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"今年も"高校野球の監督から学ばせていただきました【甲子園優勝監督の失敗学】

こんにちは、野崎です。

今年の夏もアツかったですね!

え?何がって?


もちろん、高校野球です!


今年の夏の甲子園は、京都国際高校の優勝で幕を閉じました!
(個人的に、京都国際の野球が好きだったので、結構喜んでます)


昨年もこの時期に、昨年の甲子園決勝で対戦した両監督の著書をもとにした記事を執筆しました。


それがなんと、大バズり!


noteの注目記事に取り上げられ、


noteの公式Xでもポストされ、


現在では、1万ビュー数を超える人気記事となっています。


そんな大バズりもあり、
「今年も高校野球に関連した記事を書けないかな~」

なんて考えていた矢先、こんな本を見つけました。

『甲子園優勝監督の失敗学』大利実

負けたときにしか人は変われない。失敗を経て頂点に辿り着いた名将たち

仙台育英・須江航監督も、慶應義塾・森林貴彦監督も、
甲子園を制した誰しもが、忘れられない失敗を経験していた。
そこから何を学び、克服して、日本一まで上り詰めたのか。
初めて明かされる名将の失敗学。

負けたときにしか変わるチャンスはない――

Amazonの内容紹介より

甲子園で優勝経験のある監督に、失敗にまつわる話とそこからの学びをインタビューしたものです。


高校野球マニアとして、
人財育成担当として、
そして、オープン社内報のライターとして、
この本を読まない手はありません!


今回は、この本を読んで、
個人的に刺さった教えを5つ、抜粋してご紹介していきたいと思います!




① 失敗との向き合い方

1つ目は、「失敗との向き合い方」です。

こちらは(去年の記事でも紹介しました)、仙台育英高校(2022年優勝)の須江航監督の話です。

人間は、うまくいかなかったときしか頑張らないですから。
”頑張らない”と言うと言いすぎかもしれませんが、うまくいかなかったときにしか学びはない。
成功には、何も生み出すものはありません。選手にはずっと言い続けていることですが、成功には再現性がなく、失敗にこそ再現性がある。
だから、失敗から学ばないといけないんです

『甲子園優勝監督の失敗学』P.23

「成功には再現性がなく、失敗にこそ再現性がある」という言葉が個人的に刺さります。

かの有名な野村克也監督の名言に、
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」
というのがありますが、これに通ずるところもありそうです。

簡単にいうと、成功(勝ち)はたまたま起きることもあるけど、失敗(負け)には常に理由があるよ、ってことですね。

まず前提として、
失敗から学ばないといけないという姿勢がこの教えから学べそうです!


② 「放任」では「自立」は育たない

次に紹介するのは、花咲徳栄高校(2017年優勝)の岩井隆監督の話です。

岩井監督のインタビューでは、組織作りにフォーカスしたお話が書かれていました。

キーワードは「自立」です。
組織メンバーを自立させていくには、監督側はどうするのがよいのか?ということです。

「自立」って、難しいですよね。

例えば、介入しすぎると相手の自立からは遠ざかってしまう気もするし、
とはいえ、自立を促すにはどうすればいいかもわからない。

個人的に、新人研修でも会社から「自立的な人財を(育てて)」と言われるものの、「では、自立をさせるために、どんな手を加えればいいか」までは見つけられていないところがあります。

そんな「自立」について、岩井監督はこう語っています。

勘違いしていけないのは、「自立=放任」ではないということだ。すべてを選手に任せて委ねるわけではない。
指導者が締めるところを締めて、『これだけは絶対』ということは教え込まなければいけない。そのうえで、自分たちで考える時間を意図的に作っていく。でなければ、チームは作れません」

『甲子園優勝監督の失敗学』P.118

なるほど…。

岩井監督は、教え込むところは教え込むといった感じで、「自立」を促していることが読み取れます。


実はこの岩井監督、最初からこのような「自立」の考えを持っていたわけではないようで…
本書では、岩井監督が「自立」というものについて考え直すきっかけとなったエピソードも記載されていました。

岩井監督が「ジャパンコーチズアワード」というイベントに招待された際、帝京大ラグビー部の岩出雅之監督の話を聞いたのが、そのきっかけだったそう。

岩出さんは、『自立とは自ら考え想像し、決断して実行すること』と話していました。おれの考える自立は、『自分たちで考えて行動しろ』ってものすごく薄っぺらいもの。そうじゃなくて、考えて想像しなくちゃいけない。すごく深いんですよね。

『甲子園優勝監督の失敗学』P.127-128

「自立とは自ら考え想像し、決断して実行すること」

ただ、本人に任せるだけではいけない。
考えて、想像して、決断させなければいけない。

僕は、
「決断には、なんだか責任感みたいな重みがある感じがするな」
「責任感を持って行動させることが、自立につながるのかもな」

なんて考えました。

そのあたりを意識しながら、
人財育成に取り組んでいきたいと思います!


③ 凡事徹底の難しさ

お次は、2013年に優勝した前橋育英・荒井直樹監督の教え。
(ちなみに、野﨑が高校3年生だった時の優勝校がこの前橋育英でした)

荒井監督のエピソードで特に印象に残ったのが凡事徹底のエピソードです。

ちなみに、凡事徹底には以下のような意味があります。

なんでもないような当たり前のことを徹底的に行うこと、または、当たり前のことを極めて他人の追随を許さないことなどを意味する四字熟語

Weblio辞書

荒井監督はこう語っています。

就任したときから、のちに有名になる『凡事徹底』をスローガンに掲げてはいたが、まだ言葉があるだけで、実際にやり切れてはいなかった。誰もができるような当たり前のことを徹底的に極め、突き詰める。悔しい敗戦があったからこそ、やるべきことが明確になった。

『甲子園優勝監督の失敗学』P.178

これ、僕は痛いほどよく分かります。

たとえば、
・1日30分は資格の勉強しよう!
・1日10分は筋トレをしよう!
・早寝早起きを心掛けよう!

このような決意をして、何度挫折したことか…
こんな経験、誰しも一度はあるのではないかと思います。


僕は、この凡事徹底のエピソードが出てきたときに、
「なにか凡事を徹底する極意が出てくるのかな?」
と期待していました。

しかし、荒井監督のエピソードからは、僕の期待するようなコツや飛び道具は出てきませんでした。

そんな飛び道具の代わりに、荒井監督からはすごく人間らしいエピソードが出されていました。

「新チームが始まってから夏休み中の練習で、なかなかうまくいかないことが続いていました。みんなで集まって、『どんな言葉をかけ合えば、ひとつになって戦えると思う?』と問いかけて、ミーティングをさせました。そこで選手から出てきたのが、『打球方向の声』「内外野の連携の声』『事前のプレーの確認』『けん制バックの声』の4つでした」
野球の技術は関係なく、誰にでも出せる声だ。
(中略)
荒井監督は「わかった。おれが監督を辞めるまでずっと言い続けるから、お前たちも大事にしろよ」と約束を交わした。

『甲子園優勝監督の失敗学』P.187

「自分も徹底するから、みんなも徹底しろ」

指導者が凡事徹底の姿勢を見せ、生徒にも凡事徹底させる。
これが荒井監督が見出した、「凡事徹底する秘策」ともいえそうです。

指導する側として頭の片隅に置いておきたい教えでした。


④ 教え方のバリエーション

次は、2019年に履正社高校を率いて優勝した、岡田龍生監督(現・東洋大姫路高校監督)のエピソードです。

この岡田監督、実は不祥事による謹慎処分を受けています。

全員の前で、叱り飛ばすことで、ほかの選手は『おれはあんなことになりたくない』と思うのが人間の心理ですよね。それによって、緊張感を持って練習ができる。でもこれは、”恐怖政治”と同じこと。抑止力を働かせていた感じです

『甲子園優勝監督の失敗学』P.208

自らの失敗、特に語りづらい謹慎についての話には、言葉に力があるように感じました。

では、なぜ岡田監督が暴力に走ってしまったか。
それは自分がそういう指導を受けていたから。

高校3年間の指導を、「アメとムチではなく、ムチ100パーセント」と語る岡田監督。とてもわかりやすい表現だ。指導者から褒められた記憶がない。

『甲子園優勝監督の失敗学』P.213

グラウンドを離れ、冷静になって考えたときに、思ったことがあった。
「イヤだと思っていた教えなのに、指導者になった今、同じことをやっている」
立場が変われば、人が変わる……とは、よく言ったもので、「監督」という肩書きが付いたとき、その引き出しにあった指導法は、東洋大姫路で受けた教えだった。
(中略)
「気付いたら、高校時代に受けたことを肯定するようになっていたんです」
深い一言だった。

『甲子園優勝監督の失敗学』P.215-216

自分の受けてきた指導にルーツがあったわけです。

個人的に、
「気付いたら、高校時代に受けたことを肯定するようになっていたんです」
という言葉が、ものすごく刺さりました。

自分が指導する立場になると、
その教え方のバリエーションは、どうしても自分が受けてきた教育に近くなってしまう

だからこそ、教育する立場になった際には、教育する側の知識やスキルを学ぶ必要があるのだと考えました。


⑤ 「何を言うかよりも誰が言うか」

最後、5つ目の教えは、前述で紹介した荒井監督の言葉です。

個人的に一番刺さった部分、
というより、共感した部分です。

荒井監督は、選手と野球ノートでやりとりしているそうで、そのノートは全部手書きだそう。

なぜ手書きにこだわるのかについてのインタビュー記事です。

「心を込めて書いています。そうやって少しずつ、生徒との信頼関係を作っていく。だから、ぼくのやり方は時間がかかるんですよね。土台をじわじわ大きくして、根っこを張っていく感じです
大切にしているのは、「何を言うかよりも誰が言うか」。信頼関係がなければ、どんなに素晴らしいことを言っても、選手の心には響かない。

『甲子園優勝監督の失敗学』P.184

”大切にしているのは、「何を言うかよりも誰が言うか」”

この文章から、育成に対するそもそもの姿勢を学んだ気がします。

時間はかかるが、着実に信頼関係を構築していく。
信頼関係を作った上で、必要な言葉を投げかける。

この情報化社会、調べればどんな情報でもすぐにアクセスできます。
正しい情報も、インターネットで調べればすぐに出てくる。

しかし、行動を起こすとなったら話は変わる。

インターネットの情報よりも、信頼している人の言葉の方が、響きやすく行動に移しやすいのではないでしょうか?

だからこそ、「何を言うかよりも誰が言うか」が重要なのだと、僕は考えました。


社内でも”失敗”を深掘りする施策が…

この記事を書いていて、
「自分も失敗について深掘りしたような…」
なんて既視感を感じていました。

そんな既視感を感じながら、人財の業務で社内のワークショップに携わっていたところ…


なんと、社内のワークショップに『失敗体験の研究』というカリキュラムがあるではありませんか!


仙台育英の須江監督は、
「失敗から学ばないといけないんです」
と語っていましたが、
実はUSEでも、”失敗から学ぶ”ということが仕組み化されていたわけです!


「さすがだ…」


そんなちょっとした感動を覚えたので、最後に記載させていただきました!


ワークショップ受講中の方は、
是非、自分の失敗からたくさんの学びを得て欲しいと思います!


おわりに

今回は、個人的に印象に残っている教えを5つピックアップしていきました。
記事では取り上げられませんでしたが、本書には他にも様々な教えが詰まっていました。(さすが、甲子園優勝という偉業を達成した監督の失敗学…)

この記事を読んで、興味を持った方は、是非手に取って読んでみてください!


以上です!
最後まで読んでいただきありがとうございました~

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