavonのコケティッシュなウィスパー・ヴォイスが魅力の「Nothing's For Certain」や、イギリスはボーンマスを拠点に活動するBeverly Moonのメンバーである、ジョージとマイクによるポップ・プロジェクト、ムーン・ブルーの「Morning Light」、ブルックリンを拠点に活動するシンガー・ソングライター、サム・エヴィアンがハンナ・コーエンという女性アーティストをゲスト・ヴォーカルに迎えた「Dream Free」などのスウィートでメロウな作品もピックアップして、90年代に流行したマンチェスター・サウンドを仄かに漂わせるFar Caspianの「Attempt」や、ニュージーランドのエレクトロ・ポップ・デュオ Broodsのスムースなダンス・ナンバー「Heartbreak」などをちりばめることで、選曲にアクセントも付けてみました。
ミッドナイトの後半は、Jordana & TV Girlの「Sweet To Dream」や、レイチェル・ラヴの「Primrose Hill」、MUNYAの「Captain Ron」といった最近のヘヴィー・ローテイション・アーティストの作品をまたもやピックアップする傍ら、フランスのインディー・ポップ・トリオ、エヴァーグリーンの「Lone Planet」を筆頭に、ロンドンで活動する女性アーティスト、Faunessの「Dragonfly」、カリフォルニア出身のAlexei Pacholukの音楽プロジェクト、ビジネス・スクールの「Lose You」などのダンス・ナンバーもセレクトしています。
 
さて、今年も懲りずに誰も興味がないであろう無駄な話をつらつらと書いていこうかと思いますが、2022年一発目の無駄話は1965年に制作されたイギリスとアメリカの合作映画『コレクター』について書いてみようと思います。『コレクター』と聞いてセレクター仲間の渡辺さん辺りが反応しそうですが(笑)、この作品のオフショット写真は、ザ・スミスのサード・シングル「What Difference Does It Make?」に使用されたので、映画はご覧になっていなくても作品名を知っている方は多いのではないでしょうか。しかしそのシングルがリリースされた直後に主役を務めたテレンス・スタンプが難色を示し、この写真が使えなくなったため、急遽モリッシーがその写真そっくりなポーズをとってセカンド・プレスが作成されました(その後許可が下りサード・プレスからは元に戻りました)。このときオリジナル写真では主人公の手にクロロホルムを染み込ませたパッドが握られているのですが(怖いですね~・笑)、モリッシー版はミルクの入ったグラスを持つというパロディーに仕立てられています。そして最近ようやく念願だったこの作品の未ソフト化のTV吹き替え版を鑑賞することができました。自分が観たのは1980年2月19日に放送されたテレビ東京の『火曜特別ロードショー』版吹き替え音声を使った、同じくテレビ東京の『バリ・シネ』版だったのですが、主人公役を岸田森さん、相手役を田島令子さんが演じたそのヴァージョンは本当に素晴らしかったですね。残念だったことは『火曜特別ロードショー』版はノーカット放送とのことですが、『バリ・シネ』版はシーンが少しカットされたものでした。そしてWikipediaにも載っていますが、『コレクター』の吹き替え版はなんと4種類も存在します。そのうちのひとつ、1985年放送の『日曜洋画劇場』版はなんと「ジュリ~~~」こと沢田研二さんが演じているのですね。これはぜひ鑑賞してみたいものですが、以前ネットで検索していたら、なんと沢田研二の大ファンだという方がこの録画を持っていると書いておられました。いやはやファンの鏡。まさにお宝をお持ちだと思います(笑)。

1/10追記:
オミクロン株のバカヤロー!

2022w_高橋

Rachel Love『Picture In Mind』
Jon Morrow「1999」
Holy Hive『Holy Hive』
Nature TV「Summer Nights」
Tape Tension「I Called Your Name」
Nightshifts「No Clue」
Strawberry Guy『Sun Outside My Window』
Beach House『Once Twice Melody』
Veronicavon「Nothing's For Certain」
Moon Blue「Morning Light」
Sam Evian『Time To Melt』
Far Caspian『Ways To Get Out』
Broods「Space Island」
Evergreen「Lonely Planet」
Fauness『Maiden No More』
Business School「Backseat」

Dinner-time 日曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

本年もどうぞよろしくお願いいたします。新しい年を迎え、今年もどんな素晴らしい音楽に出会えるのかなと、わくわくする気持ちでいっぱいです。少しでも皆さんが生活の中で、心が安らいだり、気持ちが温かくなるような選曲ができればと思います。
さて、新年一発目はそんな気持ちを込めて、冬の寒さを和らげてくれるような、ハートウォーミングな楽曲を選んでみました。全体的に、軽やかで洗練されたサロン・ジャズやブラジル~アルゼンチン音楽を中心に組み立てましたが、中盤のティータイム以降にはメロウでフォーキーなシンガー・ソングライターを織り交ぜています。その中でもおすすめしたいのがローズ・シティ・バンドです。昨年、出版したディスクガイド『クワイエット・コーナー 2』の中で、盛岡にある書店「BOOKNERD」店主の早坂大輔さんがコラムで紹介していた米国のバンドで、僕もそこで初めて知ってからすぐに気に入ってしまいました。まるで70年代のカナディアン・ミュージックを彷彿させる音作りにもセンスを感じる、寒い季節がよく似合う音楽だと思います。

2022w_山本

Rose City Band『Earth Trip』

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00



武田誠 Makoto Takeda

毎年のようにWinter Selectionは、Best Selectionの選曲と納品時期が重なってしまうので、このときばかりはその年のお気に入りの楽曲(もしくは惜しくも選曲に盛りこめなかった楽曲)を振り返る作業のなかで、これはBest Selection向け(ポイっ)、こっちはWinter Selection向け(ポイっ)、といった具合に曲を振り分けながら、直近の新曲や過去の音源を加え流れを整えつつ、空気の澄んだ冬の街の風景を彩るセレクションへと仕上げていく感じになります……。
たとえば現代詩作家で随筆家の荒川洋治さんが編んだ、とある短編アンソロジーのまえがきに、“名作は「自分が書いたものだ」という気持ちで読むのもいい──”、なんて言葉もあるように、まるで自分がこの作品を作ったと思えてしまえるほど細部まで身体にしみ込ませ音楽を聴きこんでいくと、曲を連ねていくなかで、ある曲同士が美しく共鳴しあうかのようにふくよかな風景を浮かび上がらせる瞬間に出会うことがあります。今年も、そんな素敵な音楽と共に思いをめぐらせ、美しい選曲を紡いでいけたらと願っています。

2022w_武田

Winter feat. Nailah Hunter「Lua」
Catbug『Slapen Onder Een Hunebed』
Connan Mockasin『Jassbusters Two』
Ryan Lerman feat. Jake Sherman「Emily」
808vic『Live To Love』
Luiza Brina & Ana Frango Elétrico「Somos Só」
Cory Hanson『Pale Horse Rider』
Dolphin Midwives『Body Of Water』

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00



waltzanova

あけましておめでとうございます。2022年もよろしくお願いいたします。前回のコメントでも触れましたが、「usen for Cafe Apres-midi」チャンネル20周年を記念したコンピレイションCD『音楽のある風景〜ソー・リマインディング・ミー』が昨年末にリリースされました。セレクター17人が一曲入魂で選んだ素晴らしい仕上がり(パッケージもとても素敵です)になっていますので、ぜひお手に取ってみてください。
 
さて、年明けのWinter Selectionは新曲+2021年アナザー・ベスト・セレクション+waltzanova的『音楽のある風景』特集+季節のおすすめ+ヴァレンタイン・セレクションを織り交ぜてという感じで構成されていますが、特筆すべきはwaltzanova的『音楽のある風景』特集とヴァレンタイン・セレクションですかね。前者はオープニング・クラシック、グレン・グールドの弾く瞑想的なリヒャルト・ストラウスに続けてKiefer「What A Day」から始まるセクション。僕が『音楽のある風景~ソー・リマインディング・ミー』でセレクトしたのがこの曲なのですが、候補としてオファーした曲も並べてみました。昨年のベストにも選んだジャロッド・ローソン「Be The Change」や新作も待ち遠しいムーンチャイルドの「The List」など、僕なりの新しいカフェ・ミュージック定番をお楽しみいただければと思います。
ヴァレンタイン・セレクションはこれまでやっていたようでやっていなかった企画。Winter Selectionの放送時期は1月半ばから2月下旬なので、ちょうどヴァレンタインの時期にかかるんですが、最初の数年はそのことをあまり意識しておらず(年始というイメージが先行していました・笑)、今年はそっちに寄せてみようと思ったのが選曲の動機です。MUROさんのコンピレイションで言うと『Taste of Chocolate』という感じでしょうか。トッド・ラングレンとザ・ルーツが組んだ「Godiva Girl」は昨年末のWinter & Christmas Selectionでもセレクトしたのですが、この季節のニュー・スタンダードになるべきナイス・チューンだと思うので、ここで改めてレペゼンさせてください。シャーデー「Cherish The Day」使いのアリシア・キーズ「Best Of Me」もニュー・スタンダード間違いなしの名曲ですよね。アルバムも素晴らしかったので、こちらも大推薦です。
惜しくも2021年のベスト・セレクションに漏れたクレイロやロードを取り上げたフォーキー・セクションも要注目。ジョニ・ミッチェルのアーカイヴ第2集からの「Another Melody」やLe Renなど、寒い季節に心を温めてくれそうな曲が詰まっています。
最後になりますが、アルバム・オブ・ザ・セレクションは人気ライヴ・バンド、ブッチャー・ブラウンのキーボーディストとしても知られるDJ Harrisonの『Tales From The Old Dominion』です。Kieferと並ぶジャジーなヒップホップ〜ビート・ミュージックの第一人者で、僕にとっての新しいカフェ・ミュージックの具現者のひとりです。前作からは「CandleLit」をよく使い、今回は「Kawai Voyage」を取り上げましたが、アルバム全体通して素晴らしいです。その流れで言うと、ソングス・オブ・ザ・セレクションの一曲は、僕が勝手に「usen for Cafe Apres-midi」新人賞に選んだ(笑)Laufey & dodie「Love To Keep Me Warm」でしょうか。今回もハートウォームでノスタルジックな絶妙のセンスを発揮してくれています。
Winter Selectionの時期は寒い日が続きますが、水曜日の午後、このセレクションがココアやホット・ワインのように皆さんの心を温めてくれますように。

画像17

Glenn Gould『Strauss: Piano Sonata, Op. 5 & Fünf Klavierstücke, Op. 3』
Kiefer『Happysad』
Jarrod Lawson『Be The Change』
Alicia Keys『KEYS』
Todd Rundgren & The Roots「Godiva Girl」
DJ Harrison『Tales From The Old Dominion』
haruka nakamura『Nujabes PRAY Reflections』
Laufey & dodie「Love To Keep Me Warm」

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?