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Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

2020 Summer Selection(7月13日〜8月30日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」

詳しい放送内容はこちら
D-03 usen for Cafe Apres-midi
http://music.usen.com/channel/d03/



橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

いつもとは違う夏になりそうな2020、それでも街のBGMを少しでも美しくという思いをこめて、今回もメロウ&グルーヴィーな心地よい楽曲を中心に、計34時間分を新たに選曲した。
毎日16時から18時までの特集タイムは、例年と変わらず大豊作だった2020年の上半期ベスト・セレクション。「usen for Cafe Apres-midi」で推薦してきたマイ・フェイヴァリットを300曲ほどリストアップして(曲目リストはカフェ・アプレミディHPブログに掲載されています)、シャッフル・プレイ放送で。もちろん僕の最新コンピ『Cafe Apres-midi Bleu』(HMVウェブサイトに掲載されたロング・インタヴュー&全曲解説をぜひお読みください)や、アプレミディ・レコーズより先月リリースされたばかりのマイケル・セイヤー『Nostalgia + Bad Bonez』(詳しくはこちらをご覧ください)からもフィーチャーしている。
今回のサマー・セレクションで特に活躍してくれた作品のジャケットを28枚掲載しておくが、個人的な今クールのNo.1アルバムはSaultの『Untitled (Black Is)』(いや上半期ベストワンかもしれない)。アンダーソン・パーク「Lockdown」なども含め、“Black Lives Matter”ミュージックにたびたび耳を傾けたひと月半だった。Zoë ModigaやTRESORを始め相変わらず南アフリカの充実ぶりも特筆すべき。静かな夜の愛聴盤はブルーノ・メジャー、夏の訪れを待ち望む季節感から最もターンテーブルにのせたのはPacific Coliseumだった。

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V.A.『Cafe Apres-midi Bleu』
Michael Seyer『Nostalgia + Bad Bonez』
Sault『Untitled (Black Is)』
Anderson .Paak「Lockdown」
Zoë Modiga『Inganekwane』
TRESOR『Motion』
Bruno Major『To Let A Good Thing Die』
Brad Stank『Kinky Om』
Satin Jackets『Golden Cage EP』
Pacific Coliseum『How's Life』
Clap! Clap!『Liquid Portraits』
History Of Colour『Antumbra』
Awkward Corners『Dislocation Songs』
Mounika.『I Need Space』
Westerman『Your Hero Is Not Dead』
Henry Green『Half Light』
Bibio『Sleep On The Wing』
Roos Jonker & Dean Tippet『Roos Jonker & Dean Tippet』
Ego Ella May『Honey For Wounds』
Haim『Women In Music Pt.III』
Khruangbin『Mordechai』
Terrace Martin, Robert Glasper, 9th Wonder & Kamasi Washington『Dinner Party』
Kota The Friend『Everything』
Carlos Niño & Miguel Atwood-Ferguson 『Chicago Waves』
Fabiano Do Nascimento『Prelúdio』
Flor Sur Cello Trío『Andorinha』
Gabriel Chakarji『New Beginning』
Gwendoline Absalon『Vangasay』

Dinner-time 土曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00
Brunch-time 月曜日10:00~12:00
Brunch-time 火曜日10:00~12:00
Brunch-time 水曜日10:00~12:00
Brunch-time 木曜日10:00~12:00
特集 月曜日16:00~18:00
特集 火曜日16:00~18:00
特集 水曜日16:00~18:00
特集 木曜日16:00~18:00
特集 金曜日16:00~18:00
特集 土曜日16:00~18:00
特集 日曜日16:00~18:00



本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

2020 Summer Selectionは、Teen Dazeのニュー・シングル「Reality Refresh」をピックアップ。ひとことで言えば“お洒落”。時代に合う良い意味でのチープさと洒落感のある爽やかなインタールードのようなサマー・トラック。心地よいノスタルジアを感じるVaporwaveで、YouTubeのシティ・ポップ動画でよくある、80sの日本のアニメの映像に合いそうな感じです。

2020_summer_本多

Teen Daze「Reality Refresh」

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00



中村智昭 Tomoaki Nakamura

映画「The Life Aquatic」への俳優としての出演でも知られるブラジルのシンガー・ソングライター、セウ・ジョルジと、2012年のアルバム『Brenguele』も最高なサンバ・ソウル系シンガーであるホジェーの生々しいアコースティック・セッション。リリースはアナログのみで、本サマー・セレクションに選んだ「Saravá」から始まるB面をBar Musicでリピートする毎夜です。新型コロナウイルスの影響はまだまだ色濃く静かな営業が続きますが、それでもこうして音楽が力強く鳴る日常が戻ってきたことが嬉しくて。

2020_summer_中村

Seu Jorge & Roge『Night Dreamer Direct-To-Disc Sessions』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00



添田和幸 Kazuyuki Soeta

ここ数年、夏の夕暮れどきをテーマに「Sunset Melody」 と題した私家コンピを作って友人たちに配っているのですが(タイトルはTeen Dazeの別名義Pacific Coliseumの名曲から拝借)、今回はその拡大解釈版といった感じで時間軸を大切に選曲してみました。ぜひチェックしてみてください。

2020_Summer_添田

Holy Hive『Float Back To You』
Purnamasi Yogamaya『Oh My Beloved』
Mishka Adams & Beto Caletti『Mabuhay』
Mella Fleck『Dialekt Comes Direct』
Thee Sinseers「What's His Name」
Bakar『Will You Be My Yellow?』
Schultz & Forever『Declaration Of Love』
Próxima Parada『Kind Reminder』
Donny Benet『My Experience』
The Vapor Caves『Feel Yourself』
The Mattson 2『Paradise』
Fools『Fools' Harp, Vol.1』
Hear & Now『Alba Sol』
Cantoma『Into Daylight』
Poolside『Low Season』
Work Drugs『Over The Edge EP』
Marker Starling『High January』
Richard Griffith『Percepts』
Jerry Paper『Abracadabra』
Jazzz『Unpopular』
Yebba「Distance」
Jonah Yano『Souvenir』
Adrian Younge & Ali Shaheed Muhammad『Jazz Is Dead 002 Roy Ayers』
Tristan de Liège『Usawa』
Bruno Major『To Let A Good Thing Die』
Brad Stank『Kinky Om』
Gabriel Garzón-Montano「Someone」
Cassowary『Cassowary』
Easy Life『Junk Food』
WD4D feat. Noah Sanemitsu「Honesty」
Metsa『Contact』
Hania Rani『Home』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00



中上修作 Shusaku Nakagami

2020年2月にはじまった災禍は、音楽の世界にも大きな爪痕を残してしまいましたが、世界中の音楽家たちは手を取り合って、私たちにすばらしい音楽を届けてくれています。観客と演者たるミュージシャンが織りなす、かけがえのないヴァイブはしばらくお預けだけれど、音楽のチカラを信じてライヴ会場の扉が開かれるのを待ちましょう。そして私たちアプレミディ・チームの選曲が「ひとりひとりのすばらしい瞬間」を届けられますように。

今回はカマシ・ワシントンのウエスト・コースト・ゲット・ダウン(WCGD)の一員としても活躍する俊英ピアニスト、ルスラン・シロタの「Bee's Knees」を。社会的状況により故郷ウクライナからイスラエルへと移住し、アメリカで花開いた色彩豊かな才はこの1曲を聴けばよくわかる。近年はオザン・ムスルオウル等、中東ヨーロッパの若手ジャズ・ミュージシャンの活躍が目覚ましいが、彼も当代きって、30歳。これからの活躍がますます期待される。

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Ruslan Sirota『A Lifetime Away』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00



髙木慶太 Keita Takagi

今夏も猛暑の予想。
この時期にしかセレクトできない赤道以南のエキゾティックな楽曲を軸に随所に「涼」「冷」「清」をちりばめて季節感とエア・コンディショニングの両立を試みた。
外気温の時間による変化と楽曲の持つ温度感のそれがシンクロしたら、この試みは成功したと言えよう。

2020_summer_高木

Marina Lima『O Chamado』

Dinner-time 木曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00



FAT MASA

インコグニートのブルーイ、ソロ3作目である『Tinted Sky』。
自身のヴォーカル曲、爽やかで心地よいアーバン・サウンドな「You Are The One」を今年のホワイトデニム・クラシックに認定いたします(笑)。
ブルーイと言えば、僕が見た初めての洋楽ライヴがインコグニートであり、出待ちしお願いすると快くサインしてくれたフランクさから親日家というのにもうなずき、翌日今はなきタワーレコード札幌プリヴィ店(タワーレコード日本1号店!)でバッタリ遭遇し、変わらずフランクに挨拶していただき、とても感激したことが忘れられません。

2020_summer_マサ

Bluey『Tinted Sky』

Brunch-time 金曜日10:00~12:00



三谷昌平 Shohei Mitani

今回のSummer Selectionからは、2作品をご紹介させていただきます。まず1枚目はEarly Summer Selectionで橋本徹さんも紹介していたジョン・キャロル・カービーの『My Garden』です。カービーはソランジュやフランク・オーシャン等ともコラボレイションしているキーボード奏者で、本作はStones Throwからリリースされた彼のソロ・デビュー・アルバムになります。今回は文字通り海岸にインスパイアされた「By The Sea」をセレクトさせていただきました。打ち寄せる波のような穏やかなリズムにあわせて美しいピアノが奏でられる曲です。もう1枚は盟友、Small Circle of Friends pres STUDIO75の『Shamrock Vol.1』です。植物をテーマに構成された美しいビーツ集で、広島の花屋Shamrockの店主、原田美貴さんが曲にあわせた花の名前をタイトルにつけています。このアルバムから「Paphiopedilum」「Clematis Duchess of Edinburgh」の2曲をピックアップさせていただきました。全編通して心地よい作品集になっていますので、興味のある方はぜひチェックしていただければと思います(Shamrockも素敵な花屋さんなのでお近くの方はぜひ!)。コロナ禍でいつものような夏の過ごし方が難しい昨今ですが、皆様、身体に気をつけてお過ごしください。

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John Carroll Kirby『My Garden』
Small Circle of Friends pres STUDIO75『Shamrock Vol.1』

Dinner-time 金曜日18:00~22:00



渡辺裕介 Yusuke Watanabe

やっと日本では縮少の方向に向かう中、まだまだ世界では感染が拡がっている。
いつもお世話になっているヨーロッパのレーベルも本当に厳しい状況。
悲しいメールのやりとり。今できることは、ライフラインは守りつつ、できるだけレコード、CD、データそしてグッズを買っていくこと。
そんな中。
九州1990年代ネオアコ二大巨頭、熊本Johnny Deeと福岡Instant Cytronがコラボレイション。これは、フリッパーズ・ギター再結成ぐらい嬉しい事件。 Johnny Deeは、昨年名曲復刻「Hey, Gentle Girl」をblue-veryからリリース。Instant Cytronは、アニメやアイドルに楽曲提供して活動している。そんな両者の共演バンド名はTGIF (Thanks God It's Friday) 。それも第1弾シングルは、2 ToneのThe Friday Clubの唯一のシングルであり名曲「Window Shopping」のカヴァー(この曲は、橋本さん監修/選曲の名コンピ『Neo-Acoustic Dream ~ Just A Girl』にも収録されてます)。そんなThe Friday Clubもこの夏未発表集レコードをリリース。ということで今年の夏は金曜日が熱いですよ。
と一瞬ですが、この状況を忘れるほどの素晴らしいリリース・ニュース。
音楽は素晴らしい。
追伸:このTGIFの7インチ・リリースは来年に延期に……(汗)

2020_Summer_渡辺

V.A.『Neo-Acoustic Dream ~ Just A Girl』
TGIF「Window Shopping」

Dinner-time 金曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00



富永珠梨 Juri Tominaga

結局、自分的にも納得のできる仕上がりにはなっているのですが、夏の選曲は毎年とても難航します(以前にも同じようなことを書いていたような気もしますが……)。夏はとても好きな季節なのだけど、好きな季節だからこそ、どうもテンションの調整が難しく、うっかりすると「ちょいカイホー的‼︎ テキーラッ‼︎」(スチャダラパー「サマージャム'95」より)な気分で、ギラギラとクドイ選曲になりがちで、いつもとは少し違った角度の注意が必要になってきます(私が担当している時間帯のサブタイトルが「しなやかで心躍るようなブランチタイムの選曲を」ということもあり)。「ワーイ手離しで浮かれたい 夏大好きとか言っちゃったり ってのが出来ない 構えちまう 安々と乗ってたまるかってところもある」(スチャダラパー「サマージャム'95」より)という心境で、いろんな感情がわたしのなかでせめぎ合い、毎年Summer Selectionの選曲作業に入る前は、ひとり勝手に「構えちまう」のです。こじらせてますね……やれやれ。とは言いつつも毎年、「冷静と情熱のあいだ」を行ったり来たりしながら、なんだかんだけっこう楽しんで選曲をしているんですけどね。

さて、今回2020 Summer Selectionのベストワンには、トロント出身クリス・A・カミングスによるワンマン・ユニット、マーカー・スターリングが今年の4月にリリースしたアルバム『High January』をセレクトしました。ソウル、AOR、ソフト・ロック、ブラジルなど、多様な音楽の要素を巧みに昇華し、ポップでありながらもスムース&メロウに仕上げた、ミディアム・テンポが心地よいドリーミーな逸品。クリスのテンダーなヴォーカルと、まろやかなエレクトリック・ピアノが、真夏の火照った体と心をゆったりとクールダウンさせてくれます。容赦なく降り注ぐ灼熱の太陽から逃れ、木陰でほっとひとやすみをしているような、そんなリラックスした空気に包まれた、真夏のチルアウト・タイムにおすすめしたい一枚です。

2020_summer_珠梨

Marker Starling『High January』

Brunch-time 土曜日10:00~12:00



小林恭 Takashi Kobayashi

変わらず、日に日に少しずつ変わっていく景色の中のささやかな発見に心地よさを感じていながらも、静かだけど大きな変化が起きようとしてる気配を感じています。
そんな時代だからこそ、新しい時代の音楽が芽生えるのではないかと思い、様々なジャンルの音楽に耳を傾けています。
今回も新譜がメインで4時間では収まりきらない、たくさんの候補曲から選曲しました。楽しんでもらえると嬉しいです。

2020_Summer_小林

BADBADNOTGOOD feat. Jonah Yano「Goodbye Blue」
Derrick Hodge『Color Of Noize』
Greg Foat『Symphonie Pacifique』
Leron Thomas「Corporate」
PYJÆN『Sage Secrets』
Saidai feat. Vegyn「Oedipal (A Final Look)」
Jacob Collier feat. Mahalia & Ty Dolla $ign「All I Need」
Pacific Coliseum『How's Life』
Simmy feat. Sino Msolo「Ngihamba Nawe」
Sino Msolo『Mamela』
Kamasi Washington『Becoming』

Dinner-time 土曜日18:00~22:00



ヒロチカーノ hirochikano

2020年夏、いろんな意味で特別な気持ちの中で迎えたサマー選曲から、まず初めに紹介したいのが、冒頭歌い出しの「I Can See The Change」のフレーズに、心をわしづかみにされたCelesteの最新作。彼女の心をこめて綴られたストレートな歌詞とハスキーな歌声が深く印象に残る現代の名曲です。続いて紹介するTony Momrelleの「Sunshine」は、「usen for Cafe Apres-midi」ど真ん中なエヴァーグリーンなメロディーとグルーヴ感がこの季節にぴったり。Braxton Cookの「Don't Wanna See You」は、適度にセクシーでスムースなサウンドが夏の海辺の風景に心地よく響きそうな1曲。最後に紹介するのは、世界が注目する英シンガー・ソングライターのニューカマーArlo Parksの注目の最新作「Black Dog」。万人を惹きつける天性の歌声と、その類まれなソングライティング・センスに今後も目がはなせません。

2020_Summer_野村

Celeste「I Can See The Change」
Tony Momrelle『Best Is Yet To Come』
Braxton Cook『Fire Sign』
Arlo Parks「Creep」

Brunch-time 日曜日10:00~12:00



吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

マニラの湿度とカリフォルニアの光。コロラドに拠点を構えるフィリピン系アメリカ人Mikey Yatesのペインティングによる余情に満ちたアルバム・ジャケットが“気分”な、南カリフォルニアの同じくフィリピン系アメリカ人Vex RuffinのStones Throwからのミニ・アルバム『Emilio』。オープニングから “流星都市”の夏の朝の気怠さ感じさせる「Slow Pace」や “An Insatiable High” なギターのリフに誘われて夏の海に駆け出したくなる「Do It Right」、ベース・ラインに身体が揺れるキング・タビー系のダブ「When You Gonna Go Away」と夏の扉が大きく開かれる。
つい先だってリリースされた、アクセル全開の新作“Midnight Rendezvous”な「I'm Still At It」など、日本の70年代のフュージョンやポップスからの大胆なサンプリング・センスはMadlibに大きな影響を受けているという。カリフォルニアのフィリピン系アメリカ人と言えば、シンガー・ソングライターのMichael Seyerとも交流があるようで、フィリピンとカリフォルニアという素晴らしい異文化の融合がサウンドとアートに新たな輝きを生む。

2020_Summer_吉本

Vex Ruffin『Emilio』
Vex Ruffin『LiteAce Frequency』

Dinner-time 日曜日18:00~22:00



高橋孝治 Koji Takahashi

6月の末にこのコメントを書いていますが、世界を見渡すとまだまだコロナによる被害は収まる気配を見せず、大変な状況はいまだに続いているように感じます。しかしここ日本では新規感染者の数が以前よりは減少し、徐々にいろいろな制限が解除されはじめました。まだまだ油断はできませんが、緊急事態宣言中よりはコロナ以前の生活に近づいている感じがして、ランドセルを背負った子供たちの登校風景を毎朝見るだけでも心が落ち着きます。感染拡大の「第2波」の懸念もありますが、このコメントが公開される7月13日には状況がさらに改善されていることを願いたいと思います。
さて、今回の選曲は前回のコメントでも書いた通り、特定の日を決めて、手数料を取らずに売り上げの100%をアーティストに還元するアーティスト・デイを開催したり、こちらも売上の100%を全米黒人地位向上協会(NAACP)の法的防衛基金(NAACP Legal Defense Fund)に寄付するなどのイヴェントを行っていた、Bandcampで購入した最新の配信リリース作品を中心に、4時間の選曲をしてみました。
使用した主な作品を紹介すると、前回のセレクションのトップ・バッターにトーキング・ヘッズ「This Must Be The Place」のカヴァー作品をピックアップした、カナダの首都オタワ出身のインディー・バンド、ダッド・スポーツの爽やかな風のような新作「Out 4 A Breather」や、スウェーデンのミュージシャン、マリア・リンデンのプロジェクト、アイ・ブレイク・ホーセズの6年ぶりとなるアルバム『Warnings』収録の「Silence」、カナダはウィニペグ出身の Felicia Sekundiakによるソロ・プロジェクト、フロア・クライがアメリカのドリーム・ポップ・バンドVansireをゲストに迎えて発表した「Next Best Thing」、サウス・ロンドン出身のプロデューサー、トム・ミッシュと、同郷のジャズ・ドラマーであるユセフ・デイズとのジャジーでメロウなコラボ作「Nightrider」、フロリダ州マイアミ出身で現在はロサンゼルスを拠点とする女性シンガーJenevieveが、日本人シンガー杏里の1982年作『Heaven Beach』収録の「Last Night Whisper」をサンプリングで使用した「Baby Powder」などをセレクトし、ディナータイムの前半を構成。ディナータイムの後半には、声質もそっくりなため、ホセ・ゴンザレスの新曲と紹介されたら誰もが100%信じてしまうだろう、ノルウェイはオスロ出身のアーティスト、Simen Mitlidの「Birds」や、Late Of The Pierというバンドに所属していたサム・ダストによるソロ・プロジェクト、LA・プリーストのニュー・アルバム『Gene』のオープニング・ナンバー「Beginning」、ロサンゼルス出身のシンガー・ソングライター、フィービー・ブリジャーズのセカンド・アルバム『Punisher』収録の「Kyoto」などをセレクト。フィービー・ブリジャーズの「Kyoto」のPVは日本の風景がふんだんに取り入れられていて、海外への渡航が制限される今、海外の方にはヴァーチャルな日本旅行体験を楽しんでもらえると思います。ただひとつ歌詞の中に「日本ではまだ公衆電話が健在していて、通話料は1分1ドル」という部分があるのですが、長距離電話じゃない限りそんなに高額な料金はかからないことを彼女に教えてあげたいですね(笑)。
深夜0時からの選曲にはロサンゼルスの女性アーティスト、Chloe Gallardoのメロウなナンバー「Fool's Keeper」や、こちらもロサンゼルス在住のシンガー・ソングライター Samira Winter 率いるドリーム・ポップ・プロジェクト、ウィンターの新作EP『Infinite Summer』よりピックアップした「Bonsai」、前回のダッド・スポーツのヴァージョンとは違い、こちらの方がユーモア度が高いキュートな感覚に仕上げられたメキシコ出身のアーティスト、Fanclubwalletによるトーキング・ヘッズ「This Must Be The Place」のカヴァー作品、そしてカリフォルニア出身の女性アーティスト、ケイプ・ウェザーの「Keep A Secret」などをピックアップ。1時からのセレクションには南カリフォルニアを拠点に活動するポップ・デュオ、Fiji Blueの「Butterflies」や、ヒューストン出身のサイケデリック・バンドKhruangbinが6月26日にリリースしたサード・アルバム『Mordechai』からの先行シングル「So We Won’t Forget」、ロサンゼルス出身のアーティストで映像作家でもあるKowloonのローファイでチルウェイヴな「Wake Up」、さらにCautious Clay、Remi Wolf、Still Woozy、Sophie Meiers、Claud、Melanie FayeそしてHXNSといった若き才能のあるアーティストたちが、コロナで困窮する人への寄付を目的としてコラボレイトした「Cheesin'」などをセレクトしました。
と、こんな感じで今回も4時間例外なくここ数か月の間にリリースされた最新の楽曲で構成したのですが、これもコロナ禍の中、毎日Bandcampなどで精力的に作品を発表してくれたアーティストのおかげですね。そのコロナ禍の中、みなさんは外出自粛期間中にどのような生活をしていたのでしょうか? 自分はもともと根暗な性分なので、引きこもることに関してはそれほど苦にならず、部屋の整頓のついでに発掘した学生時代にやっていたバンドの音源を、ジャケット、インサートや歌詞カード、そしてラベルや帯などを自作してCDを作り、事前告知なしに勝手に友人たちに送りつけたり(笑)、大好きな旧テレビ放送版『トムとジェリー』(通称TBS版)の再放送ごとに変わったタイトル画面の徹底検証をして資料を制作したり、通称サスペリア版と呼ばれる1980年10月16日に東京12チャンネル(現テレビ東京)系列の『木曜洋画劇場』で放映された日本オンリーの独特な編集が施されているホラー映画『ゾンビ』の徹底検証など、まさに根暗でオタクなクダラナイ行為に没頭していたのですが、中でも熱中していたのがネットに存在する旧テレビ放送の日本語吹き替え映画のリサーチでした。それはおそらく1982年から94年にテレビ東京系列で放送され、コアなB級映画や風変わりな作品を多く取り上げていた『2時のロードショー』(現在の『午後のロードショー』)で放送された作品で、アップされていた多くの作品が存在さえ知らないものだったので、それらを片っ端からリサーチしていました。リサーチした作品の一部を紹介すると、B級作品では一部熱狂的なファンが存在する、末期癌の博士が生き延びるために自身の頭部を死刑囚に移植手術するのだが、急を要したために博士が嫌う黒人に移植されてしまうという、一見人種差別問題を取り上げた作品かと思いきや、物語の大半を無意味なカーチェイスで埋め尽くしている愛しきアホ映画の『Mr.オセロマン 2つの顔を持つ男』(放送時のタイトルは『双頭の男』)や、若きハリソン・フォードが出演するも秒殺されてしまう(笑)、『エクソシスト』をぬるま湯で500倍に薄めた1ミリも怖くないテレビ・ホラー映画の『ブルーファイア』、70年代の映画でよくみられる無意味な上半身裸姿で熱血感を演出する(笑)、熱血スポコン監獄テレビ映画の『ジェリコ・マイル』、役者フランク・シナトラをこの作品で初めて観賞した、引退したスパイに新たな暗殺を依頼するために彼の息子を人質にとって脅しに使う、スパイの非情な世界を描いた『裸のランナー』など、ある意味(笑)とても魅力のある作品たちに出会うことができました。他にシリアスな作品ではイタリアの映画監督、ベルナルド・ベルトルッチの代表作であり、ファシズムの誕生から崩壊までを描いた『暗殺の森』、スウェーデンの映画監督、イングマール・ベルイマンの『狼の時刻』(テレビ放送時のタイトルは『狼の時間』)、そして日本では未DVD化の同じくイングマール・ベルイマンの『情熱』(テレビ放送時のタイトルは『沈黙の島』)の日本語吹き替え放送という貴重なものまで観ることができましたが、中でもイングマール・ベルイマンの両作品に出演する女優のリヴ・ウルマン(イングマール・ベルイマンの当時のパートナーでもある)が出演していた、彼女と同郷のスウェーデン出身である映画監督ヤン・トロエルが、1973年にジーン・ハックマンを主演に起用してハリウッドに進出を果たした『西部に来た花嫁』という「孤独」をテーマにした作品が、自粛という状況も手伝い、セリフの行間に潜む奥深さと、最後のセリフ「いいんだ、これで」(天才バカボンの素晴らしさと同じですね)がもたらす余韻が心に沁みる、素晴らしい作品でした。

2020_Summer_高橋

Dad Sports「Out 4 A Breather」
I Break Horses『Warnings』
Floor Cry feat. Vansire「Next Best Thing」
Tom Misch & Yussef Dayes feat. Freddie Gibbs「Nightrider」
Jenevieve「Baby Powder」
Simen Mitlid「Birds」
LA Priest『Gene』
Phoebe Bridgers『Punisher』
Chloe Gallardo「Fool’s Keeper」
Winter『Infinite Summer』
Fanclubwallet「This Must Be The Place」
Cape Weather「Keep A Secret」
Fiji Blue「Butterflies」
Khruangbin「So We Won't Forget」
Kowloon「Wake Up」
Cautious Clay, Still Woozy, Sophie Meiers, Remi Wolf, Claud, Melanie Faye and HXNS「Cheesin'」

Dinner-time 日曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

ステイホームが続いたせいなのか、春を過ごすことなく夏を迎えるような、そんな印象を拭いきれません。でも少しリフレッシュして音楽も衣替えしたい気分です。今回は、吉本宏さんと河野洋志さんと僕が2010年から活動しているバー・ブエノスアイレスの最新コンピレイションCD『bar buenos aires - Verano』に収録した、ビー・ピープルのリズミカルなカリンバや、ベンジャミン・タウブキンの透明感のあるピアノといった、夏らしい音楽を中心にラインナップを組んでみました。その他、やはり眩しい季節に溶けこんでいく、アンビエント~エレクトロニカ~モダン・フォルクローレ~ラテン・ジャズも緩やかに織り交ぜて、いつもよりメロウでリラックスした雰囲気に仕上がったと思います。

2020_summer_山本

V.A.『bar buenos aires - Verano』

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00



武田誠 Makoto Takeda

例年どおり夏の選曲は、受けもつ平日午後の時間帯を踏まえ、部屋でくつろぐ静かな夏の午後といったイメージで、午睡を誘うような心地よいまどろみに満ちた幅広いジャンルの楽曲を連ねています。
今年は、たぶん部屋ですごす時間が増えるであろう特別な夏を迎えることになりそうですけど、僕自身、いわゆるステイホーム期間中は、ご飯をしっかりと作って食べ、部屋を整えるといったことに意識的になったり、ゆっくりと本を読んだり映画を観たり、もちろん音楽をたくさん聴いて、楽器やDTMにも向かい合い……そう、そんな時間を少しでも取り戻せることができて、何だか心に栄養を与えられたのか、閉じこめられた生活にとても充実したものを感じていました。
待ちに待ったフランスはポワティエのトラックメイカー、Mounika.の新作は、そんな偶然おとずれた架空の夏休みを漂泊しているかのような気分ともシンクロする、映像的なコラージュがほどこされた彼らしいブレイクビーツ集、でした。

2020_Summer_武田

Owen Pallett『Island』
Bibio『Sleep On The Wing』
Mounika.『I Need Space』
Luka Kuplowsky『Judee Justin Arthur Mary』
Dianna Lopez「Predictable」
Andy Jenkins feat. Erin Rae「Far Away From Here」
Louis Prince『Thirteen』
Jaunt『All In One』

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00



waltzanova

例年のSummer Selectionは、初夏の時期に横浜や鎌倉、箱根などを訪れて気分を高めてから選曲をするのですが、今年はコロナ禍だったので、ひたすら東京都内で過ごしながらイメージを高めてセレクションを練りました。ビーチ・ボーイズにリアル・サーファーは一人しかいなかったとか、メル・トーメの「The Christmas Song」は真夏にレコーディングされたというのは、音楽本で昔読んだトリヴィアですが、まさにそういう感じですよね。
 
とはいえ、そういう状況だと作り手側の念が高まるというか、憧れが作品の濃度を高めてくれたりもするんですよね(笑)。僕の敬愛するクレイジーケンバンドの横山剣さんに倣って言えば、「音楽で夏を呼び込む」という感じです。ということで、今回のセレクションはサマーFM的なプレイリスト、ミックステープというムードで、グルーヴィー・アフタヌーンとメロウ・トワイライトを2本立ての軸に、ブラジリアン・ミュージックをサンプリングしたヒップホップを要所要所で使いつつ、夏気分を高めてみました。
 
セレクションのキーとなる曲をラジオ感覚で紹介していきたいと思います。オープニング・クラシックは日本が誇る巨匠・武満徹のその名も「ワルツ」。お盆を過ぎたあたり、時間帯としてはちょうどお昼前後に聴きたい感じです。冷たいお茶を飲みながら水羊羹を食べて、というシチュエイションがハマりそうですね(って、どんな説明なのか……笑)。アフリカン・リズムが心地よいTRESOR「Thrill」は最近の心のベストテン第1位という感じの2020年サマー・アンセム! レックス・オレンジ・カウンティの「Sunflower」に続けたジェリー・ペイパー「Cholla」は、70年代ソフト・ロックをアップデイトしたようなナイス・ヴァイブレイション。新作アルバム『Abracadabra』も素晴らしく、限定グリーン・ヴァイナルのLPを愛聴しています。一時期話題になったヨット・ロックのアンセムと言っていいでしょう、ルパート・ホルムズの「Escape (The Pina Colada Song)」は、「usen foe Cafe Apres-midi」チャンネルの選曲で初めて選びました。村上春樹は寒いロンドンのアパートで『ダンス・ダンス・ダンス』を書き、それが作中のハワイ旅行のシーンにつながったと何かで書いていましたが、文脈的にはそういう一曲です。簡単に言うとピニャ・コラーダが飲みたい(笑)。待望のアナログも出たMahmundiの「Tempo Pra Amar」は、デイドリーム感覚のサマー・フィール・チューン! 今回2曲をエントリーしたDae Hanは、夏の夕暮れどきにバッチリの極上メロウ・ビーツ。エレピの音色がゆらりと心を溶かしてくれます。ジョン・キャロル・カービーの「By The Sea」は、Nujabesファンも必聴のジャジーかつアンビエント・テイストに溢れたイマジネイション豊かな名曲。こちらもアルバム単位でのオススメですね! 続くHNNYの「Montara」への繋がりもハマったと思っています。その流れというわけではないですが、ラストにはharuka nakanuraがミュート・ピアノで綴った新作アルバム『スティルライフ』からの曲を置きました。日常のふとした瞬間に聴きたくなる、リスナーがそれぞれの時間を重ねていけるような作品集だと思います。
 
例年とは違った夏になりそうですが、今回のセレクションが、聴いてくれている皆さんの夏を少しでもカラフルに彩るものになりますように(2020年、七夕の夜に)。

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藤元高輝『武満徹 ギター作品集 vol.2』
Saib『Summer Days』
TRESOR「Thrill」
Mahmundi『Para Dias Ruins』
Jacob Ogawa「All Your Love」
Dae Han『Blue』
HNNY「Montara」
John Carroll Kirby『My Garden』

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

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