TAB譜で覚える初心者向けフラメンコギターレッスン #1 - 4小節でマスターする基本奏法
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TAB譜で覚える初心者向けフラメンコギターレッスン #1 - 4小節でマスターする基本奏法

フラメンコの楽曲は、さまざまな奏法でできている。

もともと、カンテ(歌)やバイレ(踊り)の伴奏が主だったギターの奏法は、パフォーマンスに合わせた役割があった。

ラモン・モントーヤ以降、ソロ・フラメンコとしての楽曲が確立し、もはや単なるカンテやバイレの伴奏ではなくなってからも、その奏法を組み合わせたソロの楽曲が作られるようになった。

今回は、フラメンコの基本演奏スタイルと、ラスゲアード・ゴルぺ・トレモロ・アルサプアといった、フラメンコ独特の奏法について解説する。

■フラメンコギターの演奏スタイル

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前回紹介の通り、フラメンコは

Hay Que Sentir

つまり「知」ではなく「感じる」音楽である。

だから、演奏スタイルも自由だ。

とはいえ、無理なくラスゲアードやピカード(速弾き)といった、フラメンコ独特の奏法ができるように、上画像のようなスタイルが適している。

クラシックギターの場合は、左足をフットスツールに置き、ギターを右太ももに乗せるのだが、フラメンコではフットスツールは使わなない。

ギター本体の最も広い部分を右太ももに乗せ、右腕の下にしっかりと保持する。このポジションは、初心者には扱いにくいように見えるが、練習するとかなり快適だ。

また、ソロギターを弾くときは、右足を左太ももの上にのせて交差させることがある。この場合は、ボディのくびれた部分を右太ももに乗せる。

・左手親指はネック裏の中心を移動する

演者(ギタリスト)の左手親指は、観客側から見てネック上部から見えてはいけない。

以下画像を見てみよう。左手親指は、ネック上部から出ていないのがわかるだろう。ここが、アコギやエレキギターの奏法と違う点だ。

アコギやエレキギターはネックが細いので、ネック全体を握るように持つのが普通だ。親指はしっかりネック上部から出て、スタンドスタイルの激しいプレーにも耐えられるような持ち方となる。

クラシックと同じく、ネックが太いフラメンコギターは、ネックを握ることはない。親指をネック裏の中心部に当てて、その親指がネック裏をスライドするように動かす。

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・ピックは使わないクラシックスタイル

フラメンコギターは、ナイロン弦のクラシックギターが起源。

だから、ピックは使わず、右手指で弦を弾いて音を出す。

フラメンコの曲は、ストロークのラスゲアード、単音でメロディを奏でるファルセータ等が組み合わさっている。

ラスゲアードは以下で解説しているので、単音でメロディを奏でる方法。

弦に対して垂直に、指で弦を弾く。できるだけブリッジに近い位置で弾くことにより、フラメンコらしい堅い、ビシビシとした音が出る。

ベース音から高音までを順番に弾いていくアルペジオは、ベース音(主に6、5、4弦)を親指で弾き、3弦をi(人差し指)、2弦をm(中指)、1弦をa(薬指)で弾くのが基本。

アルペジオに対し、メロディを奏でる時はm(中指)とi(人差し指)を交互に使う。特に、ピカード(速弾き)の時に、このm --> i --> m --> iが交互にできないと、なかなか上達しない。

スケールのような単純な練習で、交互のm --> i --> m --> iを徹底的に練習するのが上達の近道だ。

■ラスゲアード(Rasgueados)

では、フラメンコならではの奏法の解説に入ろう。最初はラスゲアードから。

以下掲載している楽譜には、ラスゲアードのストロークをする、右手の各指を示すアルファベットが書かれてあり、それぞれは以下の通りとなる。

・「p」:親指
・「i」:人差し指
・「m」:中指
・「a」:薬指
・「ch」:小指

また、矢印は

・「↑」:ダウンストローク(6弦:低音弦から1弦:高音弦へ弾きおろす)
・「↓」:アップストローク(1弦:高音弦から6弦:低音弦へ弾きあげる)

を示している。

MP3音源では、ダウンストロークとアップストロークは判断できないので、楽譜で覚えて欲しい。

・ラスゲアード・デ・インディセ(Rasgueado de Indice)

【パターン1】

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人差し指(i:Indice)一本で、アップ&ダウンストロークを繰り返す、最も簡単かつ基本のラスゲアードを、ラスゲアード・デ・インディセ(Rasgueado de Indice)という。

これなら、コードさえ押さえてしまえば、人差し指を上下にストロークするだけだから、初心者でもなんとなくできそうだ。

パターン1は、Amのコードのまま、人差し指でアップ&ダウンを繰り返す。

フラメンコは12拍子といわれ、4小節でひとパターンだ。1〜2小節目は3拍目にアクセントがあり、3小節目は2拍目、4小節目は1拍目(と3拍目)にアクセントがある。MP3ファイルで確認してみると、それがわかる。

・セコ(セーコ、Seco)

【パターン2】

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次は、「セコ(またはセーコ、Seco)」と呼ばれる、複数本の指で行うストローク。

通常は、人差し指と中指2本を使うが、中指と薬指、あるいは人差し指・中指・薬指の3本を使用する場合もある。

また、アップストロークは親指を使用することもある。

・グラネアード(Graneado)

上記以外のラスゲアード全般のこと。

軽く握った右手を、小指から人差し指まで、流れるように順番に開いてダウンストロークしていくものだ。

【パターン3】

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パターン3は、小指から人差し指までのダウンストロークするラスゲアードを、各小節の1拍目に用いている。四分音符は人差し指のインディセでダウンストロークする。

パターン4、5は、それを少し応用したもの。

【パターン4】

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【パターン5】

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【パターン6】

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パターン6は、小指から人差し指までダウンストロークしたすぐ後に、人差し指のアップストロークを入れた5連符。その後のインディセに続く。

パターン7は、その5連符の連続だ。

【パターン7】

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・アバニコ(Abanico)

ここから、よりフラメンコらしくなる。

アップストロークに親指を使用することで、右手全体を扇子(スペイン語で「アバニコ」という)のように、上下にヒラヒラさせながらストロークすることを「アバニコ(Abanico)」という。

その意味では、パターン8は純粋なアバニコではないが、パターン9はアバニコの代表例。

親指でアップストロークの後、すぐにch --> a --> m --> iとダウンストロークし、すかさず親指でアップストークする。この一連が、アバニコだ。

5連符最後の人差し指によるダウンストロークは、親指のダウンストロークで代用することもある。その後の親指によるアップストロークに、すぐ入ることができるからだ。

【パターン8】

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【パターン9】

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・ドブレ(Doble)

ラスゲアードが連続したものを、「ドブレ(Doble)」という。

ドブレは、一つ一つのラスゲアードを切れ目なく連続させることがコツ。そのためには、親指でのアップストロークが欠かせない。

【パターン10】

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パターン10の3〜4小節目は、まさにドブレだ。

【パターン11】

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パターン11は、ラスゲアードの花形中の花形、アバニコの連続3連符だ。

「p↓ --> am↑ --> p↑ --> p↓」を連続して行う。

二本指は、人差し指と中指でも良く、むしろこちらで弾いている人の方が多いかもしれない。

3連符のアバニコは、複数の弾き方がある。

楽譜に示されたパターンは、従来からのアバニコ。音響施設が整っていなかった昔、踊り手や歌い手にはっきりとリズムを伝えるよう、ギターで大音量を奏でることが必要だった。そのため、力を入れやすい親指と二本指のストロークになった。

しかし、サビーカスやパコ・デ・ルシアの登場により、コンサート・フラメンコ(独奏)が主流になってくると、ただかき鳴らすだけではなく、一つ一つの音符をはっきりと聞かせることが必要になってきた。

その場合のアバニコは、

「p↓ --> a↑ --> i↑ --> p↓」

となる。ちなみに、筆者は後者のコンサート・フラメンコ向けアバニコで教わった。

■ゴルぺ、トレモロ、アルサプア

・ゴルぺ(Golpe)

ラスゲアードとともにフラメンコらしさを演出するのは、ゴルぺ。

ゴルぺは、アクセントをつけたい時にギター表面板に貼られたゴルぺ板を、右手薬指(a)で叩くこと。

フラメンコの基本リズムの一単位をコンパスといい、4小節・12拍子が1コンパスとなる。その際、アクセントは3拍、6拍、8拍、10拍(プラス12拍)となるのだが、以下楽譜の通り、それぞれでゴルぺを入れると、フラメンコらしくなる。

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ラスゲアードしながら入れるゴルぺは、テクニックが必要だ。

上記楽譜(1)では、人差し指でダウンストロークしながら、1弦の下部のゴルぺ板を薬指で叩く。

コツは、ダウンストロークしながら手のひらを広げるような感じで、薬指を意識しながら叩く、と言った感じだろうか。

(2)のアルペジオの場合、1拍目のベース音を親指で弾きながら、薬指でゴルぺを入れたのち、人差し指で1弦を弾く。

2〜3拍目は全て親指で弾き、3拍目の四分音符も同様にゴルぺを入れる。

文章にすると簡単に思えるが、こればかりは練習を繰り返して習得するしかない。

音声ファイルにはゴルぺの音を入れることができなかったので、アクセントが付いているところと理解して欲しい。いずれ、筆者が弾いた音をアップロードするつもりなので、ご容赦いただきたい。

・トレモロ(Tremolo)

トレモロとは、連続した音を継続しているかのように聴かせる奏法。クラシックの名曲「アルハンブラの想い出」で出てくる奏法だ。

しかし、クラシックのトレモロは4連符に対して、フラメンコのトレモロは5連符となる。

ベース音を親指で弾いたのち、i --> a --> m --> iと高音部を弾く。この4つの音が、継続して聴こえるよう、素早く弾くことがコツだ。

言葉よりも、楽譜と音声ファイルで確認してもらうほうが早いだろう。

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・アルサプア(Alzapua)

アルサプアは、親指だけでダウン&アップストロークを繰り返す奏法。以下楽譜の通り、3連符で行われることが多い。

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■繰り返し練習が基本

どの道にも、近道はない。

楽曲を覚える前に、ここに掲載したフラメンコの各奏法を繰り返し練習し、基礎を身につけておくと、必ず後で役に立つ。

次回は、フラメンコの曲種と、基本の「き」、ソレアレスについて解説する。

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初めまして。Kazyです。 Linux、フラメンコギター、盆栽、旅行の実体験をブログで更新中。体験・経験(エクスペリエンス)を、ブログから「共有」してもらえるよう発信しています。フラメンコギター歴20年。 URL: https://www.ura-no-ura.com/