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Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

        2024 Winter & Christmas Selection           (12月1日~12月25日)


橋本徹(SUBURBIA)を始めとする

「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が

それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る

「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」

詳しい放送内容はこちら

D-03 usen for Cafe Apres-midi
https://music.usen.com/ch/D03/



橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

コロナ前までは、12月ならではのロマンティックな気分や装いに合わせて、華やいだ街並みを甘美に祝福するような選曲を心がけていたウィンター&クリスマス・セレクション。コロナ禍以降はもう少し雰囲気を落ちつけて、一年で最も心暖まりたくなる季節を親密な空気感で充たし、そんな心象風景に寄り添いながら素敵な音楽で心に火が灯るようなひとときを彩ることができたらと希い、セレクトに励んでいます。今年もささやかな幸せを感じさせてくれるメロウ&グルーヴィーで心地よい楽曲を中心に、計34時間分を新たに選曲しました。
月〜日のトワイライトタイムは、今年大好評だったFree Soul 30周年を記念した特集に、「usen for Cafe Apres-midi」の23年間の歴史の中で定番になってきた人気のクリスマス・ソングをまじえて、「Free Soul 30th Anniversary & Cafe Apres-midi Christmas」と題して。25周年を迎えたカフェ・アプレミディとBAYCREW’Sのインテリア・ブランドACME Furnitureのコラボ・プロジェクト実現を祝して、11/29にリリースされたばかりのダブルネーム・コンピ『Interior Music ~ Cafe Apres-midi meets ACME Furniture』の収録曲もエントリーしましたので、ぜひお楽しみください。
その他の時間帯は、この秋のニュー・アライヴァルから、お気に入りの新譜を惜しげもなく投入しています。曲単位でNo.1を挙げるなら、Speakers Corner QuartetがTirzahをフィーチャーしてカヴァーしたArthur Russellの名曲「This Is How We Walk On The Moon」でしょうか。アルバムで前クールに続いて最もよく聴いていたのは、カナダ・トロントの男性シンガー・ソングライターLuka Kuplowskyの『How Can I Possibly Sleep When There Is Music』でしたが(詩人ライナー・マリア・リルケに捧げられた絶品のエンディング曲「Fugitive Song」はコンピ『Interior Music ~ Cafe Apres-midi meets ACME Furniture』の2曲目にも収録しました)、2作のLP〜配信EP〜多くの客演で2024年の影のMVPではないかと思っているGanavya(南インド出身の作曲家/マルチ奏者で学者でもある神秘的で心震わせる崇高な歌声の持ち主です)の『Daughter Of A Temple』、そして彼女がオープニングのタイトル曲にフィーチャーされたイギリスのミュージシャンJahnavi Harrisonのマントラ瞑想音楽集『Into The Forest』も、同じくらい愛聴していくことになりそうです。
その3枚のアルバムも含め、今回のセレクションでとりわけ活躍してくれた60作のジャケットを掲載しておきますので、よかったらその中身の素晴らしさにも触れてみていただけたら嬉しいです。それでは皆さん、それぞれの気持ちに寄り添う、素敵なクリスマス・シーズンをおすごしください。

V.A.『Interior Music ~ Cafe Apres-midi meets ACME Furniture』
Wack Wack Rhythm Band + Dee C Lee「My Ever Changing Moods + I Love You」
矢舟テツロー + The French Impressionists「Haven't We Met + Santa Baby」
Calm + 武田吉晴「Persian Love (Mixmaster Morris "The Irresistible Force" Remix) + Montara (Calm Remix)」
Luka Kuplowsky & The Ryōkan Band『How Can I Possibly Sleep When There Is Music』
Ganavya『Daughter Of A Temple』
Jahnavi Harrison『Into The Forest』
Alabaster DePlume『Cremisan: Prologue To A Blade』
anaiis & Grupo Cosmo『anaiis & Grupo Cosmo』
Ashley Henry『Who We Are』
Avishai Cohen『Brightlight』
batata boy『MAGICLEOMIXTAPE (quando vê, já foi)』
Becky And The Birds『Only Music Makes Me Cry Now』
Carlos Aguirre & Almalegría『Melod​í​a que va』
Catbug『Musjemeesje』
Chawool『Everything Bagel』
Contour『Take Off from Mercy』
Cordae『The Crossroads』
Dora Morelenbaum『Pique』
Earthware『Lorelei』
Ella Thompson『Ripple On The Wing』
Ellen Andrea Wang, Rob Luft & Jon Fält『Closeness II』
Elmiene『Anyway I Can』
Fievel Is Glauque『Rong Weicknes』
Gareth Donkin『Suite Escape』
Hildegard『Jour 1596』
Homer『Ensatina』
i///u『Play For Someone You Love』
Immanuel Wilkins『Blues Blood』
James Tillman『Senses Vol.2』
John Mark Pantana & LOVKN『Childlike』
Judit Neddermann『Artean』
Katie Gavin『What A Relief』
Kendrick Lamar『GNX』
Kokoroko『Get The Message』
kudasaibeats『comfort zone』
Laufey『A Very Laufey Holiday』
Laura Marling『Patterns In Repeat』
Lexa Gates『Elite Vessel』
Lubiana『Terre Rouge』
Mac Ayres『cloudy』
Maddee Ritter『Songs Of Love & Death』
Malan『Bloom』
Marta Gómez『Seré Guitarra』
Matt Wilde『It's A Delight』
Michael Kiwanuka『Small Changes』
MICHELLE『Songs About You Specifically』
nitsua『soul of the sky』
Nubya Garcia『Odyssey』
Peter Somuah『Highlife』
Rejjie Snow『Peace 2 Da World』
Ryan Keberle & Catharsis『Music Is Connection』
Sam Gendel, Benny Bock & Hans Kjorstad『Dream Trio』
Scott Orr『Miracle Body』
Shiv『the defiance of a sadgirl』
Sílvia Pérez Cruz & Juan Falú『Lentamente』
Svaneborg Kardyb『Superkilen』
Tyler, The Creator『CHROMAKOPIA』
WORLD BRAIN『Open Source』
Zoe Gotusso『Cursi』

Dinner-time 土曜日22:00~24:00

Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00

Brunch-time 月曜日10:00~12:00

Brunch-time 火曜日10:00~12:00

Brunch-time 水曜日10:00~12:00

Brunch-time 木曜日10:00~12:00

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本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

毎年のクリスマス選曲の中でも、特にこのセレクター・コメントで挙げるクリスマス作品を何にしようかといつも悩みます。新譜の気に入ったクリスマス作に出会えないときには、やはり過去のオススメから。とういわけで「usen for Cafe Apres-midi」でもはやお馴染みになってきたフィリピン系オーストラリア人のシンガー兼ソングライター、grentperezのこれまでにリリースしていたクリスマス・ソングを紹介します。自分の知る限りでは、2021年「Please Come Home for Christmas / I’ll Be Home for Christmas」、2022年「When Christmas Comes Again」、2023年「Christmas Strats Tonight」と3年連続でクリスマス・ソングをリリースしているようです。どのクリスマス・ソングも「usen for Cafe Apres-midi」のランチタイム~ティータイムにすごくマッチするから嬉しいですね。

grentperez「Please Come Home for Christmas / I’ll Be Home for Christmas」
grentperez「When Christmas Comes Again」

grentperez「Christmas Strats Tonight」

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00

Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00

Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00

Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00



中村智昭 Tomoaki Nakamura

毎年のクリスマス選曲において活躍するアルバムと言えば、ケニー・ランキンの『A Christmas Album』やブロッサム・ディアリー『Christmas Spice So Very Nice』、トレイシー・ソーンの『Tinsel And Lights』、近年ならチリー・ゴンザレス『A Very Chilly Christmas』というところがお馴染みですが、ソウル方面でそのクラスの大好きなものがもう一枚。かのアイズレー・ブラザーズが2007年にリリースした『I'll Be Home For Christmas』。彼らのメロウ・サイドがホリデイ・ソングに溶ける素晴らしい作品です。今回は橋本さんのフリー・ソウル30周年イヤーをお祝いする気持ちも密かに込めながら、「I'm In Love」と「Isley Christmas Medley」をセレクトしました。みなさんに等しく、幸せな時間が訪れますように。

The Isley Brothers feat. Ronald Isley『I'll Be Home For Christmas』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00



添田和幸 Kazuyuki Soeta

今年のクリスマス・イヴは担当している火曜日なので、ベン・フォールズによるバート・バカラック作「The Bell That Couldn’t Jingle」のカヴァーを始め、全編極上のジャズ・ボッサに彩られたRomero Lubambo & Pamela DriggsやMarcos N. Limaのクリスマス・アルバムなど、締めきり切に間に合わなかった昨年のリリースも含めて例年よりクリスマス曲を多めに、心に火を灯すような心温まる選曲を心がけました。通常の新譜も良作が目白押しなので、選曲リストの方もぜひチェックしてみてください。

Ben Folds『Sleigher』
Romero Lubambo & Pamela Driggs『Christmastime In Rio』
Marcos N. Lima『Christmas Time』
Robert Glasper『In December』
Catbug『Musjemeesje』
Laura Macedo『INTENSA』
Sergio Barreto Junior『Tardes de Verão』
Magalí Datzira『La salut i la bellesa』
C Duncan『It's Only A Love Song』
Kira James『Honeymoon Phase』
The Free Label『Songs For Sienna』
tunng『Love You All Over Again』
BNNYHUNNA『ECHOES OF PRAYER』
Robert Glasper『Keys To The City Volume One』
Bruna Mendez『NEM TUDO É AMOR』
Dora Morelenbaum『Pique』
Saul Madiope『Digital Jazz Man』
Wojtek Mazolewski Quintet『Beautiful People』
Ashley Henry『Who We Are』
Leon Bridges『Leon』
Common Saints『Cinema 3000』
The O'My's『Trust The Stars』
Samora Pinderhughes『Venus Smiles Not In The House Of Tears』
Alvin Cobb Jr.『You'll Need This Later』
Uyama Hiroto『Breath Of Love』
Gi Gi『Dreamliner』
Svaneborg Kardyb『Superkilen』
Anna Butterss『Mighty Vertebrate』
Ganavya『Daughter Of A Temple』
Viive『Sen Jälkeen Kun』
Bill Laurance & Michael League『Keeping Company』
Hiro Ama『Music for Peace and Harmony』
Memotone『Fever Of The World』
The Cosmic Tones Research Trio『All Is Sound』
John Roseboro『Fools』
Solar Unity Ensemble『Upstream』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00



中上修作 Shusaku Nakagami

このコラムでは季節柄クリスマスのアルバムをご紹介ください、とお願いされているのですが、皆様が素敵なアルバムをご紹介されるでしょうから、私は「必ず冬に手がのびる」アルバムをご紹介したいと思います(もちろん今回の選曲にも使用しています)。

この『デイヴ・ディグス・ディズニー』は昔からすきなレコードの1枚です。タイトルのとおりディズニー映画の楽曲をジャズ化した内容ですので年中聴いてもよいのですが、このアルバムはワルツタイム(3拍子)を多用した曲が多いこと、アルト・サクスフォンのポール・デズモンドの温雅な音色、そして何より「いつか王子様が」が収録されているからでしょうか。未聴の方はレコード屋へ走ってください。きっとサブスクにもありますしCD化もされていますが、環境が許すのであればぜひモノラルのオリジナル盤(当時発売されたレコード)で味わってみてください。おもわず目が細くなることを保証します。

本作は1957年にハリウッドのコロムビア・スタジオで録音されました。ハリウッドは数多くのラジオ局や映画産業に関わる会社やエンジニアが多く、録音のよさはお墨付きですが、とくにマイク・セッティングの妙が聴けるのはポール・モチアンのドラムです。彼はもともとブラッシュ・ワークが巧みな人ですが、中でもドラム・ソロの部分では天井の高いスタジオであることがわかる、悠々としたリヴァーブ感が味わえます。

暖かくした部屋でゆったりとした時間をお過ごしになるとき、座右にはぜひこのアルバムを。

Dave Brubeck Quartet『Dave Digs Disney』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00



高木慶太 Keita Takagi

ライフ・ステージが変わったためなのか、クリスマス・シーズンの当事者という感覚はいよいよ希薄になってきた。それでもキラキラとした喧騒を少し離れたところから眺めて、しみじみと感じ入る、そんな距離感が心地よい。
クリスマス・ソングの占める割合を3割程度に抑えたのも心境の変化によるものが大きい。
イルミネーションを浴びる側から眺める側へ。そのためのサウンドトラックを編んでみた。

Samara Joy『A Joyful Holiday』

Dinner-time 木曜日18:00~24:00

Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00



FAT MASA

友人であり、DJ仲間である札幌のDJ YOUKIはクリスマス・レコード蒐集家でありますが、彼が12月に行うイヤー・エンド・パーティーの際にかけていて印象に残った、カイリー・ミノーグのクリスマス・アルバムをセレクトしました。
ダンス・ミュージックのイメージが強いカイリー・ミノーグが歌う、ミュージカル映画の世界を色濃く感じ、多幸感あふれる「It's The Most Wonderful Time Of The Year」を聴いたとき、『ラ・ラ・ランド』のオープニングや、『ロシュフォールの恋人たち』の「双子姉妹の歌」を聴きたくなりました。
美しいジャケットがとても素敵! まだアナログ盤持っていないので、なんとか入手したいですね!

Kylie Minogue『Kylie Christmas』

Brunch-time 金曜日10:00~12:00



三谷昌平 Shohei Mitani

昨年アップル・ミュージック独占でデジタル・リリースされていた、ロバート・グラスパーのホリデイ・アルバムがフィジカル・リリースされましたので、2024 Winter & Christmas Selectionでアレックス・アイズレーをヴォーカルに迎えた「Joy To The World」をセレクトさせていただきました。タイトなリズムに美しいピアノがのるグラスパーらしい作品となっています。ぜひチェックしてみてください。
皆様、素敵なクリスマス・シーズンを!

Robert Glasper『In December』

Dinner-time 金曜日18:00~22:00



渡辺裕介 Yusuke Watanabe

温暖化という用語に引っ張られ、年々寒くない冬を迎えるような感じですが、南半球は、クリスマス・イン・サマーなんですよね。
今年は特に夏からの秋タイムが本当に少なすぎて、九州の自宅ではほぼ半袖で過ごしてました。
暖冬とはいえ、毎年のテーマ、シングル(独身)のクリスマスにとって、心は切なく寂しい季節であります。
歳を重ねるにつれ、鈴の音が涙腺を刺激するのであります。
そんな胸が締めつけられるようなクリスマスの心情を表現すべく、今年も1年かけて選曲しました。
「The Singles Of Christmas」。
今年も無事に音楽に寄り添って年末を迎えましょう。
メリー・クリスマス!
平和な年末を。

Chris Isaak『Christmas』

Dinner-time 金曜日22:00~24:00

Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00



富永珠梨 Juri Tominaga

2024 Winter & Christmas Selectionのベストワンには、ブルックリンを拠点とするマルチ楽器奏者/シンガー・ソングライター、ジョシュア・リー・ターナーと、ナッシュヴィルを拠点とするミュージシャン、アリソン・ヤングからなるインディー・フォーク・デュオ、The Bygonesが2022年にリリースしたシングル「When I'm With You (Christmas Every Day)」をセレクトしました。まろやかに爪弾かれるジョシュアのエレクトリック・ギターの音色と、軽やかにスウィングするドラム&ベース、アリソンのスウィートでどこか懐かしさを感じさせるヴォーカルは、まるでキャンドルの柔らかな灯りのように、心をふわりと温めてくれます。このヴィンテージ感あふれる小粋なクリスマス・ソングは、アリソンのペンによるオリジナル曲。クリスマス・イヴの朝に聴きたくなるような、ピースフルで心躍るクリスマス・ナンバーです。ぜひチェックしてみてくださいね。メリー・クリスマス! 皆さんにとって笑顔あふれる素敵なクリスマスになりますように。

The Bygones「When I'm With You (Christmas Every Day)」

Brunch-time 土曜日10:00~12:00



小林恭 Takashi Kobayashi

今年も数多くのクリスマス・ソングや、このシーズンにマッチする素敵なナンバーを揃えました。
オススメは去年発表されたEmmalineの『The Christmas EP』から「The Christmas Song」。オーガニックなアレンジのこの曲は、暖かく切ないジャジー・ソウルな一曲です。
それともう一曲、今年見つけたクリスマス・ナンバーから、Kimberly Brewerのシングル「Every Day Feels Like Christmas」。こちらはジャジー・メロウ・グルーヴな心地よいサウンドで、後半に入るスティーヴィー・ワンダーのハープがいいアクセントになっていて、心が温まります。
今年も世界が平和になって、誰もが穏やかな雰囲気で暖かく楽しいひとときを迎えられたらと、祈るように選曲していますので、耳を傾けてもらえればとても嬉しいです。

Emmaline『The Christmas EP』
Kimberly Brewer「Every Day Feels Like Christmas」
Jamie Isaac『Please, Remember Me』
Caroline Says『The Lucky One』
Catbug『Musjemeesje』
Scott Orr『Miracle Body』
Cecily『Awakening Pt. II』
Swim Surreal『In The Half Light』
POSY『The Garden』
The Magic Lantern『To Everything A Season』
Fabiano do Nascimento and Shin Sasakubo『Harm​ô​nicos』
The Vernon Spring & Gwilym Gold『Still Live』

Dinner-time 土曜日18:00~22:00



ヒロチカーノ hirochikano

今年のクリスマスを彩る選曲の中から、特に印象に残った1曲としてご紹介したいのが、Lyn Lapidの「blame it on the snow」。冒頭のひらひらと舞い降りる雪の情景を彷彿とさせるピアノの旋律と、彼女の歌いすぎない切なげな唄声が調和したその美しいサウンドは、この冬一番の僕のお気に入り曲です。他にも日曜日のゆったりとしたクリスマス・シーズンのブランチにぴったりなナンバーを厳選してお贈りしますので、今年も日曜日の午前中は、「usen for Cafe Apres-midi」の流れる空間で、大切な家族や恋人と素敵な時間をお過ごしください。

Lyn Lapid『winter wishes』

Brunch-time 日曜日10:00~12:00



吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

クリスマス・ボレロ。ある夜、東京の小さな飲食店で食事をしていると、ひとりの女性がレコードを手に店に入ってきた。その女性はシンガーのSalyuだった。仕上がった新作のレコードを持って、親しくしている店のご夫婦を訪ねてきたようで、店主はさっそくレコードをかけてくれ、その場にいるみんなで聴いた。静かなフェイドインのイントロから清らかなSalyuのハイトーンのスキャットが聴こえてきた。繰り返されるリズムとメロディー、それはモーリス・ラヴェルの「Bolero」だった。その歌声を聴いて思わず「スウィングル・シンガーズみたいですね」と言うと「そうなんです」と彼女は応え、今回の作品について話をしてくれた。曲が進むにつれ、華やかなクリスマスの風景を連想した。9分もの大作が終わると、12インチ裏面をかけてくれ、聴こえてきたのは、Shelby Flintの「Angel On My Shoulder」の清楚なカヴァー。こちらもどこかクリスマスを感じさせる雰囲気だった。こうして今回のクリスマス・セレクションの最初と最後の曲は決まった。

Salyu「Bolero」

Dinner-time 日曜日18:00~22:00



高橋孝治 Koji Takahashi

今年も早いものでクリスマス選曲の時期になりました。しかしこのコメントを書いている日のネット・ニュースを覗いてみると、「11月11日(月)は、関東から西を中心に最高気温は20℃を超え、11月なのに25℃以上の夏日になるところもある予想。名古屋は過去最も遅い夏日」と……。子どもの頃にオーストラリアは気候が日本と逆で、クリスマス・カードには海パン姿でサーフィンをするサンタクロースの絵が描いてあるのを見て驚いた記憶がありますが、気候変動により平均気温が上昇しているここ日本でも、サンタクロースはソリではなくサーフボードに乗ってプレゼントを配る日がやってくるのでしょうか……。

さて、今年のクリスマス選曲ですが、新たに加わったクリスマス・ソングの中でもベストな作品は、アメリカ・ミシガン州グランドラピッズを拠点に活動する兄弟2人組のインディー・ポップ・デュオ、Cal in Red の「Next Christmas」です。この作品は昨年の11月にリリースされたものですが、納品時期の関係で昨年のクリスマス選曲には収録できなかったので、満を持して今年の選曲のトップに配置してお贈りします。今回の選曲は世界情勢の緊迫化で大きな不安が広がる中、少しでも心が穏やかになるよう思いを込めて作りましたが、そのトップバッターにふさわしい作品だと思います。そして昨年に引き続きシネイド・オコナーの作品を要所にちりばめましたが、今年も彼女の歌声が聖なる夜に美しく響き渡り、幸せな人やそうでない不安を抱える人など、多くの人の心の柔らかい部分にそっと触れることを願います。

毎度の映画の話ですが、クリスマスを題材にしている映画は多く、ホラー映画でも数多くの作品が作られています。2005年には人気プロレスラーのビル・ゴールドバーグが主演したブラック・コメディー・ホラー作品『サタンクロース』という、タイトルが昭和レヴェルの親父ギャグ映画がありましたが。キャッチコピーも「ジングル・ヘル! 最高の恐怖をプレゼント」とさらに低レヴェルな親父ギャグを突っ込んでくる辺りが素敵ですね(笑)。個人的に好きなクリスマスを題材にしたホラー映画は、1974年制作のカナダ映画『暗闇にベルが鳴る』です。その内容は「クリスマス・パーティーで賑わう女子寮に不気味な電話がかかってきて、『お前たちを殺す―』と言って電話が切れる。その後、電話のベルが鳴り響くたびに少女たちがひとり、またひとりと消えていく」というお話なのですが、出演しているのが布施明の元奥さんでその美しさが絶頂期のオリヴィア・ハッセーや、『2001年宇宙の旅』(個人的には『バニー・レークは行方不明』)のキア・デュリア、『燃えよドラゴン』のジョン・サクソンと豪華です。監督のボブ・クラークはのちに『クリスマス・ストーリー』という作品も作っており、これはアメリカでは最高のクリスマス映画のひとつとして語られています。2012年には、アメリカ議会図書館によってアメリカ国立フィルム登録簿に保存されることになりましたが、残念ながら日本ではソフト化されていないんですね。

Cal in Red「Next Christmas」
Music Travel Love「It's Christmas Time」
Jars Of Clay & Shel「Wonderful Feeling - Old Lang Syne」
Sinead O'connor「Chiquitita」

Dinner-time 日曜日22:00~24:00

Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

今年も、クリスマス定番曲を中心に、さらに新ネタを追加しながら、合計4時間のラインナップを組んでみました。またクリスマス・ソングに限らず、寒い時期にぴったりのハートウォーミングな曲も織り交ぜて、全体的にヴァラエティーに富んだ内容になったと思います。その中でも、特に気に入っていて、最近よく聴いているのが、スウェーデンのサックス/フルート奏者のヨナス・ウォールの「Soon After Christmas」です。これは、同じくスウェーデン出身のシンガー・ソングライター、スティーナ・ノーデンスタム(また活動を再開してほしいです)が、1991年にアルバム『Memories Of A Color』に収めたクリスマス・ソング名曲のカヴァーですが、ヨナスはその静謐でイノセントな雰囲気をそのままに、なんと管楽器のみの演奏で素晴らしいアレンジに仕上げています。その心の奥底を慰撫してくれるようなやさしい演奏にきっと誰もが癒されると思います。

Jonas Wall『Melodies』

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00



武田誠 Makoto Takeda

50年代風にデザインされたジャケットが目を惹いた、今年9月にリリースされたLAの俳優であり女性シンガー・ソングライターFrankie JuneのデビューEP『Songs I Wrote On My Period』。楽曲はローファイなアンビエンスに包まれた良質なアンビエントR&B風ですが、これを聴いてまっさきに思い浮かべたのはデヴィッド・リンチ監督「ツイン・ピークス」の主題歌で知られるジュリー・クルーズでした。そんなFrankie Juneの実質的なデビュー曲が昨年のクリスマスに発表された「Norman Rockwell Christmas」。先のEPを聴いてからだと、その世界観がより深く沁み渡ってきました……泣。
そう、今年のWinter & Christamas Selectionは、大切な人との時間はもちろん、ひとりの寂しさも温かく包みこんでくれるような静謐でインティメイトな今回新たに取り上げたクリスマス・ソング(ジャケットを掲載した8枚を筆頭として)、そしてオープニングに置いたアンビエント・ポップの才人Isik Kuralの新作からの「Mistaken For A Snow Silent」のようなこの季節と親和性のある新曲で、色彩のトーンが柔らかく統一された感じでしょうか。他にはNick Leng「The Wind」やevan j cartwright「Orpheus! Orpheus! / Sleeping Through The Afternoon」、そしてCaroline Saysの新作からの何曲かがその最たるテイストで。
それではみなさまのもとへ、穏やかで素敵なクリスマスがおとずれますように──。

ALA.NI『Christmas Vol. 2』
Hakushi Hasegawa「Wonderful Christmastime」
Morly「I'll Be Home For Christmas」
Gareth Donkin「This Winter」
Micah Preite「Is That You Santa Claus」
Lily Williams「Doesn’t Feel Like Christmas」
Natalie Cressman & Ian Faquini『An Old Fashioned Christmas』
Frankie June「Norman Rockwell Christmas」

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00



waltzanova

このセレクションが公開されている頃には、神宮外苑のいちょう並木も見頃を迎えているでしょうか。僕は11月下旬が誕生日なのですが、歳を重ねるごとにこの季節が好きになっていきますね。
さて、今年のWinter & Christmas Selectionは例年よりしっとりとした仕上がりになりました。フェイ・ウェブスターやクレオ・ソルなど、SSW~インディー系の新曲が充実していたというのがその理由です。今年好感度の高かったクリスマス~ホリデイ・アルバム/楽曲を挙げていくと、LaufeyのクリスマスEP、マシュー・アイフィールド、ロバート・グラスパー、ジェニファー・ハドソン、といったあたりでしょうか。中でもマシュー・アイフィールドは自然体のムードが魅力的で、今回選んだちょっぴりノスタルジックな「It's Beginning To Look A Lot Like Christmas」は機会があったら聴いていただければと思います。
僕の最も好きなクリスマス・ソングで、毎年のセレクションで狂言まわしのように活躍している「Christmas Time Is Here」はDJ HarrisonとPhony Ppl、ブラクストン・クックと3ヴァージョンを収めました。どれもリリースは昨年ですが、締めきりの関係で満を持しての一年越しの登場という感じです。どれも素敵な出来で甲乙つけがたいんですが、個人的には雪が降るのを眺めているようなPhony Pplのチル&ドリーミーなヴァージョンが一番気に入っています。

クインシー・ジョーンズが亡くなりました。多くの追悼記事もそうでしたが、クインシーというと必ずマイケル・ジャクソンと「We Are The World」の話に(笑)。まあそのくらいビッグな人だったってことですが、僕が好きなのは松尾“KC”潔さんの話です。松尾さんがクインシーに初めて会ったとき、「音楽とビジネスを両立させる秘訣は一体なんですか?」とちょっと生意気な質問をしたら「おい。若造!」と怒鳴られたというエピソード。そのクインシー本人の音楽ですが、1975年特集のとき(Early Autumn Selection)にも書いた通り、若い頃はいまいち良さがわかりませんでした。「なんかパンチがないんだよなあ……」という感じで。でも今聴くと、その“中庸さ”が大人の音楽=幅広い世代に受け入れられるそれとしてのクオリティーの裏打ちになっていたのだと感じます。時代の流行も見据えつつ、若い世代のフックアップも行いつつ、そして自らのルーツであるジャズへのリスペクトも忘れることなく。素晴らしい音楽を生み出してくれたことに最大限の感謝と讃辞を贈りたいと思います。
今回のオープニング・クラシックは、実はクインシーつながりです。彼は若い頃、ナディア・ブーランジェという人に師事していたんですが、この人は作曲家/教育者として名高く、特に膨大な数のアメリカ人ミュージシャンに薫陶を与えています(彼女はもともとはフォーレに師事していました)。彼女は室内楽曲や歌曲などを残しているのですが、今回は象徴派の詩人として知られるポール・ヴェルレーヌの歌詞による「聴いておくれ、いとも甘美な歌を」を選びました。
12月に入るともう本当に年末進行という感じで、周りの時間が過ぎていくスピードが毎年早くなっている気がしています(これも歳を重ねたせいなのか……)。とはいえ、そこを完走したときのほっとした気持ちは何にも代えがたいですよね。そんな最中でこのセレクションがリスナーの方々の気持ちに少しでも寄り添うものであればいいなと思っています。それでは皆さま、それぞれの素敵なクリスマスをお過ごしください。

Cyrille Dubois & Tristan Raës『Lili et Nadia Boulanger: Mélodies』
Emmylou Harris『Light Of The Stable』
Laufey『A Very Laufey Holiday』
Matthew Ifield『A Christmas Album』
Phony Ppl「Christmastime Is Here」
DJ Harrison「Christmas Time Is Here」
Faye Webster「After The First Kiss」
Cleo Sol「Fear When You Fly」
V.A.『Like Someone I Know: A Celebration Of Margo Guryan』
Michael Mayo『Fly』
MICHELLE『Songs About You Specifically』
Al Jarreau & NDR Bigband『Ellington』
Quincy Jones『Sounds... And Stuff Like That!』
Joni Mitchell『Joni Mitchell Archives, Vol. 4: The Asylum Years (1976-1980)』
V.A.『¡Something Festive!』
Kurt Elling & Sullivan Fortner『Wildflowers Vol. 1』

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

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