幼なじみという呪い。①【導入編】


一番好きな人とは結婚できないものなんだよ

昔どこかで聞いたし今でもたまに聞く。ほんとにそうなんだな、と思ったのは、私の一番好きな人が早々に結婚してしまって私もその7年後には別の人と結婚したから。その、一番好きな人とは付き合っていたわけではないし想いをちゃんと伝えたこともない。ただ私が勝手にずっと好きだっただけの、幼なじみ。

人生について考えるとき、よくその幼なじみのことが思い浮かぶ。あの時、告白していたら?あの時、会いたいって伝えられてたら。彼女できたって話を真剣に聞いてたら。結婚するって聞いた時でさえ自分の気持ちをごまかして、なにも言わなかった。

ちょっとだけ、自分の気持ちを整理するためにもアイツとのことを書いていきたいと思う。暇だし。


40歳までお互い独りだったら結婚しよう

これは私が言いたかった、言えなかった言葉。私は男好きでアイツは女好きだった。ハタチくらいのとき、私はめちゃくちゃ遊んでいた。遊んでいたと言っても実際はセックス依存症に近く、日毎に違う男とセックスしていた。離れた地域に住んでいてSNSもない時代に動向がわかるわけでもなく、アイツも女遊びしてるものだと思い込んでいた。後から考えたら、普通の「性欲持て余してる20代男性」なだけだったように思う。

とにかく私は、お互い真面目な付き合いに縁がない2人、だと思ってたのだ。自分自身、結婚なんて全く想像つかない。きっとアイツも同じでずっと独り身で落ち着くことなんてないんだろうな、って思ってた。40歳なんて待つまでもなくその言葉を言えることもなく、アイツは24歳でさっさと職場結婚してしまった。

今年の7月、アイツは39歳になるし私も来年1月に追いつく。もし「40歳まで~……」ってだけでも言えてたら、もしかしたらもしかすると今ごろ結婚の話とかしてたかもしれない。普通に考えればそんなこたーないんだろうけど、お花畑乙女ちっく脳だと、そういう風に思ってしまうのだ。

私だって結婚したのは31歳の時だし、40歳までってけっこう長いよね。20代前半ではわからなかったのかもね。


一番好きな人は大事に取っておくもの

ではない。
前述の通り、離れた地域に住んでてすぐには会えなくて。メンヘラ全盛期で病んでた私、やっぱり近くのすぐ会える男に依存するよね。でも一番好きなのはアイツだから、大事に取ってあるんだから、だから最終的にはきっと結婚するし今すぐ急いでどうにかしなくてもいい。いつか伝えるから。アイツもそんなモテるタイプじゃないし、いつかそういう時がやってくるさ。なーんて思ってた。

そう言えば、早く結婚したいって言ってた気がする。今の彼女がなかなか良い人で、結婚するかもとか言ってた気もする。なんで全部、ちゃんと聞いてなかったんだろ。結婚することになった、って電話で聞いたんだかメールくれたんだか忘れたけど、へーそうなんだ良かったね~、くらいにしか返事できなかった。あまりにもリアリティなかった。40歳くらいで結婚するもんだと、まだ思い込んでたから。

今ならわかる。好きだと伝えるのがカッコ悪いとか今さら恥ずかしいとかそれを言ってどうなるとか、23歳くらいで考えることじゃない。諦めるってのは、相手からの返答があってから初めて発動できるものであって、自分の気持ちも伝えずに「勝手に結婚した!」とか「お互い恋人いるからもうダメだもんね」とかそれはこちら側だけの都合なんだ。向こう側からすると何も起こってないのである。ここにこうやって書いていることも、アイツからするとホラーでしかないよねきっと。



アイツが結婚するまで、アイツが地元から離れて会えなくなってから、同じ学校に通っていたとき、好きだと気づいたとき、いつも隣に居たとき、ただのクラスメイトだったとき、小学校の入学式で出会ったとき、その辺の話をフィクションの形で書いていきたいと思います。暇なんで。

続き→ 幼なじみという呪い。②【はじまり】

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