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ノスタルジックモーニング feat.Nujabes

朝起きると、雨。 肌寒い。

ふと、Album Leafをかけてみる。

なんだろう、フラッシュバックとでも言うのか。

突然、昔の記憶が蘇ってくる。

あれは19歳か20歳か21歳か22歳くらいの頃かな。

やたらレコード屋さんを巡っていた時期があった。

今でもレコードを買って集めてたまにクラブでDJさせてもらうのが生きがいのようになっているが、あの頃はちょっと違う感覚だった。

なんて言うか、毎日が冒険のような。

今の生活がつまらないとかそんなことは微塵にも思わないが、あの頃はなんか、今とは違かった。

毎日毎日、渋谷の宇田川町を彷徨ってはレコード屋に出入りしてレコードをあさっていた。

そんな中、ふと出会った「Tribe Records」。言わずと知れたJapanese Jazz-Hiphopの雄 "Nujabes" がオーナーを務めるレコードショップだ。たまたま立ち寄ったんだが、もうそこは他のレコードショップとは次元が違う心地よさだった。もちろん品揃えもそうだが、視聴機の置いてあるソファ席なんかはもう本当に特別な空間だった。

初めて行ったときに店員に「何かいいの入ってますか?」って聞いたら「どんな系が好きですか?」と聞かれたので「ビートはあるけど浮遊感があって空間を感じさせる音楽」みたいなことを言ったら即答で「Album Leafだね」って教えてくれアルバムを差し出して来た。西嶋くんだったっけかな、店員さん。本当にドンピシャなセレクトで最高だった。それから何度も何度も足を運び、Tribeのマネージャー兼"FK"というアーティスト名で当時活動していたビートメイカーのやばかっこいい7inchを買ったりNinja Tuneが誇る唯一のnonヒップホップバンド"The Cinematic Orchestra"と出会ったり、たしか"Prefuse73"との出会いもあそこだったっけかな。Tribe Recordsはヒップホップとハードコアしか聞いていなかった当時の僕の耳と心に大きな衝撃を与えていった。

何ヶ月経ったか何年経ったか覚えてないけど、またTribeに出かけると西嶋くんの様子がいつもとちょっと違う。なんだろう?と思ったら、オーナーである"nujabes"がそこにはいた。レコードをガサガサ漁っていたあの後ろ姿は一生忘れないと思う。僕は緊張してずっとその後ろ姿を見つめていた。もちろん話しかけることなどできるわけもなく、nujabesがいじったレコードのコーナーを後から漁りにいった。今考えるとどんだけ度胸がないんだって話だけど、それは今でも変わらない。

nujabesといえば2002とか2003くらいにShing02とLuv (Sic) Part. 2をリリースして完全なる虜になった。そこから逆算するようにShing02の"緑黄色人種"や"400"を聞き始め、当時LAに住んでいたシンゴさんが来日する度にチェックしてライブに出かけたりしていた。ちなみに僕が一番好きなShing02の動画がこれ。pt1から2への繋ぎ方が本当に素晴らしすぎる。

いわゆるオールドスクールヒップホップを聞かずに、ミドルスクール(ゴールデンエイジ)ヒップホップで育った僕はATCQやKRS-ONEやCypressHillや2pacやSnoopやPEやICE CUBEやNaughty by Natureとかが体に染み付いていて、そこからLimpやLinkinやSlipknotやMADやハイスタなどのミクスチャー〜パンク勢に脳内をやられてから、Aphex TwinやPrefuseやAmon TobinやSquarePusherやMUMやFour tetなどのIDM〜Ambientに入って来ているのでビートとラップと浮遊音が混ざっているnujabesやShing02の音楽は自分の全てが詰まっているような感覚で聞いてしまうのだ。

小学生の頃はロボットの動きをするアメリカのストリートパフォーマーになりたくて、中学生の頃はロックミュージシャンになりたくて、高校生の頃はDJと日米の音楽文化を繋ぐメディアの編集長になりたくて、大学生の頃はイベントオーガナイザーになりたくて、その後サラリーマンを経験してから起業して今に至るけど、結局のところ自分はまだ何もやっていなくて、常に音楽がないと生きていけなくて、力が出せるのも力を抜けるのも全て音楽という芸術のおかげであり、完全なる依存症である。

今朝、Album Leafを聴きながら家族で朝食を食べていて、娘の顔を見ながらずっと考えていた。僕の生きる世界を広げてくれた音楽、そしてレコードショップやレーベルの存在。そんな自分にとっての居場所をこの子は見つけられるかな?そして僕自身が大切にして来た居場所を、見せたい。感じて欲しい。共有したい。無性に、Tribe Recordsに向かうあの階段をまた登りたくなった。ドアを開ける瞬間のドキドキをまた感じたくなった。

自分よりも後の世代に何を残して行くのか。という意味ではやはり音楽という芸術は絶大である。僕も、何かを、娘に残したいと思った。何ができるかな。

何ができるかな。

R.I.P and thank you so much for your music "nujabes"


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