贈り物について

「今欲しいもの何?」

 誕生日が近づくと聞かれるこの質問が私はちょっと苦手。自分の思いを表現した100点満点の答えは

「あなたが私にあげたいものが欲しい」

 そして欲を言えば、どうして、どこで、いつ、これを選んだのか教えて?

 プレゼントをもらって一番嬉しくてわくわくするのは、くれた人がその贈り物を選んでいる時間を想像すること。別に一生懸命悩んで考えろって思ってるわけじゃなくて、仮に慌ててテキトーに選んだ物でも、金欠な中なるべく安く義務的に選んだ物でも、何でも良いからそういう背景を想像するのがとっても好き。

 いただいた物の向こう側に、その人の個性や、私への思い、その瞬間の感情、色々なものが見え隠れして、もらったものが目に入る度にたくさんの景色が見える気がして退屈しない。

 たとえば、22歳の誕生日にもらったアンパンマンのおもちゃ。就活の合間に買ったって言ってたなあ。スーツで赤ちゃん本舗行ったの?絶対新米パパだと思われてたでしょ。そこまでして誕生会で赤ちゃんいじりしたかったのかな。 とか

 たとえば、同じタイミングで会いに来てくれた二人がくれたプレゼントが同じお店のラッピングだったとき。今日一緒に遊んでたんでしょう?二人でどれにしようって、いつも通りふざけながら選んだんじゃない? とか

 たとえば、コンビニ袋に入ったメルティーキスに殴り書きのメッセージ付き。さてはさっき思い出して慌てて買ったな~。でもちょっと高めのチョコレート選んでくれたんだね。 とか

 他人が自分について考えてくれる時間がとってもうれしくて、私にとってプレゼントの意義のすべてはそこにある。幸せな時間を形にして閉じ込めて、想像させてくれて、思い出させてくれるもの。そしてもらってからずっと、見る度にその人と自分のつながりを感じさせてくれる物。だから、何が欲しい?って聞かれてもあんまりわくわくしないんだ。欲しいものをあげたいという気持ちはよく分かるしとっても優しい気持ちで、すっごく嬉しいこと。だけど、わたしはやっぱりその人が私にあげたいものが欲しい。きっと、物が欲しいというより、私のことを考えてくれる時間が欲しいのかも。これ、高価なものをねだるよりもよっぽどわがままな考え方だ。

 こんな風に考えてるから、逆に人に物を送ることもだいすき。人の誕生日が近づくとわくわくが止まらない。毎日その人のことを考える時間があって、何が欲しいかな、これ持ってなさそう、これ似合いそう...って何度も何度も考える。本当に幸せな時間。みんなでお金出し合って買おうってなって、渡すものが決まってるときはテンション下がってしまって結局個別であげてしまう。

 私のプレゼント選びへのこだわりは、”必要ではないけれどあったら嬉しくて、自分ではきっと選ばない物”を選ぶこと。この一点張りで、渡す人の顔を思い浮かべながらお店を何周もぐるぐるする時間が私は大好き。そして、誰かのためにそんな時間を過ごすきっかけになる”贈り物”が大好き!

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