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【作品】Stormer snowfox

レゴブロックは、触れるものの創造性を引き出す素晴らしい玩具だ。
部品の一つ一つは具体性を排除した抽象的な形状をとり、創作者たちのアイデアの具現化のノイズにならない―――。

しかし、バイオニクル、ヒーローファクトリーをはじめとしたアクションフィギュアライン・オブ・レゴにはそんな抽象性をかなぐり捨て、圧倒的な存在感を放つ部品が数多く存在する。
今回紹介する作品の中核をなすパーツ、ストーマー(7164)のマスクパーツもその一つだ。


今回のご紹介はぼくの代表作でもある、「Stormer snowfox
かなり昔の作品だが、二度の完成を迎えて尚、改修を繰り返して投稿から日が経った今でも微調整を繰り返している愛着ある一作となっている。

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現在はマイナーチェンジをしているが、ある時点での完成形がこちら。
単体部品としては驚異的ともいえる王道的かっこよさのストーマーヘッドをそのまま頭部に据え、スパイスとしてチーマシリーズの爪パーツをアンテナやセンサーのイメージで配置した。
作品名のsnowfoxはこれが耳のように見えるところから付けたが、海外の方からのコメントでたまにバットマンと言われる。

今見ると関節の安定性がどうしても足りない部分であったり、背面をはじめとしてやっつけ仕事が顕在化している部分もあったりと改善点も多くあるが、組み方を考える、という作業に人生で最も取り組んだ作品と言って間違いがない。製作記を交えつつ苦難の道のりを振り返りたい。

この作品以前は関節における渋みの概念があまりなく、組み込む技術の低さゆえではあるのだがシリンダーは「かっこわるいもの」という印象が自分の中にあった。
実際、タイタンクラスの製品に使われるシリンダーはいわばつっかえ棒であり、太ももとかかとを直結する一直線の棒はかなり不格好なものだった。
くわえて、当時は作品の密度を上げることにお熱で、パーツの合わせもたいして考えずに隙間を見つけてはシステム(いわゆる普通のレゴ)の部品を詰め込んでいくことに必死だった。
そのゴリ押し具合はインターネットのお兄さんに初めて会った時、

「T字バーずるいわあ」

と言われる始末であった。たしかに・・・。
その後、彼がバイオニクルのオフ会に参加し、関節の強化、ならびにシリンダーの活用なる舶来の技術をもたらしたことで状況は一変した。

そうしてシリンダーを組み込む、というのが自分の作品製作の軸に据えられることになったのだが、これがなかなか難しい。
それまで作っていた作品のスケールに対して部品そのもののサイズが大きかったこと、カラーバリエーションがなかったことによるデザイン的な制約が理由だ。

先に述べた問題により、結果として作品の大型化や、隠したり溶け込ませたりして調和を図っていくことが要求された。上ツイートはかつてのテクニック製品で多用されたテクニックパネルの穴にシリンダーを通すことで存在感を消そうと苦心していたころのものである。
この穴はテクニックのホースパーツを公式で通していたり、なかなか見どころのある部位である。現在の製品にはない三次元的な形状が魅力的だ。
ただし、ペグ接続部と穴の位置関係がやや微妙でツイートのような接続には半プレートずらして配置する調整が必要となった。

製作は進み、脚部にもシリンダーを内蔵している。大腿部前面には膝関節を強化する目的で、内腿~尻部には股関節の強化を狙って導入した。後者は一端が大腿側の膝関節に直結されており、膝関節の強化も担っている。
前面のシリンダーはこの時点ではあまりきれいに隠れていないし、股関節のシリンダーは今でもあまりきれいに隠れていない。そもそも背中側にシリンダーをまわすのがよくないような気もしている。研究中。

また、太ももの内部フレームとしてノベルティセットのアシモのバックパックパーツが採用されており、剛性の向上に寄与している。
ヴァキのインナーフレームなどの大型部品は確かに小さなリフトアーム等に比べれば使いにくい。しかし、うまく使えれば部品の組み合わせによる分解リスクと噛み合わせのアソビを減らすことができるために遊びやすさ、自立性が格段に向上する便利パーツなのだ。

そしてこのとき新たな問題にも直面している。ヒーローファクトリーシリーズのヘッドパーツが小顔すぎることだ。完成時についていたセンサー(耳)は頭の大型化のために編み出された策だったのだが、急場しのぎのわりにはうまくいったので気に入っているポイントでもある。

耳が付き(今よりちょっと長い)、目標としていたスーパーヒーロー着地のテストをしていたころ。可動域を確保できてにっこり。
この爪パーツには派手な肉抜きがあるが、これが功を奏してマスクの後頭部がこの肉抜きに食い込むような形で噛み合っている。
遊びにくかったのでのちに撤去されるが、背面にもシリンダーを配置した。

思えば肘、膝などは同じリフトアームを用いて構成されている。一部で1/4円と呼ばれるこのパーツは厚みのある関節部の製作において非常に大きな力を発揮する。特に膝の二重関節はこのパーツによって関節同士が2√2ポッチの間隔を持っており、ボール受けが直接接触しないことで四肢の太さと可動範囲の両立に貢献している。必要性のわりに案外供給されないのでパーツ購入をする際はこれを多数保有しているセラーをわざわざ選んだりもする。

そうして迎えた一回目の完成。なぜか色が青になる。いじりすぎて何が正解かわからなくなっていたのだろうなあと今になって思う。

トーア足のボールジョイント部にシリンダーを噛ませるやり方は超省スペースで気持ちいいのでお試しあれ。どなたかの上げていた画像を参考にした気がするのだが忘れてしまった。

完成直前に実況動画を見ていたメタルギアシリーズに登場するメカ、サヘラントロプスの足先にいたく感銘を受けたため、指先にT字バーを追加している。不安定に見えるかもしれないが、踵の先端とT字バーの4点/片足で自立は難なくこなすことができる。関節の強化はうまくいったと言ってもいいだろう。

背面には背骨状のモチーフを取り入れている。自分でもかっこいいと思うのだが動かした際のポロリが非常に多く、ストレスに耐えきれずにその後撤去されることになる。

そして時は経ち・・・。

途中、迷走(このとき、一度部品レベルまで破壊されていた。)。
理由はツイートのとおり。前腕なんかは今につながる組み方がなされているので無駄な期間ではなかったと信じる。
余談だが、これはウィッチドクターの関節にシリンダーを取り入れようとしていたチャレンジの途中で、実はまだあきらめていない。バンパーの保持パーツを使用した胸筋もまたやってみたい。

さらに時は経ち、復活。
作っても作っても気に入らなくて壊す期間が続いたので以前の作品から学ぼうという時期だったと記憶している。温故知新。
モチベーションが下がり気味だったので、手元にたたき台となる立体が欲しかったのだ。
復活にあたって、記録を残していたわけではないので組み方があいまいな部分も多く、腹部は思い出せなかったために空洞になっている。
前腕は迷走期の遺産が流用された。

さらに進展。ここから以前の模倣だけでなく、独自路線に走り始めたことが見て取れる。やはり人は急には進歩しない。既存のものに何かを足していくことでしか成長できないのだ。
特に大腿部前面のシリンダーカバーは、ロボットアームと入手したてだった空気圧パーツのコネクタを使用した接続により大きく改善された。
アーマーのせり出しがなくなり、かつ以前よりも高い被覆率を誇っている。
腹部もおにぎりのゴリ押しにより腹筋的テクスチャを獲得した。
・・・謎の肩アーマーも追加されている。

こうして到達した二回目の完成がこちら。
撮影は例のお兄さんにお願いし、フォトマジックも援護してキャリアハイのインプレッションを獲得した。

お台場のPabで爆買いしたカーブスロープが役立ち、接続穴まるだしの部分を多少覆うことができた。が、こういった体の再表面に出るパーツ(エンドパーツというのだろうか)の選定に関して非常に苦手意識があり、同じ部品を使いがちなのでどうにかうまく扱えるようになりたいところ。

実はこの後にさらなる改修がなされており、脛側の膝関節がさらに渋く調整されている。

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