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Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew

2020 Early Summer Selection(6月1日〜7月12日)

橋本徹(SUBURBIA)を始めとする
「usen for Cafe Apres-midi」の選曲家17人が
それぞれのセレクトした音楽への思いを綴る
「Voice of “usen for Cafe Apres-midi” Crew」

詳しい放送内容はこちら
D-03 usen for Cafe Apres-midi
http://music.usen.com/channel/d03/



橋本徹(「usen for Cafe Apres-midi」プロデューサー) Toru Hashimoto

光り輝く季節・夏の訪れを心待ちにしながら、と例年なら書くところだが、今年は夏を迎える心を調律するような気持ちで、メロウ&グルーヴィーな心地よい楽曲を中心に、計34時間分を新たに選曲した。
コロナウイルス感染拡大で仕事のない外出自粛期間に、配信リリース作を中心に聴きまくっていたこともあり、史上最高の大豊作という印象さえ抱いた、4月〜5月のお気に入り新譜が9割以上を占めるアーリー・サマー・セレクション。欧米はもちろんアフリカからラテン・アメリカまで、ジャンルや音楽スタイルをこえて推薦曲をたっぷりと集めているが、特に今回のセレクトで活躍してくれた作品のジャケットを36枚掲載しておくので、ぜひその中身の素晴らしさにも触れてもらえたら嬉しい。個人的に最も愛聴したアルバムはピーター・コットンテイルの『Catch』、No.1フェイヴァリット・ソング(&トラック)はジェイムス・ブレイク「You're Too Precious」だろうか。
Twilight-timeの特集は、前回に続き月〜日を通して、遂に5/29にリリースされた(先月のこのコラムで紹介したアルゼンチンのシンガー・ソングライターBantiの『Proyecciones』もアプレミディ・レコーズから同時に)カフェ・アプレミディ・シリーズ20周年記念コンピ『Cafe Apres-midi Bleu』との連動企画で、そのセレクションのために僕が選曲候補としてリストアップした名作120曲ほどを、シャッフル・プレイ放送で。コロナ禍に苦しみながら春をすごした今、(とりあえずではあるが)緊急事態宣言が解除されたことを祝福するようなタイミングで、このコンピレイションが陽の目を見たのは、偶然ではなく必然のように感じる。2010年代に生まれたカフェ・アプレミディ・クラシックの中でも、とりわけ愛された2020年代に伝えたい選りすぐりの20曲が収められたこのコンピは、軽やかに前向きに僕らの心を潤し、「新しい日常」を励まし和やかにしてくれる珠玉のサウンドトラックのように響くと思う。
『Cafe Apres-midi Bleu』については、HMVのウェブサイトでQuiet Corner主宰の山本勇樹とアプレミディ・レコーズ担当ディレクターの稲葉昌太と共に、たっぷりと語り合っているので、ぜひそちらも読んでみてほしい(「usen for Cafe Apres-midi」セレクター富永珠梨による素敵なMaë Defays架空ライナーも特別付録についた、橋本徹のカフェ・アプレミディ20周年コンピ『Cafe Apres-midi Bleu』ロング・インタヴュー)。また、CDブックレットに綴られたムッシュ・エスプレッソによるライナー・エッセイには、僕がこのコンピを作るにあたって最も大切にした「音楽のある風景」が描かれているので(自分が“好きな感じ”の原点・原風景だ)、こちらも一読していただけたら嬉しい。「usen for Cafe Apres-midi」で流れる音楽が好きな方なら、陽だまりに爽やかな甘い風がそよぎ笑顔がこぼれるような“Balcony Vibes”に惹かれる方なら、きっと優しくポジティヴな気分になってもらえるだろうから。

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V.A.『Cafe Apres-midi Bleu』
Banti『Proyecciones』
Peter CottonTale『Catch』
Gatsby Global『Social Gathering』
James Blake「You're Too Precious」
Moses Sumney『græ』
KeiyaA『Forever, Ya Girl』
Chloe × Halle「Do It」
Bruno Major『To Let A Good Thing Die』
Henry Green『Half Light』
Joe Hertz『Current Blues』
Cleo Sol『Rose In The Dark』
Manatee Commune『Crescent Lake』
Marker Starling『High January』
Konradsen『Rodeo No.5』
History Of Colour『Antumbra』
Tom Misch & Yussef Dayes『What Kinda Music』
Khruangbin「So We Won't Forget」
Holy Hive『Float Back To You』
Jerry Paper『Abracadabra』
Monday『Room For All』
Laura Marling『Song For Our Daughter』
Blake Mills『Mutable Set』
Lo-Fang『Near Other Worlds』
Brendan Eder Ensemble『To Mix With Time』
John Carroll Kirby『My Garden』
Purnamasi Yogamaya『Oh My Beloved』
Meritxell Neddermann『In The Backyard Of The Castle』
Rodrigo Carazo『Octógono』
Tincho Acosta『Silencio』
Loli Molina『Lo Azul Sobre Mí』
Natalie Greffel『Para Todos』
DRB Lasgidi『Pioneers』
Odunsi (The Engine)『Everything You Heard Is True』
TRESOR「Thrill」
Sun-El Musician feat. Msaki「Ubomi Abumanga」

Dinner-time 土曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 日曜日0:00~10:00
Brunch-time 月曜日10:00~12:00
Brunch-time 火曜日10:00~12:00
Brunch-time 水曜日10:00~12:00
Brunch-time 木曜日10:00~12:00
特集 月曜日16:00~18:00
特集 火曜日16:00~18:00
特集 水曜日16:00~18:00
特集 木曜日16:00~18:00
特集 金曜日16:00~18:00
特集 土曜日16:00~18:00
特集 日曜日16:00~18:00



本多義明(「usen for Cafe Apres-midi」ディレクター) Yoshiaki Honda

5月のGW明け、今年は例年より夏が早めに来てほしいと思いながら、「usen for Cafe Apres-midi」の2020 Early Summer Selectionの選曲に取りかかりました。ここ数年は短めの夏だったという記憶があり、今年はそれなりに長い夏を期待しています。
初夏の選曲はいつも、瑞々しく輝いた雰囲気をと思っていますが、雨のシーンを想定して選ぶ曲も結構あったりするのです。今回も初夏の雨のシーンでも心地よくすごせそうな、好みの曲が収録された3枚のアルバムをピックアップします。
雨が上がれば、いよいよ待ちに待った夏の到来です。

2020_esum_本多

Kevin Krauter『Full Hand』
Message To Bears『Constants』
Michael David『There In Spirit / Rain II - EP』

Lunch-time~Tea-time 木曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 金曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 土曜日12:00~16:00
Lunch-time~Tea-time 日曜日12:00~16:00



中村智昭 Tomoaki Nakamura

7月3日にコアポートより日本盤がリリースされるポーランドの女流ピアニスト、ハニャ・ラニの最新作が素晴らしい。「ザ・ピアノエラ2019」に出演した際にも話題となったが、本作はその評価をさらに飛び越えてゆくことになるだろう。一聴して思い浮かんだのは、「より静寂に魅せるひとりシネマティック・オーケストラ」という表現。今回のセレクションには雨季にしっとりと寄り添う「Leaving」と、その名も「Summer」を選んだ。

2020_esum_中村

Hania Rani『Home』

Dinner-time 月曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 火曜日0:00~2:00



添田和幸 Kazuyuki Soeta

コロナ禍の影響で家ですごすことが増え、音楽に対してはせめてポジティヴにとレコードに針を落として音浴を楽しんでいます。こんな状況下でも世界中から毎日のように素晴らしい音楽が届けられていて、今回は32枚をセレクト。「usen for Cafe Apres-midi」が少しでもリスナーの皆さんの救いになることを願って。

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Mesquite「Cosine」
New Zion Trio『Sunshine Seas Dub』
Lizette & Quevin「Grow Forever」
Maddie Jay『Mood Swings EP』
HNNY「Montara」
M.I.L.K.『Always Summer Somewhere』
Joe James Lewis『Days On You EP』
Ricky Hollywood『Le sens du sens』
Ricewine『Lovesick』
DarkoVibes『Kpanlogo』
Jake Sherman『Jake Sherman Gets Sexy』
Max Zuckerman『The Corner Office』
Kofy Brown『Child Of Providence』
Becca Stevens『Wonderbloom』
Ben L'oncle Soul『Addicted To You』
Yazmin Lacey『Morning Matters』
Gwendoline Absalon『Vangasay』
Braxton Cook『Fire Sign』
Tom Misch & Yussef Dayes『What Kinda Music』
Human Songs『Instinct』
Chip Wickham『Blue To Red』
Bernard Bauer『Passaro Cao』
Joel Hierrezuelo『Asi de Simple』
Cleo Sol『Rose In The Dark』
Peter CottonTale『Catch』
James Vickery『Overture』
The O'My's「Stepping Stone」
Mute Forest『Riderstorm』
Numa Gama『Me Redesenho』
NNAMDÏ『BRAT』
Dumama + Kechou『Buffering Juju』
Ecovillage『Arrived』

Dinner-time 火曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 水曜日0:00~2:00



中上修作 Shusaku Nakagami

コロナコロナで疲れたよ、と独りごちたくなりますが、これからの日本、いや世界は確実に目の前の環境が激変します。経済活動がストップしたことで景気は低迷しウイルスに対して過敏になり、疑心暗鬼になってしまう。でも、人はZoomで画面ごしに会うだけじゃダメなんです。ライヴやクラブへ足を運び「ここにある音楽」を会場全体で共有する喜び。これこそが人をクリエイティヴにし生きる力を与えてくれると信じています。

そしてまた一人のレジェンドが旅立ちました。彼の活動期間は短かったけれど私たちのハートにズキュンと届くメロディーと歌声を遺してくださった、ビル・ウィザース。どうか安らかに。

「生きる力は外にこそある」というパワーをリアルに示してくれているセンカヲス。もちろんライヴだけが彼らの真骨頂ではないけれど、何をやっても「ジャズ」に聴こえるのは不思議。ビートルズの新たな解釈「Hello, Goodbye」。アルペジオのリフが薫風にのると気持ちよし。シンプルで可愛いけど破壊力ばつぐんの「Pi Po Pe」は世界中のヤバいやつを呑み続けた、東京ならではの音像かも。さぁ、今日は外でだれと会う?

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Senkawos『5』

Dinner-time 水曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 木曜日0:00~2:00



髙木慶太 Keita Takagi

5月25日の緊急事態宣言解除までの47日間で家族以外で対面し言葉を交わしたのは指折り数えて小指までいかないのではないだろうか。優等生というほどではないが自粛組としてはそこそこだろうと思う。
他人の声が聞こえるのはもっぱらヘッドフォンから。家の外でソーシャル・ディスタンスが声高に叫ばれるのと反比例して音楽との関係は密接になった。結局のところ閉塞感解消の最良の友は選曲することだった。

2020_esum_高木

Earnest Ranglin『Ranglypso』

Dinner-time 木曜日18:00~24:00
Cafe Apres-minuit 金曜日0:00~2:00



FAT MASA

リリース当時、日本盤しか出されなかったAORでよくありがちなお話ながらも素晴らしき名盤。
中でも「Love You Out Of Your Mind」は格別で、ずっと永遠に聴いていたくなるほどの心地よさ。
幌を全開にしたコンバーチブルで、海岸線をドライヴする時には、この曲を収録したカセットを(今だとスマホをカーナビにBluetoothで同期だが……)忘れずにダッシュボードに忍ばせたい。

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Byrne And Barnes『An Eye For An Eye』

Brunch-time 金曜日10:00~12:00



三谷昌平 Shohei Mitani

今年は偉大なミュージシャンが大勢亡くなっている。この春だけでもマリオ・カストロ・ネヴィス、ミリー・スモール、フローリアン・シュナイダー(クラフトワーク)、ベティ・ライト等々。自分の思い入れのあるアーティストがこの世界からいなくなってしまうのは本当に寂しい限りだ。中でもFree Soulのパーティーで何度もかけさせていただいたビル・ウィザースは個人的に思い入れの強いアーティストだ。彼が亡くなった後、イギリスのDJジャイルス・ピーターソンがワールドワイド・フェスティヴァルで彼の「Lovely Day」をプレイしている映像がいろいろなSNS上でアップ、シェアされていた。映像の中で、この曲を聴きながら楽しそうに踊っている人たちの姿をみていると、胸が熱くなった。このコロナ禍の状況下でみているとなおさらだ。今回は彼への追悼の意味もあって「Lovely Day」のサンバ・ヴァージョンやスティールパン・ヴァージョンを選曲の中に加えてみたので、ぜひ耳を傾けていただければと思う。

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V.A.『Studio Rio Presents The Brazil Connection』

Dinner-time 金曜日18:00~22:00



渡辺裕介 Yusuke Watanabe

すべて止まった状態。TVを含め過去を見直す状況。そんな精神様態によって心に響く音楽。十代の頃に好きだった曲や青春を重ねる音楽とは違う20世紀にリリースされた音楽。好きなアルバムではあったけれど、ここまで心に突き刺さるものか。イギリスのシンガー・ソングライターJohn Martynの1977年のアルバム『One World』、コズミックでファンキーでクール。フォーキーで泣きそうな切ないヴォーカル。そしてライト・メロウ。2020年リリースにしか聴こえないアルバム。
そしてLAのPoolsideの1980年代のジャズ・ファンクをクラッシュさせたような切ないギターとロウビートに色のついてないシンセサイザー。ジャケットを含め浅い夢を見ているようだ。そんな夢心地な夏直前選曲です。

2020_esum_渡辺

John Martyn『One World』
Poolside『Low Season』

Dinner-time 金曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 土曜日0:00~2:00



富永珠梨 Juri Tominaga

アフリカはモザンビーク生まれデンマーク育ち、現在はベルリンで活動する女性SSW、ナタリー・グレフェルのデビュー作。エジ・モッタとの交流から生まれた、オーガニックな聴き心地のジャジーMPB。自宅なのか友人宅なのかシェアハウスなのか。狭いクローゼット(?)の中から、サンバのリズムに合わせて、おどけた笑顔をみせながら、軽やかにステップを踏み歌うナタリーのMVは、コロナショック後の閉塞感に満ちた今(5月9日現在)の気分をカラリと陽気にさせてくれる心晴れやかな作品。ナタリーの伸びやかで、フレンドリーで、そして底抜けに明るい歌声は、忘れかけていた「不要不急」的な、ささやかだけれど、大切なことを思い出させてくれます。この曲の後にセレクトしたのは、Catia「Eu Vou Partir」。初夏の爽やかな光と風を感じられる、ポジティヴな笑顔あふれるこの2曲を、2020 Early Summer Selectionのラストに配しました。

2020_esum_ジュリ

Natalie Greffel『Para Todos』
Catia『Saudade de Paris』

Brunch-time 土曜日10:00~12:00



小林恭 Takashi Kobayashi

時間ができたことで毎日の朝夕の散歩が日課になりつつある今日この頃、日に日に少しずつ変わっていく景色の中のささやかな発見に心地よさを感じています。
先が見えない不安は消えませんが、こんなときも素晴らしい音楽は心に寄り添ってくれて、ときには胸が踊るような気持ちになったり、ときには静かな波のように穏やかな気持ちになったり、そして感謝の気持ちを芽生えさせてくれます。
きっとこの体験が人々に良い方に向かっていくことを毎日祈っています。
そんな気持ちにさせてくれる音楽を共有できる幸せを感じながら選曲したので、ぜひどうぞ耳を傾けてみてください。

2020_esum_小林

SAK PASE feat. NSTASIA「Ring It Up」
Paul Weller『In Another Room』
Lakecia Benjamin『Pursuance : The Colranes』
Little Dragon『New Me, Same Us』
Uyama Hiroto「Extension」
Orion Sun『Hold Space For Me』
Konradsen『Rodeo No.5』
Leo Takami『Felis Catus & Silence』
Gideon King & City Blog「Just Remember」
Peter CottonTale『Catch』
Thundercat『It Is What It Is』
W.A.L.A feat. Salami Rose Joe Louis「Sacrum Test」

Dinner-time 土曜日18:00~22:00



ヒロチカーノ hirochikano

1日も早く、「音楽のある風景」が、みなさんの街に戻ってくれることを願いつつ、あえて普段通りの気持ちに切り替えて、2020初夏の選曲をお届けします。
冒頭、切ない音づくりと唄声が強く心に残ったカナダのヴィクトリア発の3人組サイケデリック・フォーク・バンドLovingの「Only She Knows」を。ベッドルーム・ポップの注目株として以前このレヴューでも紹介したKate Bollingerの最新作「A Couple Things」は、彼女の囁くメッセージに心温まる秀曲。非凡なサウンド・センスで出す曲すべてに注目しているSure Sureの最新作からは、グルーヴ感のあるこの季節にぴったりなネオ・シティ・ポップ「Funky Galileo」を。最後に紹介するKevin Krauterのギター・ポップ「Patience」は、どこか懐かしい香りがして、平和な街の風景が心に浮かびます。何より、このジャケット写真のように、みなさんの日常も、ようやく雨が上がって虹となりますように。

2020_esum_野村

Loving「Only She Knows」
Kate Bollinger「A Couple Things」
Sure Sure「Funky Galileo」
Kevin Krauter『Full Hand』

Brunch-time 日曜日10:00~12:00



吉本宏 Hiroshi Yoshimoto

ビル・エヴァンスのピアノのワン・フレーズをクールにループさせたHNNYの「You Be Good, See You Tomorrow」は、昨年の選曲にインタールードとして幾度となく選び、さまざまな曲の橋渡しとして名脇役となった。そのスウェーデンのトラック・メイカーJohan CederbergによるHNNYの新作は、Bobby Hutchersonの「Montara」を夕闇にたゆたう光のようにメロウにリメイク。肌に涼しさを感じる初夏の宵。

2020_esum_吉本

HNNY「Montara」

Dinner-time 日曜日18:00~22:00



高橋孝治 Koji Takahashi

このコメントはゴールデンウィークが始まった5月3日に書いていますが、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言の延長が決まり、5月の末まで不要不急の外出を控える自粛生活が要請されました。折しもこのコメントがアップされるのが6月1日ということで、そこには霧が晴れ、明るい光が射し込む世界があることを願い、廻りに迷惑をかけないように更なる自粛生活を送っていきたいと思います。
しかし自粛生活によって生活が困窮してしまう方々も多く存在するわけで、それは音楽で生計を立てるミュージシャンたちも同じことです。そんなときBandcampから、運営側が手数料を取らず全ての売り上げをミュージシャンに還元するアーティスト・サポート・デイを行うというメールを受け取りました。ということで、普段なら4時間の選曲を最初の2時間は新譜紹介、24時からの2時間はミッドナイト・スペシャルという名のもとに特集企画を立てて構成していたのですが、微力ながらミュージシャンをサポートするために、今回は4時間全てBandcampで購入した新譜を中心に構成してみました。選曲完成後もBandcampからの購入は続けているので、このような構成は次回も続けると思います。
それでは選曲に使用した素敵な作品たちを紹介しようと思います。と、普段ならここから選曲した全曲を紹介する勢いで長い長い説明が始まるのですが、この大変な時期に原稿チェックや編集作業をしてくれる橋本さんや武田さんに多くの負担をかけてしまうので、今回は一組だけご紹介。BIG LOVE RECORDSの仲くんに教えてもらい、ヴァネッサ・パラディとジャクソン・ファイヴ「I Want You Back」、そしてエルヴィス・コステロ「Everyday I Write The Book」が奇跡的に邂逅した作品と表現したら、仲くんに速攻で否定された(笑)、Meghan Remyの音楽プロジェクト、U.S. Girlsの「4 American Dollars」は、今回セレクトした作品の中でも特にお気に入りのナンバーです。
さて、先ほども述べたように新作がてんこ盛りの内容となっていますので、どうか選曲表をチェックしてみてください。そしてその中に何か気になる作品が見つかったのなら、ぜひともアーティストをサポートする意味合いも込めて、Bandcampなどを通して購入してみてください。レッツ・サポート・ミュージシャン!
それでは6月1日の状況が良い方向に向かっていることを願って。

2020_esum_高橋

Dad Sports「This Must Be The Place」
U.S. Girls『Heavy Light』
Honeywhip「So Obvious」
Small Forward「Imagine So」
Christine And The Queens『La Vita - Nuova EP』
Ruby「Asha The Computer」
Blue Canopy『Mild Anxiety』
Yumi Zouma『Truth Or Consequences』
Andrew Goldring「So Many Things」
Caribou『Magpie』
Why Bonnie「Voice Box」
Beverly Moon「Ocean Eyes」
Alicia Clara「Closing Time At The Gates」
There's Talk「Head In Reverse」
Drug Store Romeos「Frame Of Reference」
Alexandra Savior『The Archer』

Dinner-time 日曜日22:00~24:00
Cafe Apres-minuit 月曜日0:00~2:00



山本勇樹 Yuuki Yamamoto

4月以降、自宅ですごす時間が増えたことで、ゆっくりと音楽を聴く時間を持つことができました。普段なら、長い通勤時間を利用して、Bluetoothイヤフォンを通して聴いていましたが、久しぶりに、部屋に鎮座したままのクリプシュのスピーカーを通して、音楽を流してみると、なんとも新鮮かつ贅沢な気分になり、今回はいつも以上に気持ちを高めながら、選曲ができたわけです。あと、現在は、もっぱら6月にリリースされる、バー・ブエノスアイレスの最新作『bar buenos aires - Verano』の制作に取り掛かっているので、その片鱗もあちらこちらに現れていると思います。音楽を通して、少しでも皆さんの気持ちが安らかに、軽やかになるお手伝いができれば嬉しいです。さあ、今年も暑い夏がやってきます。無理せず健康に気をつけていきましょう。ビー・ピープルが奏でるカリンバの音色が、ほどよく身体をクールダウンさせてくれますよ。

2020_esum_山本

Be People『Impetu Chiwaya』

Lunch-time~Tea-time 月曜日12:00~16:00



武田誠 Makoto Takeda

オンエアをむかえる時季がここにセレクトされた音楽によって少しでも美しく彩られるよう、雨に濡れた樹々の緑がより深く濃い匂いを放つような街の風景を思い浮かべながら、Early Summer Selectionの選曲に取り組みました。
そう、こんな状況下では、おのずと親密なトーンの楽曲が連なりがちではありますが、中でもポルトガル・リスボンの姉妹デュオ、Golden SlumbersのMondayによる新しいソロEPは、きっとこの後もこのときのことを思い出すきっかけになるであろう、遠い夏の日の記憶に残る静かな通り雨のような作品でした。
そして、どんなふうにコロナの夏がすぎてゆくのか。今もうすでに夏の終わりの切なさを感じているような、またそれはそれで悪くないような、そんな気持ちでいっぱいです……。

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Deni Domenico『Novo Amores』
El Michels Affair『Adult Themes』
Ryan Power『Mind The Neighbors』
Monday『Room For All』
Jordana『Classical Notions Of Happiness』
fuvk「Will I See You Soon」
Cabane『Grande est la maison』
Blake Mills『Mutable Set』

Lunch-time~Tea-time 火曜日12:00~16:00



waltzanova

このコメントを書いているのは、特別警戒宣言の発令から3週間が経過したゴールデンウィーク中です。感染の拡大はなかなか収束を見せず、今が正念場という感じなのですが、自分自身の生活を振り返り、改めて実店舗を中心としたレコード・ショッピングをしていたんだと痛感しました。もちろん通販も利用するのですが、いまいち気分が上がらないんですよね……(ちなみに服も実物を見ないと買えない派です・笑)。

ということで、新譜はサブスクを中心に聴いていますが、サンダーキャット、ブラクストン・クック、Ivan Ave、トム・ミッシュなど大豊作でした。70年代のLAミュージックをアップデイトさせたような作品が目立つのがここ最近の傾向ですよね(曲単位ではコリー・ヘンリーの「Happy Days」が今回のイチオシ曲です)。もちろんそのあたりは大好物なので、今回のセレクションでもたっぷりとフィーチャー。セレクション全体を通じては、サキソフォンの軽やかな音色やアーバンなテイストのブラジリアン・ナンバーなどが多くなりました。

また、前回FAT MASAさんがレコメンドしていたヤング・ガン・シルヴァー・フォックスの新譜がEarly Summer気分だったのも印象的です。そのYGSFの片割れであるショーン・リーが昨年リリースした『Rides Again』も好作で、中でも「Kansas City Summer」は、ポール・ウェラーを思わせる疾走感にあふれたアコースティック・グルーヴ。タイトル通り、これからの季節にぴったりです。彼がリミックスしたカーク・リードというSSWの「California」7インチ盤もコロナ禍が明けたらイヴェントでかけたいと思っています。

オープニング・クラシックは、ドビュッシーの「アラベスク 第一番」です。ベン・ワットがSpotifyで作った夜用のプレイリスト「Night Piano」もヒントになりました。ピアノの音色が光の中できらきらと輝くように広がっていく、イマジナティヴな名作です。

それに続けたジェイムス・テイラー「Music」は、僕にとっての永遠の音楽讃歌。「usen for Cafe Apres-midi」チャンネルの選曲を任された年、ちょうどこのEarly Summer Selectionのタイミングでセレクトしたと記憶しています。そのときも書いたかもしれませんが、2:55からのJTのスキャットは、音楽がそばにあるこの喜びが封じ込められたかのような奇跡的な瞬間です。

2001年の9.11のとき、「戦争に反対する唯一の手段は、各自の生活を美しくして、それに執着することである」という吉田健一の言葉がよく引用されていましたが、僕は今またこの言葉を噛みしめています。そして先日ふと浮かんだのが、「戦場のボーイズ・ライフ」というフレーズ(小沢健二の曲のタイトルです)。もうとっくに少年ではない年齢ですが、心はいつもタフに暗闇への挑戦に勝つと信じ、愛と祈りを携えて歩き続きたいと思います。

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Pascal Rogé『Debussy ‎– Piano Works』
Young Gun Silver Fox『Canyons』
Thundercat『It Is What It Is』
Tom Misch『Beat Tape 1』
Braxon Cook『Fire Sign』
Cory Henry「Happy Days」
Bill Withers『Making Music』
James Taylor『Gorilla』

Lunch-time~Tea-time 水曜日12:00~16:00

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