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狭小空間専用ドローンを活用した下水道工事出来形計測の実証(第35回優勝社 株式会社Liberaware)

株式会社Liberawareとの連携
UPGRADE with TOKYO第35回「下水道施設における新たな工事出来形確認手法の構築」に優勝した株式会社Liberawareとの協働事業では、狭小空間専用ドローン「IBIS2」を活用して、東京都の水再生センターを実証フィールドに、下水道施設内での工事出来形確認に向けた実証実験を行います。

協働プロジェクトについて東京都下水道局の担当者へインタビュー
「下水道施設における新たな工事出来形確認手法の構築」をテーマとしたUPGRADE with TOKYO第35回。テーマ設定の背景や優勝社が選ばれたポイント、協働プロジェクトの進捗状況等について、東京都下水道局の担当者に話を聞きました。

第35回のテーマを「下水道施設における新たな工事出来形確認手法の構築」とした理由は何か。
東京都下水道局では、老朽化した下水道施設のリニューアルや頻発する豪雨への対応を進めるため、様々な工事を実施しています。
下水道工事の完成時には、検査担当職員が現場で、形状や寸法といった出来形を施工管理基準に照らし合わせて確認していますが、高所や狭隘(きょうあい) 、硫化水素など有害なガスが発生する所があるなど、特に安全対策に労力と時間を要しています。

そこで、下水道施設内で人が容易に近づくことの出来ない所において、3D測量や画像認識AI等の活用により、人による確認作業の代替となる、新たな工事出来形の確認※手法を募集しました。

※工事出来形の確認:工事の受注者が契約図面のとおりに構造物を築造しているか、引き渡しを受ける前に発注者が確認する行為

ピッチ開催にあたり、スタートアップにはどのような製品・サービスに関する提案を期待していたか。
人が容易に近づくことの出来ない所において、「計測・撮影、映像伝送・表示」を包括的に実施でき、施工管理基準に適合する精度(誤差±20mm以下)での遠隔測量・出来形確認を可能とする技術を期待していました。

【当初想定していたソリューションの方向性】
・3Dスキャナやドローン等を用いて取得したデータをもとに、3Dモデルの作成や設計図面との比較・分析を実施
・構造物の写真・動画等のデータを画像認識AIが解析し、出来形検測を実施

ピッチに出場した5社の中で、Liberaware社が優勝した理由は何か。
下水道施設における厳しい作業環境でも安全性を確保できるとともに、コスト削減などにもつながる可能性がある提案が審査員の目に留まりました。
また、下水道施設内では、衛星からの電波が届かない箇所もあるため、GPSを使わなくても飛行できることや、ドローン本体を国内で開発していることなども評価された形です。

水再生センターにおける実証実験の進捗等、これまでの協働プロジェクトはどんな状況か。
6月にモデルケースとして選定した水再生センターにおいて、1回目の実証実験を行いました。9月現在、第1回実験の結果を踏まえて、第2回の実験計画を立案中です。

第1回の実証実験については、Liberawareからプレスリリースが出ていますので、こちらも併せてご覧いただければと思います。

協働プロジェクトを推進するうえで、障壁となった事象や課題等はあったか。
Liberawareは日ごろ一緒に仕事をさせていただいている下水道業界や建設関係の方ではないので、我々が普段当たり前に使っている用語が通じなかったことでしょうか。そこに不便さとともに新鮮さも感じました。それは自分がどれくらい噛み砕いて説明できるのかという点に面白さを感じたからです。

これまでの進捗を踏まえ、今後はどのような取り組みを予定しているか。
9月から10月を目途に第二回実証実験を、年度内には第三回実証実験を行って、ここまでの実験結果を取りまとめる予定となっています。
来年度以降については、適用可能範囲についての整理などを行い、ゆくゆくは出来形確認に関する手引(案)の作成につなげていきたいと考えています。

本協働プロジェクトを通じて、スタートアップとの協働を行うメリットとして挙げられることは何か。
先に述べたことの裏返しになりますが、日ごろ一緒に仕事をさせていただいている業界の方とは違う方と仕事ができることだと思います。
特に我々が常識だと思っていること、できないのが当たり前だと思っていることに対して、我々とは別の視点から疑問点を提示しその解決方法を考えてもらえたり、提案してもらえたりすることが大きなメリットではないでしょうか。

以上、第35回協働プロジェクト「下水道施設における新たな工事出来形確認手法の構築」に関する担当者インタビューをお送りいたしました。

今後もUPGRADE with TOKYOに関する様々な情報を発信してまいります。
次回のnoteにもご期待ください。

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