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水どう・うれしー「還暦ですけど、居場所さがしてます。」ヒラカメラマンの不安と勇気。

水曜どうでしょうディレクター陣と人生を旅する月刊マガジン『Wednesday Style』。この記事では、カメラ担当ディレクター嬉野雅道(うれしー)と、カツセマサヒコ編集長との対談をお届けします。

打ち合わせではマイクを使わないと言っていたのに、いつの間にかマイクを手に持ちフルボリュームで響き渡る藤村さんの声に、楽屋で頭がグワングワンしていたという嬉野さん。

まずはそんな話から、はじまります。

「水どう」の大泉くんは藤村忠寿の照り返し

嬉野:
誰ですか、さっき藤村さんにマイクを渡した人は。

T木:
誰も…渡しては……。

嬉野:
藤村さんマイクいらないでしょう。

カツセさん:
やたらと声が大きい感じで。

会場:(笑)

T木:
藤村D×カツセさん、たいへん盛り上がりました。

嬉野:
盛り上がってましたねぇ。盛り上がってることだけは如実に分かりました。

カツセさん:
聞いてはいらっしゃらなかったんですか?

嬉野:
もう藤村さんの声で頭がグワングワンしちゃって。「勝訴!」とか「大泉洋が!」とかっていうのは断片的には聞こえましたけどね。

会場:(笑)

嬉野:
あの人はもうとにかく「歩くコンテンツ」みたいなところあるじゃないですか。あの人ずっと現場で生でコメンタリー入れてますから。

カツセさん:
ロケのその場で声入れてますもんね。

嬉野:
だからどういうシチュエーションか何かっていうのは、現場を解説しているから編集できるんですよ。それをガイドにして編集している。そんなディレクター、見たことがないですよ。

カツセさん:
そもそも喋るディレクターっていうのを見たことが無いですもんね。

嬉野:
しかもその状況を見てちゃんと喋ってる。大泉洋には頭にくることをどんどん言って怒らせて引き出していく。だから「水曜どうでしょう」の大泉洋っていうのは、藤村忠寿の照り返しみたいなところに生じるものですよね。

カツセさん:
光と影みたいな感じですか。

嬉野:
そうそう。あの人がいるからあの大泉洋が出てくるっていう。

カツセさん:
なるほど。

嬉野:
だから藤村さんをどかしちゃったらあの大泉洋は本人でも出せないのよ。

カツセさん:
やっぱり「どうでしょう」のあのメンバーだから出来ている番組なんですね。

(酔った藤村Dがトイレに行こうと会場を横切る)

カツセさん:
ちょうどいい話のところで。

嬉野:
あれが生でコメンタリーをつける人ですよ。

T木:
現場でナレーションしちゃう人ですね。

嬉野:
あれです。現場でナレーションしてる人です。

会場:(笑)

事故からはじまった、嬉野カメラワーク。

カツセさん:
藤村さんは編集をされているから、ご自分でナレーション入れてやりやすくしているのもありますけども、カメラを回してるのは嬉野さんですよね。そこはお2人の阿吽の呼吸があるから、今のどうでしょうがあるんでしょうか。

嬉野:
どうなんだろうねぇ。藤村さんは「カメラは誰でもやれる」とかって言ってるのね。

カツセさん:
おぉ~、20年以上の連れ合いに……。

嬉野:
そうなんだよ、聞いてくれる? 

会場:(笑)

嬉野:
オレのカメラワークを評価してくれるのは唯一、大泉くんだけ。

T木:
大泉さんは『CUT』の水曜どうでしょう特集でも「嬉野さんのカメラじゃないとダメだ」とずいぶんおっしゃっていました。

カツセさん:
でも視聴者の多くは大泉さんと同じ意見だと思います。車中とか景色を撮影するみたいな、「どうでしょうのカメラワークって存在してるなー」っていうのはすごく思うんですよね。

嬉野:
確かにね。でも、あれは失敗というか、事故から始まったんだよね。

カツセさん:
えええ、事故ですか!

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