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ペースを落とす、一球

「ハイキュー!」というマンガが好きだ。わたし自身はスポーツをすることはおろか、スポーツ観戦にも不向きな人間なのだけれど、バレーボールを描いている、この作品が好きだ。

別に今日は「ハイキュー!」について語るわけではない。今週号で読んだシーンが唐突に頭に浮かび、今の自分と重なったから、そのことについて書こうと思う。


それは試合の終盤、ラリーのテンポが速まっていく様を描いているシーンだった。拮抗した点差で「あと1点入れたら勝てる(そして逆に負ける可能性もある)」というなか、全体の流れがどんどん速まっていく。それは「マズイ状態」で、コーチも外から「ゆっくり!」と声を掛け続ける。そんななか、主人公がやわらかなボールをあげて、チームメイトのなかにあった緊迫状態を和らげた……というシーン。

これまで、主人公は「とにかくアタックを打ちたい」という気持ちが強すぎて、そうした気遣いができない初心者キャラだったため、成長を感じさせる、ちょっとした感動シーンだった。けれど、わたしは、この「テンポがどんどん雪だるま式に速まっている状態」が、わたしのように思えたのだ。


子ども関係ではすでに年度末に入り始めている。さらに今年は上の子が卒園、入学を迎えることもあり、全体的に気忙しさがある。別に本当に忙しいわけではなくても、心のなかに漂う気忙しさが、わたしの心身の余裕を奪っている……気がしたのだ。

この「気忙しさ」は、自分で手綱を握っていないと、坂道を転がり落ちるようにどんどん強く、速くなっていく。気づいたときには自分でコントロールできる範囲を超えていて、ペースを緩めたいのに緩められなくなってしまう。

そうして、それは余裕のなさや精神的ストレスに繋がっていく……そんな気がする。


チームプレーをしているわけではないので、「ハイキュー!」のように誰かがポーンと緩めてくれるアシストをしてくれるわけではない。でも、だからこそ、自分自身で気づいたときに、速くなりすぎたテンポを緩める意識や工夫が大切なんだろうな。

本当に多忙なときももちろんある。だけど、そうではないのに「なぜか多忙感が強い」という状態は、細々とした「やらねばならないこと」が多い状況下で発生しがちなのではないかな。

深呼吸をして、ひとつひとつこなして、そうしてもう一度深く息を吸って。落ち着きを取り戻せるよう、時に振り返りたい。



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