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移民という生き方を考える!

まさか、自分が生まれ育った国を出て、外国に住むことになろうとは、全く想像もしていなかった。初めて外国を意識したのはルーツというテレビ番組で、私は動物を身近に感じることができるアフリカの生活に憧れ、その熱はしばらく続いた。

中学生の時、男友達に行きたい場所を尋ねると彼は「スイス」と答えた。野球部で活躍していた野球少年の彼が、アルプスの少女ハイジの世界に行ってみたいと言ったギャップに驚いた。価値観は実生活に無いものから求められ、築かれるのだろうか?

あれから何年もたち、海外旅行は人々の間で身近になり、移民も昔ほどの勇気と覚悟を持たなくても、気軽にできる世の中になった。

ここでは、私が海外生活から見て、感じた、移民生活の実態をお伝えし、コロナで弱っている人達にエールを送りたい。


カナダの移民状況

移民の国に住んでいると、本当にたくさんの人種、さまざまな国の人々がいて、それは、それは、驚かされる。自分がどこの国にいるかもわからなくなってしまうほどだ。イギリス、フランスからの移民が住んでいる国=カナダのイメージは、もはや過去のものとなった。

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国境などまるでないように人々が入ってきては住み着き、定着し、子供を学校へ通わせ、その子がまた結婚し、子孫を残す。二世、三世も先祖を辿れば元は移民であるから、カナダに住んでいる人の全てが移民だ。その数は凄まじい。日本にいてはきっと想像もできないだろう。私も想像できていなかった。そして今も尚、増え続ける移民に対し、少しばかり恐怖を感じている。

地域ごとに同じ民族が集まる傾向がある。実際はどこに住んでも自由なのだが、それはまるで政府に指定されたようにも見えるくらいだ。実際のデーターからではないが、印象としてここ10年間で、インドと中国からの移民が増えているように見える。そして、それは都会ほど顕著だ。

中国とインド、この二国だけが世界的に見ても圧倒的に人口が多いので、この二国からの移民の人口比率が多くなるのは当たり前だ。そして昨今のIT技術の進歩により中国は金持ちになり、インドはカースト制で親の職業に就くしかなかった人々も、それまで存在しなかったIT関係職業の出現により、負のループから抜け出せるようになった。この二国からの移民が多いのはそのためだ。

しかもトランプ政権で規制されるようになってからは、中国、インド以外の国の人達がアメリカからカナダへ流れてくるようにもなり、もうグチャグチャだ。中近東からの移民も多くなり、エレベーターで目しか開いてない黒づくめのベールを被った女性の集団に囲まれると、居た堪れない気持ちになってしまう(だって、ほとんど銀行強盗ぢゃね?)。

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私が日本にいた時は、海外移住とは能力の高い者や勝ち組がするものだというイメージを持っていた。だが実際には、勝ち組風でもなければ、能力が高いとは思えないような人々も多い。

ホームレス、生活貧困者、ドラッグ中毒者などは街を歩いていると普通に出会す。私は特に貧困している地域に住んでいるわけではないが、見かけることは日本にいた頃より断然多い。

もちろん成功者も多数いる。病院には様々な国のトップであろう優秀な医師が勢揃いで、ファーストゼネレーションと思われる発音の先生方も多くいることに驚いた。教育現場にも様々な人種、民族の人間が働いており、その多様性には驚くばかりだ。


どんな人も振り出しに戻される

私はカナダで出産したが、ミッドワイフ(お産婆さん)を利用して病院で産んだ。私の担当はいつも同じ人と決まっていたが、ある時、いつもと違う年配の女性が検診してくれることになった。

中近東の出身らしい顔つきで、年齢は50代後半〜60歳前半くらいに見えた。聞けばミッドワイフの資格を取るための学校に通っている生徒で、現場での実習が必須なのだ、との説明があった。

私は失礼ながら、その方の年齢に疑問を持った。志は立派だが、そのお年でミッドワイフになっても、、、あと何年かしたら引退だろうに。お金を稼ぎたいなら手っ取り早くスーパーのレジ係などもあるのに、と。

検診の間、私達の質問攻撃により、実はその生徒は自国のイランで産婦人科医だったことを知った。訳あってカナダに移民したが、イランの医師免許をカナダの免許に書き換える制度はない。なので彼女は学校に通っていた。しかし、彼女の場合は産婦人科医だったこともあり4年を2年で卒業できるという(これはラッキーなケースだ)。

自国で医師免許や教員免許などを取得していた人が、移民後に免許を書き換えられず、タクシーの運転手をするという話がよくあるらしい。学校へ行きやり直しをするには、金銭的余裕、英語での授業、というハードルを超えなければならない。養うべき家族がいる場合、資金に余裕がなければ難しい。

分かりやすいのが自動車の運転免許だ。日本・韓国・イギリスの運転免許を持っていればすぐに書き換えられるが、それ以外の国の運転免許を持っていてもカナダでは無効だ。教習所からやり直さなければならない(私は日本の免許証を持っていたのでラッキーだった)。

ある意味、皆が同じ立ち位置からスタートしなければならないのは平等である。移民したらかには、自国でのキャリアを諦め、皆が振り出しに戻される。もう一度やり直すもよし、新しいチャレンジするもよし、この国で生きてゆくためのスキルを身につけなければならないのだ。

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移民の仕事とは

移民は二種類ある。仕事を求めてやってくる労働者と、自国での成功をバネに更なる上を目指す勝ち組だ。ただし、勝ち組になるにも、一度、振り出しに戻されることを念頭においておかねばならない。自国の経験である程度コマをスキップできる人は、是非、異国で勝ち組を目指していただきたい。

労働者となる人は、機械部品のように使い古され、使えなくなったら捨てられてしまう。たた職を求めるだけならば日本で職場を探した方がたくさんあるはずだし、賢明だ。語学のハンデを背負ってまで移民する価値はない。

移民してそのような仕事につかないようにするためには、特化したスキルの取得と、その分野の英語能力がポイントとなる。これさえ押さえておけば移民は半分以上、成功したも同然と言える!ただし、この場合も現地の学校でスキルを取得することが大切である。

特化したスキルといっても、医者、弁護士、会計士など、高度な分野でなくても一般的に需要があると思われるスキルは探せばたくさんある。例えば介護ケア、ナース、美容師、調理師、大工、歯科衛生士、ネイリスト、などなど。お勧めは、仮に所属している会社が潰れても独立してネットで宣伝すればお客がついて何とかやっていけるような仕事である。なかには免許もいらずに出来る仕事もあるので興味のある人は調べてみると良い。


「英語ができる=仕事がもらえる」ではない

当然ながら、自国で英語が人よりできたとしても、職がなければこの国で食べていくことはできない。英語があまりできなくてもコミュニケーションが取れればできるような仕事もたくさんある。錯覚してしまいそうになるので、間違えてしまう人が多いのだが、やり方や順番を間違えると遠回りで、しなくてもよい苦労をしなければならず、時間とお金と労力を無駄にしてしまうので気を付けたい。

仕事の専門性が上がるほど、その分野に特化した英語を話せなければならないのは皆さんお分かりだろうが、それは、つまり、自分の仕事に特化した英語さえ上手く操れれば仕事は成り立つという事だ!

是非、移民に興味のある方は、①なりたい職業を見つけて ②その仕事で必要と思われる語彙を増やし言い回しを覚る、というのが無駄のない順番だ。英語ペラペラになる必要など全くない。もちろん、自分が仕事で使う英語が充分と感じたら、次に一般教養としての英語を学ぶのは多いにありだ。

自分の英語能力でできる仕事は何かな?と「英語→仕事を探す」の順番ではなく、「仕事→その仕事で使う英語」の順番のほうが楽だし、早く目標にたどり着ける。これは英語だけではなく、住みたい国の言語に置き換えることもできるので要応用だ。もちろん、これらは移民が目的の場合。

何をやりたいかわからないけど、とりあえず外国で何か経験したい!とワーホリする人も多いが、そういう場合は日本食レストランのバイトで日本語ばかり使い、気が付けば帰国という悲しい結末になる。

そのように目的はないけど、とりあえず外国で働きたい!という人は日本語の通じない職場に飛び込むのが良いだろう。そこで他の移民にもまれながら育つと何か見えてくるかもしれない。


そこでだ!!

今、コロナでどうしようもなく先行き不安で、今までの在り方が通用しなくなった世の中で「どう生きようか?」と、もがき苦しんでいる人が多い。今から新しく何かを始めるとしたって、何をどう始めたら良いのか検討もつかない。何かしなければ、始めなければ、と焦るばかりで、思考が前に進まない。それは当たり前だ。今までそのようなことは考えてこなかったのだから。

でも、そのように考えている人達!移民して他国で生活しなければいけない状況を考えてみてほしい。なんとかして生活していくスキルを身につけなければ自分はホームレスになってしまうとしたら?日本でのチャレンジは大したことないことだ、と思えてくるのではないだろうか?だって少なくとも言葉は通じるのだから。


最後に

ここはカナダについて話なので、他の国への移民や情報はご自身で調べていただきたい。2008年からカナダに住んで今年で12年だが、まだまだ慣れず、戸惑うことも多い(ことに驚きだ!)。

生まれ育った環境、そこで育まれた価値観は一生塗り替えられることはなく、状況が変わったことに自分を合わせるしか方法はない。世の中の状況は刻々と変化していて、昔を懐かしんでも元に戻るのを期待するだけ裏切られた感が残ってしまう。

だったら先を明るく見て、出来ることにチャレンジするのが得策ではないだろうか?

一度きりの人生、思い残すことなく死んでいきたい、と思うのです。





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