自衛隊という組織

 自衛隊という組織に12年程在籍していたわけであるが、なにも「自衛隊」という一枚板ではなく、様々な職種や部署がある。

https://ja.wikipedia.org/wiki/陸上自衛隊
細部はwikiでも見て頂ければよい。

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(写真:陸上自衛隊HPから引用)

 私が所属していたのは、まさに写真のようなことをする普通科である。一口に普通科といってもその内実は事細かく、みんながみんな、「ほ匐前進」前進をしている訳ではない(笑)
 小火器射撃と運動をもって敵に緊迫して、戦場における最終の決をキメる軽火器、敵の機甲戦力(戦車とか)を粉砕する対戦(車)、少し後方から射撃支援をする迫撃砲、その他、情報収集に特化した部署や、補給、通信、整備etc.....と事細かに部署があり、大きな会社のような風体である。

 上記のような「会社」は各地にいくつもあり、「普通科連隊」といって所属人員 数百名~千名という それなりの大所帯である。
 会社に部門、支社、部、課、係というような会社組織があるように、自衛隊も例外ではない。(wiki参照)

 方面隊→師団→連隊→中隊→小隊→分隊 といったような感じである。
 私のようなペーゴロ(下っ端)は連隊(中隊)勤務までしか経験していない。であるが、一番楽しいのも中隊勤務であろう。というのも、実際現場で戦闘をする中隊の上級部隊である連隊や師団(さらに上)での勤務は、見ている限り悲惨な実態で(部署にもよるが)、「血尿を出してからが本番」と爽やかに語る方々がいる程の激務である。
 まあ、私のような無能はやっとこさ幹部(別になりたかったわけではない)になった程度の「やっとこ幹部」だったので、辞めなくてもそんな所に配属される事はなかったろう。
 自衛隊においても「働き方改革」が言われ始めて久しいが、関連するマニュアルや文書・資料を見ていると、多大な時間を使い、神経をすり減らし、上司から図板を投げつけられ「不認可」「不許可」などと怒鳴られなかなか決済を頂けず、職場に寝泊まりする上級部隊の方々の情景が目に浮かんで何とも言えない気持ちになったものである。

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(写真:陸上自衛隊HPより引用) 
さて、一番楽しいのは中隊と書いた。中隊は家族である。同時におっさんの集合体である。全員の名前を覚える限界の単位ともいえる。ここでの勤務を「楽しい」と思えない人は自衛隊に完全に向いていないので即刻辞めるか、違う少人数の部署に行った方が良いだろう。
 数年すると楽しくなったりするので是非踏ん張って欲しい気もするが・・・
 連隊には中隊がいくつかあり、大体がライバルである。内輪もめしても仕方がないのだが、平素において団結力の涵養や敵愾心の向上というのは体系的な訓練では如何ともしがたい側面があるのも確かであり、手っ取り早く盛り上がれるのが「競技会」と称した運動会である。
 射撃、持続走、武道、炊事etc 様々な競技会をする。貴重な実戦の場である。妥協は許されない。競技会偏重主義も如何なものかと思うが、適度な強度であれば部隊の練度維持向上につながり、刺激にもなり、かつガス抜きになりwinwinである。ちなみに自分は競技会嫌いでした。でした。

 さてダラダラと何でもない事を書いてきたが、「組織」というのはそれぞれ官公庁にしろ企業にしろ、組織が組織たるをどの様に考えているか、どのように有機的に活用しようとしているかの証左であろう。
 自衛隊という組織は、今そこにある危機に対応しようと組織(部隊)改編を大々的に実施中である。陸海空合わせて約24.5万人という巨大組織が、大規模に変わるというのは並大抵のことではないことは想像に難くなかろう。
 
 「組織」に必要なものとはいったい何であろうか。「団結」「規律」「士気」とまあ暑苦しいワードが思い浮かぶ。私は「規律」が一番重要であると感じる。
 自衛隊を辞めて2年程経つが、自衛隊を懐かしく思う気持ちの根底は「規律」への渇望である。あんなに煩わしく感じた「規律」に渇望するというのも皮肉な話だ。規律なき組織はただの烏合の衆である。ましてや土建屋のような現場仕事で利益を上げねばならぬ組織ではなおさらである。
 自衛隊と土建屋は案外に通ずる所があるのかもしれない。いわば私は、究極の規律を体験してきたので、色々改変したり工夫したりして会社を染めるのも面白いかもしれない。

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