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#47 「ロールモデル」は全て過去のもの

人はキャリア選択などに迷ったとき、
「自分と似た境遇の人がいないだろうか?」
「尊敬するあの人はどう選んだんだろう?」
と、ロールモデル探しを始めます。

様々な選択肢を検討できたり、自分への自信にも繋がるので、問題解決には一定の有効性がある一方で、
普段僕がカウンセリングをしていると、
「特定のロールモデルに縛られすぎている人」が意外に多いことに驚かされます。

それっていつの時代のロールモデル?

特に多いのが、親や職場の上司、学校の先生の意見を盲信する人です。

世の中には、昔の成功体験を元に、「こうすべき!」という古いアドバイスを、あたかも正解のように語る、独りよがりな“人生の先輩”がいます。

今、働き方や経済の変化スピードはどんどん増しており、一昔前は正解(と思われていた)の選択肢には疑問符がつき、時代と共に新たな道が拓かれている可能性が十分にあります。

たとえば、尊敬する人が数十年前に有名な〇〇大学に入っていたとして、
今の時代においても同じ選択をするか?は全くの別問題。

・学歴社会の崩壊が目に見えている今、大学には当然行かないかもしれないし、
・低成長の日本から飛び出し、経済成長を続ける中国やインドに拠点を移すかもしれないし、
・SNSで知り合った起業家のお手伝いを業務委託で始めるかもしれないし、
・低い金利で少しばかり借金をして、海外放浪で各国の文化・生き方を学ぶ旅に出るかもしれない。

ロールモデルは先人達の轍である以上、全ては過去のものでしかありません。
どういう時代背景だったのか?を必ず踏まえて検討する必要があります。

方向転換の舵取りが気軽にできるか?

ロールモデルに沿って生きていくのは、自分の頭で考える必要がないので、ある種のラクさがありますよね。

その一方で、
歩んできたレールから外れることへの抵抗感が生まれてしまう危険性もあります。

自分の勤める会社が傾いていたとしても、
「まあ大企業だし、まさか潰れることはないだろう。」と感じてしまい、
早めに見切りをつける踏み出しが鈍くなってしまいます。

また、おもしろそうな仕事が目の前に来たときに、「でも描いていたキャリアと違うしな…」という理由で判断が鈍り、自分の世界を広げるチャンスを逃す可能性もあります。
これは非常にもったいないことです。

変化前提&つまみ食いのロールモデルへ

人生100年時代には、一度「この道を目指そう!」と決めたとしても、「やっぱりこっちがおもしろそう!」と、方向転換する力が求められています。
全てのキャリア選択は暫定的という前提が必要なのです。

また、日本が順調に経済成長をし、画一的なキャリアパスが存在していた時代は、
「この人を目標にする!」といった個人に焦点を当てたロールモデル設定が有効でしたが、

現在では、「この人のこの働き方は参考になるな」「この人のこの行動を真似てみよう」と、
多くの人の良さをつまみ食いし、自分を作り上げるロールモデル設定がフィットしています。

「特定の誰か」を目指してしまうと、自分の欠点や足りない部分を見つめ続けることになります。

1人ひとりの強みや特性はバラバラだという割り切りがなければ、歪んだ比較により自信を失うことにも繋がります。
その点からも、完璧に自分に合ったロールモデルを見つけることは不可能なのです。

「この人みたいになりたい」、「この人に倣おう」という気持ちは、心を前向きにさせ、目指す道標を与えてくれますが、
「本当にそれでいいんだっけ?」と、自分に問いかけ、適切なタイミングでピボットする習慣を大切にしていきましょう。

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