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カリーヴルスト①【Vの庭先で肉食を】

>プロローグ

「アリサカ、お客さん」
「入ってもらって~」
客=鼻と口をハンカチで覆ったインテリ士官は、心底嫌そうに天幕の入り口をくぐる。
「やあやあスチェッキン!ご用件は?」

「ご機嫌ですね」
「ご機嫌だよお!前の仕事良かったもん!美味しかった!」
「ああ、そうですか」
心底嬉しそうに語るアリサカに、スチェッキンは眉間の皺を深くする。
「で、今日のお仕事は?牛?豚?たまには羊もいいなあ」
「人です」
「はい解散」
間髪入れず立ち上がろうとするアリサカを、スチェッキンの視線が押さえつける。
結局アリサカは腰を下ろした。
「人狩りなんかうちじゃなくていいじゃーん…」
「狩りではありません。ヴィ連への亡命希望者の確保と護送をお願いしたい」
「?そんなのいつもどおり情報部のスパイか子飼いの地下組織にやらせれば?」
「やらせました。そして失敗しました」
スチェッキンは苦々しく語り、出された珈琲を啜って感情を押し流す。
「チームは壊滅。目標は当局が確保」
「だっさ。それでうちになんとかしろって?…あれ?てことは」
「ええ、うちの手引きでD国に潜入して頂きます」
ガタン!立ち上がるアリサカ。倒れる椅子。
「…ヴルスト!」
「……詳細は」
「はっ、カリー…ヴルスト…!?」
「………詳細はこちらの」
「全員集合―!!」
「…………」
なんだなんだと入り口から除く部下の顔を確認し、アリサカは高らかに宣言する。
「次のメニューはカリーヴルスト!」

>カリーヴルスト②>カリーヴルスト③

#Vの庭先で肉食を #逆噴射プラクティス #小説 #カリーヴルスト

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