うるぽろのショートショート2日目:鏡
鏡
9月のある日、加奈子は同棲中の翔太から
『3』
『ヨ』
とだけ書かれたメモを受け取った。
「何これ?こんな忙しい時にふざけないでよね。」
イライラしながら翔太を軽くあしらい、再度デスクに向かってキーボードをカタカタと打ち始めた。
加奈子が毎日更新しているグルメブログは、5年前に2人が同棲を始めた頃に趣味程度で始めたものだ。
当時は家賃さえも翔太におんぶに抱っこだったのが、ここ1年でブログが人気となり、加奈子の年収は一般サラリーマンの倍ほどになっていた。
そのメモを受け取った日を境に、翔太は姿を消してしまった。
そして翔太がいなくなってから9日。
加奈子は心配でいてもたってもいられず、ついに探しにいくことにした。
「一体、どこに行ったのよ…」
彼の会社の家の前についた時、ふと彼との過去の会話を思い出す。
以前、翔太は
「もし僕に何かあったら、その時はこれをお守りにしてね」と話していた。
渡されたのは、長方形をした鏡だった。
その言葉を思い出した加奈子は、あのメモが特別な意味を持つことにやっと気づく。
『3』
『ヨ』
そして鏡。
恐る恐る翔太から受け取った鏡をポーチから出し、文字に当てる。
加奈子はようやく理解した。
「…8日…!」
鏡に映った文字は、翔太が8日にプロポーズしようとしていたメッセージだった。
しかし、彼女がそのメッセージに気づかないまま、翔太は去ってしまったのだ。
今日はもう、9月9日。
電話は繋がらない。
彼の大切さに気づいたのが、あまりにも遅すぎた。
作品解説
目の前のことに集中しすぎて、大切な人との時間を疎かにしてしまった女性の話です。
うーん、私も気をつけよう…。
さてさて。
こちらの話は鏡を使ったギミックで、どう話を作ろうかとすごく悩みました。
そういえば小さい頃、鏡に文字や絵を映して遊んでいたなぁと思い出して、左右対称になる漢字・カタカナ・ひらがな・英数字などを探しました。
…ですがこれが意外と、鏡に映したときに分かりやすく、さらに意味のある文章になるものがなく苦戦しました。
3→8
ヨ→日
コ→口
あとは漢数字の一、二、三、六、八、十くらい?
トリックを考えるのに時間がかかりすぎてストーリーを考える時間がなくなったので、今回は大まかなあらすじをチャットGPTに入れて、大筋のストーリーを作ってもらいました。
いい感じの叩き台が出来たので、そこから加筆修正を加えて完成しました!
うーん、すごい時代だ…っていうかむしろ次回もこのスタイルでいいかもしれない(笑)
こんな感じで引き続き、文章+イラストの練習をしていきたいと思います〜。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?