スクリーンショット_2019-04-04_11

U-32FF plus Variable

平成30年某月某日

ここに、ある人物から預かった1つのファイルが存在する。ファイルのタイムスタンプは2018年9月6日。ご丁寧にその日に圧縮され、鍵が掛かっている。解錠コードは預かっているが、私には指定された日時より前に開けたり、不適当な手段を使って覗こうとするものがあれば、どんな手段を使ってでも阻止しなければならないと厳命されていた。そして、そのファイルを守り抜けと……その重大さには理由がある。それは、そのファイルに入っているその内容にあった。暴露されれば、世界経済に巨大な影響を与えている某国を大混乱で破滅させられるほどの……まさに国家機密級の情報だ。その人物はそれをカリフォルニアに本拠を置くある結社を監視することによって手に入れたという。「では、その情報というのは合衆国に関わる機密……」「いや、そうではない……しかし合衆国と深く関わりがある国のことでもあり、その国が大混乱に陥れば、必然、合衆国どころか世界の危機に直結することは間違いない」「では、対立する某国や某国がその内容を知るようなことがあれば……」「間違いなく深刻な事態だ」しかし、それほど重要なデータであるにもかかわらず預かったファイルサイズの小ささだけは私には気がかりではあった。

            * * * 

令和元年某月某日

やはり、私には無理だったようだ……数々の困難に打ち勝ちファイルを守り通した私ではあったが、好奇心にだけは勝つことが不可能であったようだ。いや、もはや、それだけが大きくなってしまったといっても過言ではない。こんな小さなデータ一つで、巨大な国家が壊滅するほどの秘密とはいったい……どうやら、私は自分自身の頭を打ち抜かなければならないようだ……

……もはや薄れていく意識の中で私は何故あの人物はその秘密を何カ月も前に知ることが出来たのだろうかと考えていた。


「㍻ の次の元号は ㋿ です」



ええ、まぁ、というわけでココはあと何カ月後かにきてもらうと、落ちが付くようになっているんですが……どう? まだ見えてないか? え? 落ちがわかりづらい? こりゃまた失礼。


さて、というわけで、今月のエイプリルフールに新しい元号が決まりました。パチパチ。これで来月からは令和元年ということになって、今やもう、システム屋さんはもちろんのこと、文字作る人も大忙しです。まぁ、上の落ちにもあるように日本語のフォントでは、年号の「明治・大正・昭和・平成」にあたる合字「㍾ ㍽ ㍼ ㍻」が定義されており、カリフォルニアに本拠地を置くとある団体によって、当然その次の元号「令和」のコードポイントも予約されているのです。U+32FF、つまりUnicodeの「32FF」というのがその文字コードなんだけど。現時点ではココはアキママ。各フォントベンダーはまぁ当然アップデートを予定していて現在不眠不休で作業してる……ん、だよね? 多分。逆にユーザーにとっては日本語フォントの総入れ替えだ。この辺管理適当にしてると酷い目にあいそうだなぁ……特に俺とか、おれとか、オレとかって全部俺かよ。ってそういうことは、まぁ、どうでもいいんだけど、あと、OS付属のフォントのアップデートとか、携帯電話も?……あと、それ以外だと……え? アドビ?……速いな……4月30日まで!にアップデートを完了するだとぉ!

ところで、この、令の字。おめでたいところに水をさしたいわけではないのだが、デザイン的にもシステム的にも実に厄介を抱えている。まぁ、文字グリフなんてのは多かれ少なかれ何らかの瑕疵を抱え込んでいるモノだが……そうだなぁ……。

上はU-32FF plus Variableの名前で作成した ㋿ と令和しか入っていないVARIABLEフォント。和はまぁデザインの問題でどっちでもいいのだが、令のほうはパッと見た感じは全然違う漢字に見える。まぁ、中学生まで違う漢字だと思っていた人もいるくらいだから……え? 今の今までそう思ってたって? ん〜、それは……まぁ……ともかく、それで、これ、どっちが間違えとかじゃなくてどっちでもOK。ただし文科省的にはね……実は法務省的にはまた別の見解があるのでそれが問題になるんだけど、ええ、金融機関との関係における窓口事例とか、でも、まぁ、普通って何が普通かの問題はあるけど、それでも普通はどっちでもいいことになっている。書面や印刷では左を使うことが多いが、手書きだと、まだ右の人も多いんじゃないかな? それから、教科書体も右だ。書道で書くときは右だったような感じだから、官房長官が額上げたときに、まぁ理由はあるんだろうけどふしづくり(節の右下みたいな形なので)だったので一瞬傾いちゃったよ……いや、手話の人の所為でよく見えなかったからとか、そういうのじゃないですよ、ホント。

で、まぁこれも、まぁ、上の和の字のデザインの違い同様、デザインが違います……みたいな説明されるんだけど、そこらへんも本当は実はちょっと微妙。つまり、上の和の字の場合はどっちも「和」でほぼほぼ問題ないのだが、令の場合はそうならないのだ。

で、その説明をする前にまず、共通理解のために、字体・書体・字形と、字の違いについてなんだけれど、これをどう理解するかということに実は快刀乱麻にスパッと切れる決まったやりかたというものがあるわけではないというところに……これ、はじめるとまた長くなるか……って、あ〜、そうなるパターンだ、絶対なるなぁ……前回あまりにもやりすぎて、本当に長くなり少し反省している……ん〜、どうしよう。あとで部分的に何回かに分けてするかもしれないのでホントに今日のところは勘弁して下さい鈴木さん……。


で、みんながタイムマシンで戻ってきたということにして、話を続けるのだけれど、どういうわけだか、そういうわけで、問題というのは字種字形差に留まらない。文字の形一つ違うだけでリアルに生活に支障が出る。

それと、もう一つ、さっき言ったシステム的な問題というのは、同じ字にコードが複数あるという問題だ。

あ〜、そりゃ、そうだ、字形が違うからなぁ……って思った皆さん。ハズレです。実は字形差はコード上では包摂という形で処理されます。つまり、「ふしづくり」も「マ」も同じコードに包摂することが可能なのです。だから、そうではなくて字が全く同じなのに別々のコードが振られているのだがそれ自体はエラーではないというホラーな話になっているのでそのコトを知らずにプログラムを組むと盛大なエラーを誘発する可能性がある。というコトなんですよ、コレが何と! 

これもカリフォルニアに本拠地を置くある団体の責任でもあるのだが、どちらかというと、別の国のとある集団の短絡的発想から……あぁ、ここを詳しく解説しだしちゃうとネトウヨ呼ばわりされそうだ……まぁ過程を知らないとただの嫌がら……じゃなかった、まぁ、それに、そう、字形が違うというならともかく、「意味も字形も一緒なのにリエゾンしちゃってる的な場合の発音がほんのちょっとちがうからコードを別に振りました」とか普通の人が聞いたら我儘通り越して相当頭おかしい……っていうふうにしか聞こえないかもしれないんだけど、まぁそうなる理由もあって……って、あ〜、これも、駄目なパターンだ……どうしよう……。え〜っと、しかし、ラウンド・トリップ・セーフティーという発想のレガシーさも、ぶっちゃけ……ん〜、ここも……そうだなぁ……これも、まぁ、また、そのうち。


というわけで、そういうわけで、どういうわけだかよくわからなかったかもしれないけど、「令」という字はなかなかに曲者ではあるのですよ。ということが伝わればOK。これが。でも、まぁ、このどっちでもいいし、どうでもいいという、そういうルーズさが許容される感じというのが次の時代の時代感覚というのであれば、元年からは、もう、いい加減萬歳な塩梅でやってくかんじですよ。え? いままでだってそう? いや、もう、いままでに増して良い感じで……いやホント。


てなことで、次回はこのU-32FF plus Variableの制作に絡めてFontLabのVariationsの機能説明をしますって感じの予定……なんだけど、まぁ、そのあたりも良い加減で……。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?