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漢方薬と早食い

時間が過ぎるのが本当に早くなった。

すでに4月も下旬に差し掛かってしまった。そうこうしているうちに連休がきて、平成は令和に変わるのだろう。

なんとなく気ぜわしさを抱えながら、だからこそサクッと取り入れられるものが選ばれる。

「時短」だとか「効率的」だとか、短時間で済むものが是とされる現代社会。即効果が得られるもの、即結果が出るもの、即戦力になり得る人。

好まれる「即」。どんどん、わたしたちは待てなく、耐えられないようになっていっているような気がする。

即変化が起こり、即結果が出せれば、ぐんぐんどんどん成長できるだろう。速さは武器だ。だけど、決して正義ではない。

「とにかく早く、効率的に」と真反対に位置するのが育児だ。同じことの繰り返しで成り立つ毎日。何度言っても同じ失敗を繰り返し、同じことで叱られる彼ら。「早く」に縛られているのは大人で、子ども本人はマイペース、なんていうケースは本当に多い。

子どもに接するとき、効率化なんて考えられやしない。あまりにも不似合いだ。そして、何でもかんでも効率性を重視することを是とするのは、あまりよくないような、そんな気がしている。

早食いは健康によくないと聞く。満腹中枢が働く前に食べすぎてしまうため、肥満の原因にもなるという。

カッカッカッと勢いよくかきこむ食事からは、じんわりとした旨味は感じられない。消費、の二文字が頭に浮かぶ。味わう、からは程遠い。

速すぎる情報は、どんどんわたしたちを消費側に向かわせる。思考はそこにない。ただただ受け取り、時に反射的に反応する。

「許せない」「ムカつく」「意味がわからない」など、インスタントな思考たち。浅瀬を掬っただけの思考は、何となく考えた気にさせて、また次の情報に向かわせる。そして、またつまみ食いをして飽きたら次へ。次へ、次へ、次の刺激へ。情報やできごとを、ただひたすらに消費し続けた先に、わたしたちの実になるものはあるのだろうか。

西洋医学の薬と比べ、漢方薬は効き目を感じるのが遅いことが多い。症状にダイレクトに作用する抗生剤などと比べ、漢方薬は体質そのものの改善が目的だからなのだろう。

「すぐに」「即効」「直後に」といったものを、わたしは好まない。じっくり咀嚼して、味わって、消化して。血肉になってはじめて思考になるような、そんな遠回りな時間がわたしには必要だ。

時間をかけて芽生えた考えは、サクッと「だよね」と反応する意見よりも重く、輪郭がくっきりしている。その繰り返しがわたしを形作っていき、未来のわたしが活かせる力になってくれる。

押し流されて変わっていくネットのトレンドを眺めながら、また時には移りゆく季節のグラデーションのような変化を見つめながら、速さと手間との両方を大切に抱えておきたい、そう思っている。


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