シン・エヴァざっくり感想(わりとネタバレ有)
序文
「シン・エヴァンゲリオン劇場版」公開初日観てきました。
面白かったです。興味ある人は絶対観たほうが良いです。
どう思うか、ってのは人それぞれな作品だろなぁ、それなりに賛否も分かれるだろなぁと思ったけど色んな意味でエヴァ好きは間違いなく今映画館で観たほうが良いです。
正直ちゃんとストーリー理解できたかというと微妙なところなので、
そこはガチ考察勢におまかせするとして、とりあえず備忘録までに鑑賞した上での自分が感じたこと、自分語り的な事を書いときます。
文章は長くなるかもですが考察とかレビューとか大それたもんじゃなくて読解力弱めのアラサーの感想駄文です。
ここでこのキャラがどうなってー、的なストーリーの本筋みたいなのは特に書こうと思わないけど(そこで自分の解釈違ったら嫌だし)、
この作品のメッセージ性的なもの、そこから感じた核心的なものこそが恐らくシン・エヴァの重大なネタバレだと思うので今後観に行く人は以下の文読まないことをお勧めします。推奨:ブラウザバック。
本論前にブリッジ的に
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とりあえず自分とエヴァ
エヴァと自分の出会いは王道に残テからです。
確か中1くらいに新劇「序」が公開されてたと思うんだけどそのタイミングではシリーズ一切観てなくて、中2くらいのニコニコ全盛期で残テの替え歌を友達がネタにしてて、懐メロだと思って敬遠してたけどフル聴いたらいや普通に良い曲じゃねーかって思った記憶。
そっからちょっと時間たって中3くらいで
とりあえずテレビシリーズをDVDでレンタルしたらものの見事にハマって止まらなくなって、
何も考えず「はえーおもしろー」ってカヲル君戦あたりまで観つつ
その後の精神世界のくだり(特に25,26話)、おめでとう連発で
「???」となりつつ、
旧劇「Air/まごころを、君に」で
Airらへんでは「なるほどそうだよね、あれで終わりとか意味分かんないよね、うわなんか本拠地襲撃されてクライマックスっぽくなってきたそうそうこれこれ!!!」からの
ラスト30分で再び「???????」→終劇 で困惑したままゲオにDVD返した記憶。
そして序がその時レンタル開始になってたのでそれも観て
「ああなるほど、あれをやり直すのが新劇なんだな」と思った次第。
そこからちょい時間経ち高校生になって「いや結局あれ(最終回と旧劇)何だったんや」ってなって色々考察サイト(ヤフートップに来るようなやつから全面真っ黒の超怪しいサイトまで色々)観つつ
結果的には「人と人が分かり合う」ことについての話だったんだなぁ、と。(ここらへんの感想は割愛)
で今大人になって改めて見ると
「結局エヴァって碇ユイとかいう天然危険思想のヲタサーの姫に狂わされた人達の色々残念だけど面白いドラマ」だよな、っていう穿った感想も持つように。
今回の新劇については、
序→ 原作準拠だけどまとまってて面白い
破→ 原作プラスαでシンジ君がイケメンでまさに旧エヴァを打破する勢いの傑作
Q→ 「???????」(旧劇とは違う方向で)
いやうん。ある程度大人になったから話の流れ自体はおおよそ分かるのよ。ただキャラの行動原理がそうはならんやろの連発なのよ。
宇多田ヒカルもエンドロールで「まだ何も伝えてない」言うてるよ。
シンジ君可哀そう過ぎんのよ。中小企業からキャリアアップで第二新卒がブラックベンチャー企業に入ってしまった的なムーヴしてんのよ。
そして10年。長ぇ。
厳密に言うとその間に漫画版完結したタイミングで一気読みしたんだけどこっちはマジで良かった。
テレビシリーズからトゥルーエンドを辿ったような形で、話の整合性も取れてるし終わり方も爽やかだし、
でも旧劇の大事なエッセンスも盛り込まれてる完璧な終わりだった。
いやこれをそのままアニメでやれば良かっただけの話なのよ…
(エヴァって分かりにくさでコンテンツ持たしてた所あるからここまで語り継がれる作品になってたかは定かじゃないけど)
でもQムーヴしてしまったからには漫画版ルートは行けないだろうしなぁ、どう締めるんやこれ、
そんな感じで続報が出る度一抹の不安も感じつつ、
「でもまぁ好きだし新作出りゃ見ますよ」的なにわかファンの視点です。
そして今日を迎え予めネット予約してた劇場へ。
自分と同じアラサー世代とそれより上の人生の諸先輩方でスクリーンが埋め尽くされていました。
絶対これ某鬼さんの映画とは客層違うんだろなぁ。観てないけど。
そんな自分の
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感想(ネタバレ含)
放心。
観終わった後はしばらく頭がぼーっとしてた。
多分周りの観客もぼーっとしてた。
結論から言うと、
・色々ありつつも最終的にハッピーエンドです!
・「Q」のモヤモヤは概ね回収されます!
(ちょっと説明過剰すぎるくらいに)
・上映時間の長さはそこまで気になりません!
・トータルでは好み分かれるかもだけど、個人的に瞬間風速では「破」を超えた瞬間が多かったです!(3回くらいガチ泣きした)
・アニメ・旧劇、漫画版とも異なる完全な新エンドだけど、
テーマ的には7割くらい旧劇と同じ(に感じた)です!
・エヴァファンで迷ってる人はとりあえず見に行って損はしません!
・なぜなら、ちゃんと「エヴァ」が終わります!
………てな感じでしょうか。ざっくりと。
ストーリー自体はふわっとさせつつ順に細かく書いてくと、
まず「Q」の負債はほぼ回収されます。
作品としての「Q」は置いといて、「Q」の内容はまぁとりあえず帳消しにしても良いかな展開になるので(一応伏線、ブリッジの機能にもなってるし)そこの不満点は解消されるかと。
(ならQの時のキャラのムーヴもうちょいあったやろってのは置いといて)
上映時間160分て、
エンドゲームかよ、ロードオブザリングかよって大半の方が思っただろうけど、意外と体感そんなに感じさせません。
後半の独白部分は構造的にテンポダウンしちゃうので、そこにダラっとしたり重みを感じる人はいるかもだけど。
ちゃんと3時間近く興味の持続性が担保できる作りにはなってます。
問題は尿意です。ちゃんとトイレ行っときましょう。
自分は長男だから耐えられたのかもしれません。
あ、音楽すごい良かったです。
現代版解釈エヴァミュージックって感じでした。
ただ今までのエヴァとは音楽の使い方が違って、
かなりスタイリッシュな感じになってます。
いわゆる古典的エヴァのオールドスタイル「デン!デン!デン!デン!デンデン!」の連発を期待してると裏切られます。
サントラ欲しい。
本作をものすごいざっくりとした印象で書くと、
3ブロックに分けるとするなら
1,TVシリーズ的ウジウジシンジ君展開~その他キャラ日常
2,「破」的熱血展開
3,旧劇、アニメ版的精神世界でのやり取り
みたいな感じです。
厳密に言うと序盤で前作同様にアバンで一バトルかましてからだけど。
自分は上記の1,2で何回かボロ泣きしました。
シンジ君が優しくされるシーンとあの子が雲散霧消しちゃうシーンとあのキャラの妹が銃を向けるシーンです。
正直、上記1,2だけを抽出すると結構「破」のノリに近くて、
かなりエモーショナルに新規ストーリーで王道をやってて、
「これは破超えましたわ……間違いなく最高傑作ですわ……」と感極まりながら見てた2時間近く。
ただ、これをどう幕を引くのかと不安に思っていたのも事実。
自分的にはこのままラスボス(言うまでもないアイツ)と熱くラストバトルして補完計画ぶっ壊して漫画版に近いENDになってくれ…!!
と思いつつ、簡単にそうはいかないのがエヴァンゲリオン。
アニメ版よろしく、最後の闘いを単に激しく描くのではなく
タイマンバトルのち、電車での独白シーンに。
正直うわうわってヒヤヒヤしてたのも事実なんだけど、
ただ今回の精神世界はいわゆる旧エンドに見られてた自己啓発的な物ではなく、ある種のカウンセリングに近かった。
シンジと各キャラが対話し、それぞれに決着をつけていく。
ゲンドウの独白。感情の吐露。
ここでこの物語の主人公はシンジでもあり、同時にゲンドウの物語でもあったのだと。
「さようなら、すべてのエヴァンゲリオン。」
これは単なる新劇のストーリーの終焉ではなく、
TVシリーズ、旧劇を含めた全ての「エヴァ」にケリを着ける描写が過去のシーンや場所で行われる親子喧嘩、
そしてメタ的な映像や実写のシーンによって描かれている。
こうして、「エヴァ」は文字通り終わった。
文字通りエヴァの無い世界から、実写へ。
実写というか、自分達が過ごす現実へ。
あぁ、これは庵野監督の作品なんだなぁと改めて思った。
庵野監督は「新劇」「シンエヴァ」というより
「エヴァンゲリオン」というコンテンツ自体に自身で幕を引きたかったんだろうなぁと。そういう意味だとこのラストは必然だし、
誠実な作りではある。
これがエヴァ、ひいてはアニメーション作品のラストと考えるとどうかという点で賛否は多少分かれるだろうなぁ、と思いつつ
監督のエゴイズムだけに終始するのではなくて、「人」に寄り添う描写が多く、そこまで不快には感じなかったのと、
単純に話として、映画として面白かった。
自分が見たかった結末だったかというとそれはまた違うのかもだけど、「エヴァの終わり」という点でものすごい合点がいったし、
心から見て良かった作品だと思った。
ここから色々言いたいこととかよう分からん不明点、印象に残った細かい所を。
・旧約か新約か知らんけどミサトさん終始戦闘中聖典用語のオンパレード
・結局マリは何で破の時点からあの年齢で登場したのか
・Qであの村が存在することくらい説明してあげてもよかったじゃん(憤怒)
・ネオンジェネシス(迫真)
・シンクロ率∞はちょっとやりすぎかも。ジャンプ臭。
・マイナス宇宙?シンウルトラマンの伏線?
・渚司令!?……渚司令って何?
・思いの外すんなりサイクロプスゲンドウ言いくるめられたな、なんやお前そのかまってちゃん
・そもそもカヲル君は何がしたかったのか、ループしてるんだよね?今までの旧エンドは並行世界なのか、今回の帰結は多元世界なのか
・レイ×カヲルの最後の謎カプ
(ケンスケはいいやつだからまぁ許す、ただいつ手籠めたんや)
・ラストで宇多田じゃなくてRADがバラード歌ってても違和感ないまさかの君の名はエンド
あとラストシーンをあの形にするなら、
もうちょっとマリの出自を破とQで描いた方がよかった気がするなぁ、
一応漫画版では何者かの謎は一足先に解けてて、
今回のシンエヴァでもラストのゲンドウの独白で描かれてるけど、
「プロフィール」としての説明はされてるけど、「パーソナル」な視点や
「シンジとマリ」の関係性という点ではいまいち描写不足だなぁ、と。
やっぱりもうちょっとQは描写すべきだったと思う。
マリ自体の補完計画(ストーリー的な)といつの間にか起こってたサードインパクトについて、
もう一個要るだろ、スターウォーズでいうローグワン的なのもう一作品要るだろとは思いましたね。
でも最初は正直腑に落ちなかったけど、
監督のwikiとか色々調べると納得はいったのね。
レイ→母への回帰
アスカ→時間が経ってしまったことによる擦れ違いからの別離
となると健全な話の流れでマリに行き着くのは納得いくし、
考察でマリ=安野モヨコ(監督の妻)って書いてたのも腑に落ちる点があったので(ここらへん気になる方は各自調べてみて)。
そして、自分がこの作品で一番重く受け取ったのは
いわゆる旧劇が良く言われてるオタク批判として、
「お前らアニメばっかに逃げてないで現実見ろ」的なメッセージだとすると、
このシンエヴァは対比として、
「社会の中で働きなさい。仕事と得た報酬で生きがいを感じなさい。」
「人を愛しなさい。人と向き合って関わることで未来は開けるのです。」
的なド正論のメッセージに感じたのよね。
ただ、それがあの(シンジとマリの関係がいまいち掴めなかった)ラストを踏まえると、
穿った見方をすると庵野監督が理解のある素敵な妻をゲットして幸せになりました。世界は美しいです。皆さんも頑張りましょう的な
ちょっと説教臭い庵野監督の私小説に感じてもにょるとこもあるのよね。
ここが自分の一番この作品で評価が分かれる点だなと思ったとこ。
まぁ言うてメッセージはさっきも言った通りド正論なのだけど、
アニメ→実写への露骨な切り替えという構成もそうだし、
根本的に言ってることは旧劇と大差ない感じしたのよね。
旧劇から棘を抜き現代に即した形で表現をアップデートさせ、かつ映画自体のストーリーに整合性を持たせ観客に飲み込ませやすくするという形で。
そういう意味で何だかんだ本質は旧劇と同じところにあるし、
それ自体はいいのだけど、
だからこそせめてシンジとマリが本気で心が通じ合う描写をエヴァ世界でもう少し見せて欲しかったなぁと。
それがないと最後のシーンが「シン:庵野秀明」としか受け取りにくいというか。
(それがもしかしたら狙いなのかもだけど、最後に地元映してるし)
ものすごい個人的な話すると
「転職先を適応障害で辞めてなんか彼女にも逃げられ絶賛傷病手当金でうつ治療中なう」の自分が観るには今の段階ではちょいとチクチク映画だったかなぁ、とも。
いや、色々書いたけどめちゃ面白かったですよ。
評価にするなら80点は堅い出来だったと思います。
よくQのあそこからここに辿り着いてくれたという意味ではホントに感謝しかない作品です。ありがとうで拍手したい。
あ、パンフめっちゃ出来が良いので
本編観て良いと思った人は見て損ないです。売り切れる前に是非。
とりあえずこれから鑑賞する皆様に一つ。
何はともあれエヴァがちゃんと終わって良かったです。
でも色々考察とか諸々見て咀嚼してから物語もっかい劇場で見たいのでエヴァの呪縛から結局逃れられてない説。
多分Blu-rayも買うぞ。
(とりあえず一旦)さよなら、エヴァンゲリオン。
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