SNSバズりかた講座
「皆さんこんにちは。司会のアナウンサー、宇崎千里(うざきちさと)です。今週もご一緒にSNSでバズる方法を学んでいきましょう。講師はおなじみ、学殖大学教授の早乙女舐太郎(さおとめなめたろう)さんです。先生、よろしくお願いします」
「よろしくお願いします」
「早速ですが先生、今回のテーマは?」
「はい、今回のテーマはヤフーニュースでのバズりかたです」
「ヤフーニュース、ですか」
「はい、ヤフーニュースのコメント欄で大量のグッドを集める方法を学んでいきましょう」
「先生、私もときどきヤフーニュースでコメントを書き込みますけど、全然バズりません」
「そうですね。バズるコメントを書き込むにはまず、バズりやすいニュースを見極める必要があるんです」
「バズりやすいニュース、ですか」
「はい、まずはバズりやすいニュースのトピックを覚えておきましょう。こちらのフリップをご覧ください」
「犯罪や日本語に関するニュース、がバズりやすいんですね」
「そうなんです。ヤフコメ民の大半は中高年で、無能で怠惰なため何の努力もしないまま無駄に年だけを重ねてきた愚劣な低能ばかりです。そんな彼らのちっぽけなプライドの拠り所は、日本人であること、過去に大きな悪事を働いた経験がないこと、この二点だけなんです」
「犯罪に手を染めたことのない清廉潔白な人たちだから、犯罪関連のニュースに反応しやすい?」
「いえ、ヤフコメに巣食う愚民どもは決して清廉潔白などではありません。重大な犯罪に手を染めやすい環境に、たまたま運良く無縁なだけです。軽犯罪や、犯罪まではいかなくても迷惑行為をしたことくらいあるに決まっています。にもかかわらず、あたかも自分が聖人君子であるかのようにふるまい犯罪者を断罪する。他人に厳しく自分には激甘な、恐ろしいほどに下劣なクソどもなんです」
「なるほど。怠惰で無能な中高年の方々が、ご自身のしょぼい人生を肯定するために、何の努力もせずにマウンティングできる獲物を狙って群がる、というわけですね」
「そうなんです。ではここで具体的に、先ほどのトピックに関連して、どのようなコメントを書き込めばクソバカどもの共感を得られるか、見ていきましょう。こちらのフリップです」
「先生、私まさに、この悪い例のような書き込みをしたことがあります。全然グッドをもらえませんでした」
「そうですね。そのような書き込みでは、学歴コンプレックスを抱えた連中から共感を得ることはできません。学校の勉強を頑張ることは悪である、というように、無知蒙昧な下層民どもの自尊心をくすぐる一言を発すると効果的です」
「なるほど」
「では、引き続きトピック別にコメントの例を見ていきましょう」
「だんだんわかってきましたよ。先生、ここでもやはり、頭の不自由な中高年の方々を喜ばせるようなコメントがウケる、というわけですね」
「そうなんです。警察庁が発行している統計資料によれば、日本社会における犯罪率は、多少の波はあるにせよ、おおむね年々減っています。これは若者が高学歴化し、民度が上がっていることの何よりの証拠です。ですが、こういった客観的事実は中高年愚民にとって受け入れがたいものですから、絶対に指摘してはいけません」
「昔は良かった、今の若い奴はダメだ、というようなコメントを書き込めばいいんですね」
「そうですね」
「それにしてもおかしいのは、こういった方々が好んで行う、いわゆる『ゆとり世代』への批判です。ご自身は勉強を怠けてきたから低学歴なのに、どうしてゆとり世代をバカにできるんでしょう。そもそも、学校や学問の価値を否定しておきながら、単に学習指導要領が変わったくらいで子供の知力、さらには人間性までもがダメになると言うなんて、理屈に合わないように思うんですが」
「そのとおりです。あまりにも低能すぎて自分が何を言っているのかすら理解できないんでしょう」
「なるほど」
「では、次の例を見てみましょう」
「わかりました。先ほど先生がおっしゃったように、過去に大きな悪事を働いた経験のないことだけが取り柄の方々を喜ばせるような、そんな書き込みをすればいいんですね」
「そのとおりです。さらに、そういうアホどもはテレビか漫画が主な情報源なので、たとえば『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の登場人物である両津勘吉のセリフを引用し、過去に悪いことをして改心した人よりも悪いことをしない人のほうが偉い、というような、愚にもつかない綺麗事を書き込めばバズること間違いなしです」
「たまたま運良く凶悪犯罪に手を染めなかっただけの方々を、自分は高潔で努力家だから罪を犯さなかったんだ、という気分にさせてあげればいいわけですね」
「そういうことですね。では、最後の例を見てみましょう」
「宇崎さん、先ほどまでに見てきたバズりやすいコメント例とこの例との共通点、わかりますか?」
「はい、今の若者はダメだ、という点ですね」
「そうですね。無能で怠惰な中高年愚民でも、労せず若者にマウンティングできるのが日本語力に関してなんです」
「でも先生、ヤフコメの中高年愚民の皆さんの書き込みを拝見する限り、あまり日本語力が高くない方もいらっしゃるようですが」
「そうですね。バカどもは自分の慣れ親しんでいる日本語が絶対的に正しい、と信じて疑いません。たとえば彼らは『全然』の後には『ない』をつけないとダメだ、などとほざきますが、そんなルールは明治時代にはありませんでした。夏目漱石や芥川龍之介なども、肯定文で『全然』を用いています。自分が絶対に正しい、という妄想にとりつかれていれば、自分とは異なる言葉遣いをする人を一方的に貶めることができてしまうんですね」
「『正しい日本語』という妄想を膨らませる、そのお手伝いをしてあげればバズるというわけですね」
「そうですね。では、今週のまとめです」
「視聴者の皆さんもぜひ、今回教わったことを実践してヤフコメでバズりまくってくださいね。先生、ありがとうございました」
「ありがとうございました」
「次回の『SNSバズりかた講座』では、noteでのバズりかたをテーマにお送りいたします。それではまた来週、お会いしましょう」
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